ライスボウル出場を決める第64回甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)が12月14日阪神甲子園球場で行われ、西日本代表の関西大学が東日本代表の法政大学を50-38で下した。関西大学は第2回大会以来、62季ぶり2度目の優勝を果たし、日本選手権第63回ライスボウルへ初出場を決めた。ライスボウルでは12月21日に決る社会人代表と日本一を賭けて戦う。
両チーム合わせて11TDという壮絶な点の取り合いを制したのは関西大だった。
試合開始、法大の攻撃は、9分半を費やすロングドライブを見せ、FGで先制。対する関西大はRB藤森の好リターンをきっかけにじりじりと法政大ゴールに迫り、最後は第1Q13分RB松森が1ヤードを走り逆転TDをきめた。(関西大7-3法政大)
第2Qに入ると、両チームとも攻撃のリズムが噛み合わない。法政大最初のシリーズは3rdダウンロングに放ったパスを関西大#8飾磨がインターセプト、攻撃権を奪った関西大も3回の攻撃で前進することなくパントに追い込まれる。それでも徐々にリズムを掴んできた法政大は次のシリーズ、丁寧にボールを運びRB#29 原の4ヤードランで再びリードを奪う、しかしこのTFPが関西大DLにブロックされ不成功、混戦を予感させる展開となった。(関西大7-9法政大)
次にチャンスを掴んだのは関西大、法政大QB#18高島のランプレーに対し、関西大主将LB#33大館が会心のファンブルーフォースタックル。敵陣でボールを奪いFGに結びつけた。(関西大10-9法政大)
その後のシリーズでは法政大エースRB#29原のロングゲイン等でTDをあげる(関西大10-16法政大)。法政大再び逆転したところで前半残り時間は1分16秒、観客の多くがこのまま前半の終了を予想していたが、関大ベンチだけはそうは考えていなかったようだ。直後のキックオフリターン、関大RB#1藤森の78ヤードリターンでボールはゴール前2ヤードまで運ばれ、最後はTE#89青木の1ヤードパスキャッチで三度逆転、前半終了間際、僅か1分4秒であげたこの得点が結果的に試合の流れを大きく左右する事になる。(関西大17-16法政大)
後半に入っても関大QB#14原口のランプレーが止まらない。デザインされたランプレーで中央付近を何度も駆け抜ける。関大はFGでリードを広げると(関大20-16法大)、3分28秒にはディフェンダーをはね除ける力強い走りで、原口がまたもロングゲインTD。法政大を一気に突き放した。(関西大27-16法政大)
反撃に転じたい法政大はRB#原、RB#99楠原のラン、QB#4山口のスクランブルといった地上戦を軸に攻撃を重ね、最後はWR#81栗原がエンドゾーンまでボールを運び、勝利への執念を見せた。(TFP2点成功 関西大27-24法政大)
攻撃が止まった方が勝利を逃す、正にそのような展開のなか関西大にビッグプレーが生まれる。直後のキックオフ、またも関西大RB#1藤森が法政大守備陣を切り裂く84ヤードのビックリターンでTD、法政大に傾きかけた流れを、一気に引き戻す。(TFP失敗 関西大33-24法政大)
しかし抜群の得点力を誇る法政大も反撃に転じる。フィールド中央付近からRB#29原へ放たれたパスはディフェンダーと交錯した難しい場面、それを見事にキャッチしディフェンダーを振り切って執念のTDをあげる、このプレーで3Q終了(関西大33-31法政大)
4Qに入り最初に得点をあげたのは関西大だった、ライン戦を優位に運ぶ関西大はRB#22松森、#1藤森、そしてQB#14原口のランプレーがゲインを重ね、TDを奪う。(関西大40-31法政大)
得点をあげ続けなければいけない状況に追い込まれた法政大、主力選手が傷んでくるなかRB#29原がランにパスにチームを引っ張る。最後はQB#4山口の6ヤードTDランに結びつけ、またも2点差へと迫り、あとは守備陣に託す。(関西大40-38法政大)
続く関西大の攻撃、鍛えられたダウンフィールドブロック、QB#14原口の力強いランが法政大学守備を苦しめる。エンドゾーンまで10ヤードに迫った関西大だがここで痛恨のディレイオブゲームで5ヤードの罰則、追加点は3点に留まる。(関西大43-38法政大) この時点で試合残り時間は2分55秒。
この残り時間でTDをあげれば逆転という状況を作り出した法政大だが、ここまで落ち着いてパスを投じてきたQB#4山口のコントロールが定まらない。フィールド中央付近からの3rdダウン、力のない球はWR#7宮本の頭上を通り過ぎDB#5中村の懐へ、法政大にとって痛恨のインターセプトとなった。
続く関西大の攻撃、勢いに乗るQB#14原口は一気に68ヤードを走りきりTD、望みを繋ぐ法政大を振り切った。(関西大50-38法政大)
試合後、磯和監督は「小さな取り組みを重ねてきた事が間違いではなかった、守備も攻撃もキッキングも、今日の出来は素晴らしかった」と選手を褒めた。そして、まだ社会人との日本選手権ライスボウルがある。「これで終わりじゃない、もう一つ残っている」と選手をたしなめた。