社会でのフットボール人気はこの年も続き、試合はもとよりファッションにフットボールが流行り、メディアでも話題として多く取り上げられた。そして、関学大が苦戦しながらも史上初の甲子園ボウル5連覇を果たした。実力伯仲の中での偉業だけに高く評価された。
1977.01.01
お知らせ
関学大、「涙の日生球場」から甲子園5連覇。ライスボウル、積雪で初の延期
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 1月26日 | 日本体育協会、公認スポーツ指導者制度制定 |
3月27日 | カナリア諸島でジャンボ機同士の史上最悪の衝突事故 | |
6月13日 | 全米女子プロゴルフ選手権で樋口久子氏優勝。日本人初のメジャータイトル獲得 | |
8月20日 | 無人宇宙探査機「ボイジャー2号」打上げ 9月5日:「ボイジャー1号」打上げ | |
9月3日 | プロ野球・王貞治氏、756号の本塁打 | |
11月30日 | 米軍立川基地返還 | |
フットボール | 2月13日 | 初の中学生アメリカンフットボール試合。麻布中-浅野中・日大中連合(浅野学園G) |
春 | 第1回刈谷ナイトゲーム、東海連盟ブロック別選抜戦 | |
秋 | 北海道学生リーグ、5大学でリーグ戦開始。九州学生リーグ、4大学でリーグ戦開始 | |
秋 | 東海連盟、2ブロック制へ。関西学生リーグ、公式記録の公表開始 | |
12月4日 | シーガルボウル、関東クラブチーム選抜-在日米軍横須賀(三ツ沢競技場) | |
12月11日 | 第32回甲子園ボウル、日大を破り関学大が史上初の5連覇達成 | |
12月 | ブリガムヤング大来日(関東、東海で試合) | |
12月25日 | 駒場学園高、関学高を破り関東勢初のアメリカンフットボール高校日本一 | |
翌年1月15日 | 第31回ライスボウル、当初予定の1月3日が積雪のため史上初の延期開催 |
社会でのフットボール人気はこの年も続き、試合はもとよりファッションにフットボールが流行り、メディアでも話題として多く取り上げられた。そして、関学大が苦戦しながらも史上初の甲子園ボウル5連覇を果たした。実力伯仲の中での偉業だけに高く評価された。
[1]主な出来事
●春のシーズン、米国から相次いでテレビでおなじみのスター選手が来日、東京を中心に高校、少年フットボールのクリニックが2回開催された。
●3月下旬にフットボール専門誌タッチダウン社主催で「THE FIRST SUPER STAR FOOTBALL SCHOOL」として、NFLピッツバーグ・スティーラーズの現役3選手であるリン・スワン、アンディ・ラッセル、レイ・マンスフィールドの各氏が来日し、フットボール教室を開催。駒沢第二球技場には中学生から若手選手まで約200人のフットボーラーが参加した。
●4月下旬にUCLA卒のQBジョン・シアラ氏、さらに6月下旬にUSC卒でタンパベイ・バッカニアーズに入団予定のリッキー・ベル氏が三井物産スポーツ用品販売(株)の招きで来日。高校とクラブチームにクリニックを行った。
●新規加盟チームがこの年も多かった。加盟大学数は東日本56、西日本49の合計105大学となった。また、北海道学生リーグがリーグ戦を5校(札幌大、北海学園大、北大、旭川大、酪農学園大)で、九州学生リーグが4校(福岡大、西南学院大、久留米大、福岡歯科大)で開始。東海学生リーグは一挙に6校が新加盟し、1・2部制の編成となった。関東では前年準加盟の宇都宮大、神奈川大、帝京大が関東大学選手権への出場権を持たない新加盟リーグを編成。新規加盟(準加盟)も足利工大、筑波大、東京農業大、立正大の4校があり、関東大学リーグは54校となった。
●日本協会加盟チームは高校77、大学111(東日本60、西日本51)、社会人34の合計222チームだった。
●川崎のぼる氏の漫画作品『フットボール鷹』が『週刊少年マガジン』(講談社)の1977年第3・4合併号から連載が開始され、79年第14号まで掲載された。単行本は少年マガジンKCより全10巻が発行された。主人公はアメリカンフットボールの日本人選手・夕日野鷹が本場NFLで活躍する物語で、所属はA.F.C所属の架空のチーム、シルバースターズだった。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆公式規則変更
【この年の日本の主な規則変更】
特になし
[3]春季試合
◆春季試合(学生)
●関西学生で話題となったのは京大だった。西日本大会の関西リーグ所属校ブロックの1回戦で関大に50-26で勝利すると、次の同大戦で59-13、続く準決勝(関西学生リーグのトーナメントの最終戦)で関学大に35-0の完勝。決勝でもブラックイーグルスに21-3で快勝し、初の優勝を遂げた。また、春の東西交流戦でも慶大と法大を大差で下した。京大が1980年代に大学フットボール界を席巻する前触れでもあった。
●関学大は慶大にも敗れたが、日大と明大を破り、日大は関学大と関大、法大に敗れた。春季は過去数年続く”西高東低”をそのまま映し出した。
◆春のボウルゲーム
●第23回西日本大会
前年、関西学生リーグで関学大と同率優勝した京大が4月24日、「第23回西日本大会」準決勝で関学大と対戦し、35-0で圧勝。雨中戦となった決勝ではブラックイーグルスと対戦。FGで先制を許したが、その後はQB宅田裕彦(四年)からRB津島光(四年)、E岡本勝夫(四年)、RB川野正隆(三年)へのラン、パスで3TDを挙げ、21-3で勝利した。この春、京大は関学大、関大、法大、慶大などと対戦し、6戦全勝で春の話題を集めるとともに、秋の関西の戦いの鍵をにぎるチームとなることを予感させた。
●第23回西宮ボウル
「第23回西宮ボウル」は5月28日、西宮球場に15,000人の観客を集めて開催。1Q、全関東はDB小坂谷卓宏(明大四年)のインターセプトからの攻撃で、WR石割大樹(明大四年)への2プレーで先制のTDを挙げた。
全関西はその後、QB宅田裕彦(京大四年)の2つのTDで逆転。しかし、全関東は4Q、QB金井義明(日大三年)がパスの態勢から相手守備陣の穴を見付けて自ら走り、TDを挙げて14-12と再逆転し、全関東が勝利した。MVPは金井、敢闘賞に宅田、ベストライン賞にDT西山武道(明大四年)、優秀守備賞にDB草野光広(日体大三年)が選ばれた。
●第2回パールボウル
「第2回パールボウル」は5月20日、後楽園球場のナイターで、第1試合の慶大21-6同大(第29回定期戦)に続き、明大-東京ヴァンガーズの対戦で開催された。
1Q、明大がQB水田信爾(三年)の好リードでHB石割大樹(四年)が立て続けに2TDを挙げて14-0とリードし、一方的な展開になるかと思われた。しかし、東京ヴァンガーズは4Q、QB寺泉恭一のパントフェイクからRB高田洋一へのTDパスが成功。さらにFB川口久の13ヤードTDランで2点差に迫ったがが、TFPの2点コンバージョンが失敗。明大が14-12で辛くも逃げ切った。
[4]秋季試合
■関東(学生)
●実力均衡で迎えた秋季は、春季の交流戦・定期戦同様、波乱が続き、激しい優勝争いが東西で展開した。関東は準加盟4校が加わり、55校でのリーグ戦。主会場は駒沢第二球技場、駒沢補助競技場で、その他16か所の大学グラウンドを使用した。
並列5リーグ制が8年目となった関東では、レベルの高い東京七大学リーグに注目が集まり、日大、明大、法大が三つ巴の展開となった。
10月1日、日大が春季に0-10で敗れた法大に再び0-24の敗北。法大は日大のミスに突け込み、TB板倉毅(四年)とFB松井恭治(二年)が得点。永井進晴(一年)、斉藤悟(二年)、松本博(一年)の若手が中核の守備陣が守り切った。
明大-法大は10月15日に開催。明大はダブルウイング、ショットガン体型で臨み、QB水田信爾(三年)が法大5-2ローバー守備を翻ろう。法大に先制を許したものの、2Qに2TDを挙げて前半を14-7で折り返すと、3Qにも水田から堀切伸一(二年)へのパスでTDを挙げ、22-7で快勝した。
日大は法大戦の敗戦後、ショットガン体型をリーグ戦最終試合の明大戦で採用することとし、以降の練習時にはグラウンド周辺に監視要員を配置するなど警戒した。10月29日の明大戦で5年ぶりにショットガン攻撃を復活させると、QB金井義明(三年)がパスを連投し、39-19で勝利した。
この結果、日大、明大、法大が1敗で並んだが、関東大学選手権までの日程が短く、前年度順位優先で日大と明大が関東大学選手権へ進出した。
●第8回関東大学選手権
関東大学選手権準決勝の日大-日体大は前半、日大のFGだけで後半に突入。3Qには両チームともに2TDを挙げ、競った展開となったが、4Qに日大は第4ダウンでQB金井義明(三年)からWR大用和宏(一年)へのパスが決まり、24-14で勝利した。もう一つの準決勝、明大-東海大は明大が前半で34-0と大きくリードし、42-7で勝利した。
決勝は日大と明大の再戦。明大はQB水田信爾(三年)が絶妙なオプションを見せて前半に3TDを挙げ、20-0と圧倒的優位に立った。しかし後半、日大はQB金井がショットガン体型からWR大用、秋山克未(二年)、E平野三美(四年)、E平信司(三年)にパスを連発。日大が25点を挙げ、25-20と大逆転で3年ぶり17回目の関東リーグ優勝を遂げた。
■関西(学生)
●関西学生リーグは西宮球技場、伊丹陸上競技場、神戸中央球技場、日生球場を使用した。
春の西日本大会で関学大を35-0と一方的に破った京大は、水野彌一監督以下充実したスタッフが、プロI体型からQB宅田裕彦(四年)のトリプルオプションを軸として勝利を重ねた。伊角富三新監督となった関学大は、ダブルウイングT体型からQB猿木唯資(三年)からWR志浦康之(四年)へのパス、FB越中啓示(三年)の快走で連勝した。
京大と関学大はともに全勝で、日生球場にリーグ史上最高の18,000人の観客を集めて対決。春の対戦で京大が35-0と圧勝していることもあり、京大優勢の下馬評だった。
京大は強力なラインが関学大ラインを押し、QB宅田裕彦(四年)、UB川野正隆(三年)のランで前半を14-7とリードして折り返した。雨が激しくなった後半、京大は3QにTB津島光(四年)のブラストで21-7とし、勝利がうっすらと見えてきた。しかし、ここまで得意のパスを2回も京大DB搭下辰彦(三年)にインターセプトされていた関学大はパスを捨て、QB猿木唯資(三年)、FB越中啓示(三年)の粘りあるランで反撃。すると、越中の中央突破で瞬く間に3TDを挙げて29-21と逆転。終了直前の京大の反撃を抑え、リーグ29連覇を達成した。後に「涙の日生球場」と語り継がれる、歴史に残る名勝負だった。
3位は近大と同大、5位は関大と桃山学院大、7位は甲南大、8位追手門学院大となった。関西学生リーグはこの年から公式記録を発表。越中が1,014ヤード(7試合)でラン部門1位となった。
■各地区(学生)
【北海道】札幌大が4戦全勝で優勝。以下北海学園大、北大、旭川大、酪農学園大となった。
【東海】Aブロック(1部相当)で愛知学院大が4戦全勝優勝。以下名古屋学院大、岐阜歯科大、愛知大、中京大となった。
【九州】福岡大が優勝した。
◆秋季試合(社会人)
●東日本実業団リーグで、早・慶・立出身者が中核となり選手層が厚いレナウンが初優勝。関東社会人リーグは変則的な日程で総当たりのリーグ戦にはならなかったが、シルバースターが連覇した。
日本リーグ改め関西社会人リーグとして1・2部制のリーグ戦を行った関西は、1部はサイドワインダーズとブラックイーグルスが同率優勝となった。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第32回甲子園ボウル
●「第32回甲子園ボウル」は12月11日、過去最多の35,000人の観客を集め、関学大(選手80人)と日大(選手50人)の3年ぶり17回目の対戦で13時36分にキックオフされた。
1Q早々、関学大は相手のパスをDB細田泰三(二年)がチップし、それをLB小川典久(四年)がキャッチしてインターセプト。そこからの攻撃をRT池内和彦(四年、主将)を中心とするラインが支え、1分にQB猿木唯資(三年)からWR志浦康之(四年)への45ヤードパスで先制した。
その後も関学大はQB猿木からWR志浦康之(四年)への2TDパスや、RB越中啓示(三年)が計323ヤード、3TDを挙げる活躍で得点を重ねた。日大もQB金井義明(三年)からFB鹿沼律(四年)への58ヤードパス、WR秋山克己(二年)への22ヤードTDパスで反撃。しかし、関学大は日大のパスを7回インターセプトしたのをはじめ、DT伊藤忠久(四年)、MG山下幸延(四年)の堅い守りで圧倒し、51-20で快勝した。関学大は史上初の甲子園ボウル5連覇。最多優勝回数を15に伸ばし、関学大第二期黄金時代を完成させた。ミルズ杯は関学大FB越中が受賞した。
◆第31回ライスボウル
●「第31回ライスボウル」は翌1978年1月15日、好天の国立競技場で開催された。
攻撃チームは関東は日大と明大が、関西は関学大と京大が単独ユニットでチームを編成した。関東の日大ユニットがランプレー、明大がパスプレーを主体に得意の攻めを展開し、敵陣深くに攻め込めなかったときにK松井恭治(法大二年)が4FGを効果的に決め、関東が26-14で3年ぶりの勝利を挙げた。
1Q、両チームの守備陣が健闘して互いにTDを許さなかったが、13分に関東のK松井恭治(法大二年)が39ヤードのFGを決めて先制。松井は2Qにも2FG、4Qに1FGの計4FGを決めた。2Q、関東は日大の攻撃ユニットで、QB鈴木隆之(一年)がWR大用和宏(一年)、WR秋山克己(二年)に見事なTDパスを決め、リードを広げた。
前半、歯車がかみ合わなかった関西は後半、RB津島光(京大四年)の81ヤードのパントリターンTD、QB猿木唯資(三年)からWR志浦康之(四年)の関学大コンビによる44ヤードのTDパスで一時は9点差まで迫ったが、エンジンがかかるのが遅かった。関東のK松井に最優秀選手賞が贈られた。
この「第31回ライスボウル」は当初1月3日に開催する予定だったが、前日の積雪が約30センチとなり、人力による除雪作業が間に合わずに試合開催が困難なため、同15日に延期された。3日はNHK教育テレビ(現NHK・Eテレ)で中継される予定で、NHKサイドは天候不良による中止の想定はしておらず、あらかじめ決められた代替放映はなかったが、急きょ映画の旧作が放送された。延期された15日の試合は、NHK教育テレビで全国中継された。
◆その他のボウルゲーム
●「第27回神戸ボウル」は翌1978年1月8日、神戸中央球技場で開催された。関西社会人選抜はブラックイーグルスとサイドワインダーズのユニットが交互に出場。T山口敬三(関大OB)、T義政孝夫(関大OB)らのラインと、貴重なインターセプトを奪ったDE尾立和則((日大OB)の活躍で、14-6で関西学生選抜に勝利した。神戸ボウルで関西学生選抜と関西社会人選抜の対戦は69年から行われたが、社会人選抜が学生選抜を破ったのはこれが初めてだった。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「春季第3回関東高校選手権大会」はトーナメントで開催され、準決勝で慶応高を14-8で破った日大一高と、日大高を98-0で下した駒場学園高が決勝で対戦し、駒場学園高が20-0で初優勝を飾った。
「春季第7回関西高校選手権大会」は、決勝戦に滋賀県の虎姫高が勝ち進み関学高と対戦。関学高が辛うじて12-6で勝利した。コーチがいない虎姫高の健闘が話題となった。
◆第8回全国高校選手権
●「第8回全国高校選手権」は前年同様16校が出場。関東、関西の各8校による1、2回戦はそれぞれ関東、関西で開催。準決勝と決勝が12月24、25の両日、神戸中央球技場で開催された。
準決勝は駒場学園高が清風高を42-0で、関学高が慶応高を39-6でそれぞれ破り、決勝に進出した。
決勝は六甲おろしが吹き降ろすなかで行われ、観客は3,000人。1Qに駒場学園高が先制したが、2Qに関学高がTDを返してTFPも成功させ、関学高が8-6とリードして前半終了。駒場学園高は後半にパワーを発揮し、技の関学高から4Qに2TDを挙げて逆転。吉田博正監督率いる創部7年目の駒場学園高が20-8で初優勝を果たした。関東勢としても初めてのアメリカンフットボール高校日本一。駒場学園高はこれで23連勝となった。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●2月13日、横浜市の浅野学園グラウンドで、わが国で初めての中学生のアメリカンフットボールの試合が開催された。
麻布中、日大一中、浅野中の3中学リーグ戦の第1戦で、麻布中と浅野中(日大一中から補強)の対戦。サイドラインには念のため医療関係者が立ち会い、大学のボウルゲームも担当するベテラン審判員の笛で無事に行われた。
●11月3日、関西学生リーグの同大-近大のハーフタイムに、京都市立出水小学校のフットボールチームが紅白戦を披露した。同小学校では唯一のクラブで部員数50人。6-6で仲良く引き分けた。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●1971年のユタ州立大の来日から始まった日米大学戦。この年は強豪・ブリガムヤング大(BYU)との2試合(体重制限なし)だった。BYUはこの年全米20位(AP最終順位)で、その後NFLで活躍すると思われる選手も多く、大きな話題を集めた。
試合は12月17日に国立競技場で関東大学選抜と、同24日に名古屋の瑞穂陸上競技場で関西・東海学生選抜と行った。両日とも、これまでの一連の日米対抗戦では珍しく快晴だった。
この強豪チームに対して関東、関西の日本チームは、パスを活用するなど健闘した。第1戦は一年生QB鈴木隆之(日大)がWR秋山克未(日大二年)にショットガンから2TDパスを成功させ、13-61と善戦。第2戦の関学大、京大勢は0-71で完敗した。特に、体格のあるラインのスピードとリアクションの速さは、本場カレッジの実力をあらためて認識させた。
このBYU戦を最後に、6年間で12試合続いたこの時期の日米学生対抗戦は終了した。これらの米国大学との試合は、この時期にしてはまれな雨となり、グラウンド状態不良の試合が多く、日本チームのスピードと技術が十分に発揮できないこともあった。
しかし、体重制限を設けたコーネル大戦を除き、これらの日米交流戦は得点差以上の実力差は歴然で、日米交流のあり方の再点検を示唆する試合ともなった。日米大学交流戦は、これを機に一時中断。しかし、大差の敗戦が多かったが、この6年間で日本チームは技術力を付け、また体格もやや向上した。米国チームからは戦略・戦術、知識、技術、装具・用具、チームマネジメントと試合への準備など学んだことが多く、それ以降の日本のフットボールの発展につながったことは確かだった。
◆日本チームの活動(海外開催)
●12月2日、関西学生オールスターがフィリピン・マニラの米軍スービック基地の強豪アドミラルズと現地で対戦し、6-27で敗れた。関西学生は関学大、京大、関大を除く近大、桃山学院大、甲南大、追手門学院大、同大などから選抜された。前半にリードを奪われ、4Q11分過ぎにQB家田章夫(追手門学院大四年)からFB高島久始(大産大四年)へのスクリーンパスで50ヤード近いロングゲインで相手ゴール1ヤードに迫り、その後TDを挙げただけだった。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●1月14日に国立競技場で開催された「第3回シャパンボウル」は、癌との闘病の末にこの世を去ったジョー・ロスの追悼試合として開催された。日本からFB鹿沼律(日大四年)、E農本吉彦(日大四年)、RB石割大樹(明大四年)、T西山武道(明大四年)、RB板倉毅(法大四年)、WR平山俊一(慶大四年)が参加した。
●米国のカレッジフットボールの公式戦「第1回ミラージュボウル」が12月11日、好天の後楽園球場で開催された(当初は「第2回パイオニアボウル」の名称)。「第32回甲子園ボウル」と同日の開催で、日本協会はノータッチだった。対戦は前年のパイオニアボウルに続いて出場したグランブリング州立大がテンプル大を35-32で破った。
★当時の関係者の言葉(日本協会50年史掲載)
●シーズンの想い出
「春の西日本大会で大敗しており、打倒京大しか頭になかった。京大に勝った勢いで、そのまま甲子園ボウルも勝った」(関学大1978年卒T・主将池内和彦)