4月、将来の全日本大学選手権の実現を目指して、「日本学生アメリカンフットボール協会」が設立、初代理事長に河田幾造氏が就任した。また社会人リーグは実業団、クラブチームが統合されたリーグ戦を開催することになった。近年、京大、近大、同大、関大の躍進で、関学大の圧倒的優位が崩れてきた関西学生リーグで関学大が2勝4敗1分となり、創部初のリーグ下位の6位となった。
1990.01.01
お知らせ
日大、史上初のライスボウル3連覇。社会人リーグ、実業団とクラブが統合
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 3月15日 | ソ連、ゴルバチョフ議長が初代大統領就任 |
7月1日 | 東西ドイツ、経済統合 | |
8月2日 | イラク、クウェートに侵攻 | |
9月19日 | IOC、オリンピック憲章改定案を採択、プロ・アマオープン化へ | |
10月1日 | 日経平均、一時2万円割れ。バブル経済崩壊へ | |
10月3日 | 東西ドイツ再統一 | |
フットボール | 3月 | 日本協会、関東大学連盟、事務所を東京・高輪に移転 |
3月9日 | 阪急西宮球技場改装工事竣工 4月28日:千葉マリンスタジアム使用開始 | |
4月21日 | 日本学生協会設立 | |
7月1日 | 第1回平成ボウル、関学大・UCバークレー-立大・アリゾナ大(西宮球場) | |
8月31日 | 関西高校選抜-アシュランド高(米オレゴン州) | |
秋 | 実業団リーグ、社会人リーグが一体化、日本社会人リーグとなる | |
12月12日 | 第4回日本社会人選手権、松下電工、オンワードを下し初優勝(東京ドーム) | |
12月22日 | 関東、関西の2、3部のオールスター戦開始(後のバーシティボウル)(西宮球技場) | |
12月23日 | 第3回アイビーボウル、アイビー選抜-日本学生選抜(横浜スタジアム) | |
日本タッチアンドフラッグフットボール協会設立 | ||
女子フットボールチーム、第一生命レティコング創部 | ||
翌年1月3日 | 第44回ライスボウル、国立競技場で最後の開催。日大が松下電工を下し3連覇 |
4月、将来の全日本大学選手権の実現を目指して、「日本学生アメリカンフットボール協会」が設立、初代理事長に河田幾造氏が就任した。また社会人リーグは実業団、クラブチームが統合されたリーグ戦を開催することになった。近年、京大、近大、同大、関大の躍進で、関学大の圧倒的優位が崩れてきた関西学生リーグで関学大が2勝4敗1分となり、創部初のリーグ下位の6位となった。
[1]主な出来事
●日大の前人未踏の日本選手権3連覇なるかに注目が集まった。春の結果を見る限り、日大が他校をしのぐ形となっていた。
●4月21日、「日本学生アメリカンフットボール協会」(河田幾造理事長)が設立。全国8地区(北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中四国、九州)の各学生連盟が加盟して組織化された。当面は、それぞれの組織の問題点を日本学生協会の共通の問題点として解決することを活動方針に掲げた。これで日本協会の体制図も、競技団体の参加は日本全体を束ねる協会として高校、大学、社会人の3つの柱に整理された。
●3月、大阪興銀ワイルドキャッツに続く待望の2番目の女子フットボールチーム、住友生命スカイブルー・エンジェルス(松本寿美子主将)が自社社員25人で発足し、活動を開始した。
●3月、日本協会と関東大学連盟が事務所を東京都港区高輪3-22-5に移転した。
●日本協会加盟チームは高校113、大学211、社会人73の合計397チームだった。
●関西地区で秋の国内の公式戦のテレビ放映が増えた。毎日放送系列のケーブルテレビ向けのスペース・ビジョン・ネットワーク(SVN)によるフットボール中継が組まれ、秋の関西学生リーグを7試合放映。また「平成ボウル」を中継した朝日放送も中継を増やし、お茶の間のファンを楽しませた。一方、NHK-BSは9月からNFLの前週の試合から毎週2試合を放映。日本テレビは毎週1試合を放映。テレビ東京やテレビ大阪、関西テレビ、SVNなどの放映を加えると、NFL、米カレッジ、国内公式戦、国内ボウルゲームで約200試合が放映された。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●千葉マリンスタジアム(千葉・幕張、人工芝で野球場の仕様)の使用が始まった。最初の試合は4月28日の「第2回実業団選手権・パールボウル」トーナメントの三菱銀行-三井銀行だった。また、全面人工芝の千葉マリンスタジアムではフィールドのラインに従来の白洗剤(洗い流すことが可能な洗剤を使用)を塗る代わりに、粘着性のあるテープを使用することとなった。設置や撤去が容易であり、繰り返しての使用が可能で便利だったが、ときおり人工芝からテープがはがれて空中に舞い、審判員ら都度張り付けた。
●前年秋から改修工事をしていた西宮球場が3月9日に竣工。5月15日に西日本学生大会の神戸大-京産大で初使用された。フィールドの設置はホームからセンター方向で、内野も含めて人工芝、マウンドは電動昇降式、ゲームクロックは電光盤に組み込む形となった。
◆防具・装具
●この頃のショルダー価格は27,000円からだった。
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
●ニュートラル・ゾーンを越えた地点でBチームがファンブルをリカバーすれば、持って走れるようになった。
●攻撃側のプレーヤーはレディフォープレーからスナップまでの間、一度は両9ヤードマーク間にいることが必要となった。
●時間を節約するために、スナップ後、直ちにボールをグラウンドに投げつければ正当となった。
●攻撃側が相手に連続的に頭に接触することが禁止された。
[3]春季試合
◆春季試合(学生)
●関西学生の「西日本選手権」は、前年同様「西日本学生大会」として神戸市立中央球技場や長居球技場、西宮球技場などで開催。結果は以下の通り。
日 付 | 会 場 | スコア | ||
4月14日 | 西宮球技場 | 関学大 | 20-14 | 近大 |
4月14日 | 西宮球技場 | 京大 | 3-0 | 関大 |
4月22日 | 西宮球技場 | 関大 | 19-16 | 京産大 |
4月22日 | 西宮球技場 | 立命大 | 28-10 | 神戸大 |
5月13日 | 西宮球場 | 神戸大 | 14-14 | 京産大 |
5月13日 | 西宮球場 | 関学大 | 13-9 | 同大 |
5月13日 | 西宮球場 | 近大 | 33-0 | 関大 |
5月27日 | 西宮球技場 | 神戸大 | 31-14 | 関大 |
5月27日 | 西宮球技場 | 近大 | 27-13 | 京産大 |
5月27日 | 西宮球技場 | 京大 | 30-0 | 近大 |
◆春のボウルゲーム
●第36回西日本社会人選手権
「西日本社会人選手権」は松下電工が「パールボウル・トーナメント」に出場のため参加せず、決勝はサンスターとジャヴァ(ブラックイーグルス)の対戦となり、5月20日に西宮球技場で行われた。3Qにジャヴァが2TDを挙げ逆転し、34-21で6年ぶりの優勝を遂げた。
●第4回グリーンボウル
6月22日、長居球技場に19,500人の観客を集めた「第4回グリーンボウル」は三和銀行-サンスターが対戦。三和銀行は前半、RB永井保吏の2TDとK鈴木浩二の2FGで先行し、後半にも1TD、1FGを加えて30-13で快勝。春の社会人のボウルゲームのフィナーレを飾った。
●第36回西宮ボウル
「第36回西宮ボウル」は6月24日、26,000人の観客が観戦する中、1Q15分(前年までは1Q12分)の正式計時で開催され、関東が39-21で勝利した。関西は最初のプレーでスペシャルプレーのパスを投げたが、それを関東SF林祐一(東海大四年)がインターセプトして35ヤードのリターンTDで先制。関東はDT臼田勝彦(日大四年)、DT脇坂康生(日大三年)、高野信彰(日大四年)、LB新堀和之(法大四年)らの守備陣が活躍して関西の反撃を止め、39-21で3年連続の勝利とした。関東はパスの被インターセプトが5、ファンブルロストが1、関西は被インターセプトが3と、計9ターンオーバーの大乱戦だった。
●第4回ヨコハマボウル
「第4回ヨコハマボウル」は5月10日、横浜スタジアムで行われ、ハーフタイムにはNFLロサンゼルス・レイダーズのチアリーダーが出演した。
・第1試合の専大-近大は、QB藤原章智(四年)が好リードを見せた専大が38-7で快勝。
・第2試合の京大-慶大は、京大がRB森口智規(四年)のダイブTDとQB佐野徹(四年)から弓削一幸(四年)へのロングパスのTDで14-0とリード。慶大は2TDを返し、最後のTFPで2点の逆転を狙うが失敗し、京大が14-13で接戦を制した。
・第3試合の日大-関学は、日大が攻守に圧倒。前半は14点にとどまったが、照明が灯った後半は4TDを挙げた。守っては佐々木康元(四年、主将)を中心とする守備陣が関学大にプレッシャーを掛け続け、42-7で大勝した。
●第15回パールボウル
「パールボウル」は1988年まで、「春季東日本実業団選手権大会」として開催されてきたが、前年からトーナメントの出場資格を西日本まで広げ、「春季全日本実業団選手権大会」として開催された。この年になり初めて西日本から松下電工がトーナメントに参加。実質的な「全日本」となった。この参加形態は2006年まで続いた。
「第15回パールボウル」は6月8日、東京ドームで前年に続きオンワードと日本電気が対戦。前半、オンワードがRB山口一利、RB永井進春のTDラン、日本電気がK高井竜司の3FGで、オンワードが14-9とリードして折り返す。3Q、日本電気がQB河野厚也からWR鈴木泰生への62ヤードTDパスと高井のこの日4つ目のFGで19-14と逆転。しかし、その後オンワードはQB山田喜弘がWR大林行男へ55ヤードのTDパスを決めて逆転。オンワードが21-19の接戦を制した。
「ジュニア・パールボウル」決勝は、日本IBMと抽選で勝ち上がってきた三越が対戦し、7-7の引き分けに終わった。
[4]秋季試合
■関東(学生)
●関東大学1部リーグは9月15日、駒沢第二球技場と等々力陸上競技場で開幕。新たに千葉マリンスタジアムを使用した。リーグ戦では初使用となる横浜スタジアムを含め、関東も試合会場が多彩になった。
Aブロックはライスボウル3連覇を目指す日大が開幕から予想に反して苦しみ、第2戦の明学大戦で早くもショットガンを使用。日大は法大、早大に逆転勝ちして全勝を守ったが、怪我人が続出。特に須永恭通(四年)、松本義幸(三年)の両QBが負傷し、不安定なチーム状態を主将佐々木康元(四年)がまとめてブロック優勝を果たした。
見事な復活ぶりを示したのは法大。QB今手義明(三年)の切れ味鋭いオプション攻撃が猛威を振るい、日大戦では序盤リードしながら逆転負けしたが、2位に躍進した。早大は関東ラン1位のRB高橋尚己(四年)を軸に得点力を発揮して3位。明学大は積極的なパス攻撃と守備で中位に進出。日体大はQB小林純人(四年)の負傷もあってパスが不発。東海大は初の入れ替え戦となったが、横国大に勝って残留した。中大も防衛大を破って残留を果たした。
Bブロックは慶大、専大、立大、明大が1敗で並び、4校に優勝の可能性が残されたまま最終節にもつれ込む激戦となった。4校とも自力優勝がない最終戦は、立大が明大に敗れ、専大が慶大に零封されたことにより、慶大のブロック優勝が決まった。東大は2勝を挙げ、上智大は成蹊大との入れ替え戦に勝って辛くも残留。桜美林大は2部に降格した。
●第21回関東大学選手権
「第21回関東大学選手権・パルサーボウル」は横浜スタジアムで、3年連続して日大と慶大が対戦した。日大は1Q7分、QB須永恭通(四年)の3ヤードの中央ダイブで先制。2Q以降も伝統のショットガン攻撃で合計5TDを挙げ、守備も主将DE佐々木康元(四年)、DT脇坂康生(三年)を中心に、慶大を一度も得点圏内に入れずに34-0で完封勝ちした。日大は須水が速いタイミングのパスを多用して慶大守備を翻ろうし、5年連続の甲子園ボウル出場を決めた。
■関西(学生)
●関西学生リーグは9月8日に西宮球技場で開幕。西宮球技場、長居球技場、宝ヶ池球技場など多くの競技場を使用した。また、リーグ戦28試合中17試合が読売テレビ、テレビ大阪、朝日放送などのテレビで放映された。
第3節で全勝が消えるという混戦の様相を呈し、その状況が終盤まで続いた。リーグ優勝38回を誇る関学大は、初戦からエースQB東村智司(三年)を負傷で欠き、下位相手に不安なスタート。3戦目の1975年創部と関西学生リーグで最も歴史が浅い神戸大戦では相手に大金星を献上した。神戸大が1Q2分、TE西村英勝(三年)がリバースから48ヤードのTDランで先制。神戸大は一度は同点とされたものの、2Qに疋田収宏(四年)、3Q、4QにはエースRB小武卓見(四年、主将)の足で加点。パスで必死に追い掛ける関学大を振り切り、26-21で勝利した。関学大はその後、京大、同大、立命大にも敗れ、2勝4敗1分で史上初めてリーグ6位となった。
京大はQB金岡禧友(二年)が新スターターで登場。立命大戦ではパントミスから自滅したものの、それ以外は勝利を重ね、リーグ優勝は最終節の京大-神戸大の初の国立大学同士の決戦となった。京大は1Q2分、ゴール前4ヤードからRB森口智規(四年)が走り込んで先制のTD。その後もQB佐野徹(四年)がパス攻撃を交え、合計6TDを奪う猛攻を見せた。守備も主将の槻橋修(四年)を中心に相手の前進を許さず、神戸大のパスを6回インターセプトし、45-0で完勝して3年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。
神戸大はQB河田晃一(二年)がチームの攻撃能力を存分に引き出し、創部以来初めて関学大から勝利を挙げた。1敗同士の最終戦で京大に優勝を明け渡し、最終的に3位となったが、一躍脚光を浴びた。実力ではリーグ随一と言われた立命大は神戸大に破れ、近大に引き分けて優勝戦線から脱落したものの、初の単独2位を確保。同大は守備の活躍で上位校に食い下がったが一歩及ばず、神戸大と同率の3位。近大は攻撃陣の活躍で2勝したが、京大に完敗し、神戸大にも敗れて優勝争いから脱落し、5位に。京産大は2年で2部に降格となった。2年ぶりに1部に復帰した関大は1勝を挙げたにとどまった。
■各地区(学生)
【北海道】 1部6チーム、2部は各5チームの2ブロックで開催。1部は北大が全試合快勝で優勝し、2位は札幌大、以下小樽商大、札幌学園大、北海学園大、旭川大となった。
【東北】 6チームで開催。東北大が東北学院大を10-7で破って全勝優勝。2位は東北学院大、以下仙台大、日大工学部、東北工大、山形大の順となった。
【東海】 1部6チーム、2部は5チームと6チームの2ブロックで開催。1部は接戦が多かったが、名古屋大が4勝1分で優勝した。2位は中京大、以下愛知学院大、名古屋工大、南山大、愛知大となった。
【北陸】 5チームで開催。金沢大が安定した試合運びで全勝優勝した。2位は福井大、以下金沢工大、金沢経大、金沢医大となった。
【中四国】 4チームずつのA、Bブロックで開催。両ブロック上位2チームの計4チームのトーナメントの決勝で、愛媛大が広島大を14-9で破って優勝した。
【九州】 1部6チーム、2部は5チームで開催。1部は西南学院大が全勝で優勝。2位は九大、以下福岡大、長崎大、熊本大、佐賀大となった。
●「第5回東日本学生王座決定戦」は、これまで東京で開催してきたが、仙台と札幌で隔年開催することとし、この年は仙台市の宮城陸上競技場で開催した。また、この「東日本王座決定戦」を過去にさかのぼって「パインボウル」と命名し、この年は第5回パインボウルとした。これまで運営と審判も関東大学連盟と日本審判協会関東審判部が担当してきたが、第5回からはすべて北海道連盟と東北連盟が行うこととなった。
11月4日、宮城陸上競技場で5年連続の東北大-北大が行われ、雨の中で力の入った好ゲームとなった。1Q、東北大が先制のTDを挙げると、北大がFGで追い掛ける。一進一退の攻防で、雨の中のライン戦が続いたが、4Qに東北大が2TDを追加して24-10で勝利した。
●「西日本学生王座決定戦・第6回平和台ボウル」も11月5日に開催され、悪天候の中、西南学院大と愛媛大が対戦し、最後まで勝負の行方が分からない好試合を展開した。4Q、西南学院大はRB高倉直太(四年)が95ヤードを独走してTD。TFPのキックも成功して16-10と逆転。しかし、その後のキックオフリターンで愛媛大WR風早謙一(三年)がリターンTDを挙げ、17-16と再逆転。勝敗が見えたかと思われたが、西南学院大は試合時間残り26秒でK竹内浩二(四年)がゴール前10ヤードから慎重にFGを決め、19-17で接戦を制した。
●11月23日、横浜スタジアムで開催された「第5回地区対抗学生王座決定戦」は、東北大が西南学院大を56-9で破り、2年ぶり3回目の優勝を果たした。東北大は開始早々の1Q2分、RB高久健一(四年、主将)の34ヤードTDランで先制。西南学院大も8分、この日それぞれ距離のある3FGを決めた相馬豊(三年)の24ヤードFGで追い掛けた。東北大は8分に小浜直太(四年)の2ヤードTDラン、11分にCB山口昌洋(四年)の69ヤードのインターセプトリターンTDで1Qに21-3と大きくリード。その後も相手のTDを許さずに完勝した。
◆秋季試合 (社会人)
●社会人はリーグを再編した。これまで東日本は実業団チームとクラブチームのリーグに分かれていたが、これが統合され、1部2ブロック計12チーム、西日本も1部を2ブロック計10チームとした。念願の実業団とクラブチームのリーグの完全統合が実現された。この年の社会人リーグ(73チーム)のリーグ別チーム数は次の通り。
東日本(47チーム) | ||
東日本社会人リーグ | 1部A、Bブロック | 各6チーム |
同 | 2部A、Bブロック | 各5チーム |
関東社会人リーグ | 1部A~Cブロック | 各5チーム |
同 | 2部A、Bブロック | 各5チーム |
西日本(26チーム) | ||
西日本社会人リーグ | 1部A、Bブロック | 各6チーム |
同 | 2部A、Bブロック | 各5チーム |
同 | 準加盟リーグ | 4チーム |
■秋季試合 関東(社会人)
●社会人の東日本はリーグ戦で東京ドームを5日使用。ほかに千葉マリンスタジアム、駒沢第二球技場などで開催した。西日本は伊丹スポーツセンター、西宮球技場、長居球技場などで開催した。
●東日本社会人リーグは9月8日に開幕。Aブロックでは日本電気が序盤からまったく危なげない戦いぶりで、過去2連敗している日産戦で相手のパワフルな攻撃を封じ込めて快勝。全勝でレナウン戦を迎えた。レナウンは松岡秀樹をRBに配し、ベテランQB鈴木隆之が攻撃を指揮したが、パス守備の甘さを突かれて日産に完敗。1敗で臨んだ最終戦は、3Qで日本電気にリードされながら、4Qに16点を挙げる猛攻で、見事に逆転優勝を果たした。日産は三菱銀行に惜敗したが、レナウンには8年ぶりに勝って上位へ。1部初昇格の住友銀行は、ライバル三菱銀行から初勝利を挙げて4位。三菱銀行は日産戦で守備が奮起し、5位を確保した。
Bブロックでは前年の覇者アサヒビールが三和銀行に大苦戦。富士通の速攻にも守備が崩され、QB東海辰弥のパスも不調で、始終リードされたまま完敗した。オンワードは初戦で富士通の戦術に翻ろうされたものの、QB山田喜弘と強力なラインを核とした攻撃が得点力を発揮して、最終戦でアサヒビールに快勝して優勝した。2敗を喫したアサヒビールは3位に転落。台風の目となった富士通は初戦でオンワードを苦しめ、ベテランQB大山茂を中心とした積極攻撃でアサヒビールを破り、2位となった。太陽神戸三井銀行は、攻守とも戦力のレベル差を克服できずに全敗。入れ替え戦では三菱電機に7-8と惜敗して2部に降格した。
■秋季試合 関西(社会人)
●西日本社会人リーグは9月2日に開幕。Aブロックはイワタニとジャヴァがともに全勝で、優勝を懸けて最終戦に臨んだ。ジャヴァの重量守備ラインに対して、イワタニは速いランプレーで攻め、QB白崎裕敏が絶妙のパスを決めて2TDを先取。守備陣もターンオーバーを誘う積極的な守りでジャヴァを圧倒し、21-0と完封してブロック優勝を決めた。名古屋は決め手を欠いて3位。千趣会は守備が粘り切れずに4位。名門NACLは全敗で、入れ替え戦でも富士ゼロックスに完敗して2部に降格した。
Bブロックは予想通り、松下電工が独走した。覇権を懸けた一戦となったサンスター戦は、先制を許しながらも前半で逆転し、10点差を守り切って全勝でファイナル4ウエスト進出を決めた。サンスターはQB芝川龍平が強力なリードを見せ、WR福島伸一郎、RB橋本昌治らの活躍もあって上位に復活した。
■プレーオフ(社会人)
●ファイナル4イースト(東日本プレーオフ)は「東京スーパーボウル」の出場権を懸けてAブロック優勝のレナウンとBブロック優勝のオンワードが東京ドームで対戦した。前半でレナウンが10-0とリードしたが、後半にプロIからショットガンに変更したオンワードが終了直前にK川上祐司の31ヤードFGでようやく同点として引き分け。11人によるコイントスの結果、オンワードが東京スーパーボウルの出場権を獲得した。
●王子陸上競技場で行われたファイナル4ウエスト(西日本プレーオフ)はイワタニと松下電工が対戦。松下電工はRB大塚倫生のブラストをキーに序盤に2TDを先取。終盤にも大量得点を奪い、守ってもイワタニQB白崎裕敏のランを封じ、49-7で圧勝。東京スーパーボウルの出場を決めた。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第45回甲子園ボウル
●「第45回甲子園ボウル」は12月16日、甲子園球場に史上最多となる42,000人の観客を集め、日大(篠竹幹夫監督)と京大(水野彌一監督)が3年ぶり5回目の対戦。日大がDE佐々木康元(四年、主将)、DT脇坂康生(三年)を中心とする強力な守備ラインとLB高野信彰(四年)の健闘で前半20-0とリード。攻撃もC安部奈知(二年)らのラインに守られてパスを投げ分ける2人のパサー、須永恭通(四年)と松本義幸(三年)が好調なショットガン攻撃を展開し、京大の守備を崩した。京大は日大の守備ラインにほとんど自陣にくぎ付けの展開となり、やつと4Q4分にRB森口智規(四年)のランで1TDを返したが、日大が34-7で日大が快勝した。日大は3年連続、甲子園ボウル20回の優勝一番乗りを果たした。
日大は須永と松本が51回のパスを投げて27回成功。RB小林孝至(四年)、TE渡辺哲弥(三年)、SE梶山龍誠(四年)、WR小林一(四年)がスーパ―キャッチなどを見せ、パスで357ヤードを獲得した。日大は甲子園ボウルで京大に3連敗していたが、この勝利は第37回大会以来8年ぶりの勝利となった。ミルズ杯には日大のWR梶山龍誠(四年)が選ばれた。
なお、この年の甲子園のグラウンドは2年前までと同様、外野の左右方向に取られ、関東側のサイドラインの後方に千数百人の座席の特設スタンドが設置された。
◆第4回日本社会人選手権・東京スーパーボウル
●12月2日、東京ドームで行われた「第4回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は、どちらが勝ってもライスボウル初出場となるオンワードと松下電工が対戦した。松下電工は徹底したボールコントロールで攻め、1Q14分に川口佳宏の1ヤードTDランで先制。2Q13分にはQB時崎隆志の1ヤードTDランで前半を14-0とリードして折り返した。オンワードは後半、ショットガンからQB山田喜弘がスクランブルを繰り返すが得点に結び付かず、やっと4Q12分に山田が1ヤードTDランを挙げたものの、松下電工が14-6で逃げ切って優勝し、悲願のライスボウル初出場を決めた。
◆第44回ライスボウル
●「第44回ライスボウル」は翌1991年1月3日、国立競技場に52,000人の観客を集め、日大と松下電工が対戦した。
松下電工は序盤に看板のボールコントロール攻撃を展開。10分を費やした先制TDのドライブは、RB大塚倫生からQB時崎隆志への15ヤードパスのスペシャルプレーで締めくくった。
日大は2Q、1分と7分にQB須永恭通(四年)からWR梶山龍誠(四年)に2つのTDパスを決めて逆転。主将DE佐々木康元(四年)を中心に、DL臼田勝彦(四年)、LB高野信彰(四年)、脇坂康生(三年)らの堅い守備で、35-13で勝利した。日大は史上初の3連覇で、対戦成績を学生代表の7勝1敗とした。甲子園ボウルでは負傷でさほど活躍できなかった須永は37回投げて24回成功、264ヤード、3TDの活躍で、MVPのポール・ラッシュ杯に輝いた。日大の日本一は4度目となった。
ライスボウルは1965年1月の第18回大会から国立競技場で開催されてきたが、次回の第45回大会から東京ドームで開催することになり、東西学生選抜戦時代を含む27年の国立競技場開催の歴史に幕を閉じた。
◆その他のボウルゲーム
●この年発足した「東西大学ジュニア・オールスター戦」が12月22日、西宮球技場で行われた。関東大学リーグ、近畿学生リーグのそれぞれ2、3部から選抜された選手が、初の試みに意欲十分で臨んだ記念すべき大会は、2部13-7、3部28-14でともに近畿学生リーグが勝利した。2、3部だったが、出場した選手は合同練習を含めて大きな経験、貴重な思い出となり、卒業後の大学を越えた交流も続いた。
●「カレッジ東ソーボウル」は2年ぶりに東京ドームで開催。東軍がRB高橋尚己(早大四年)らの活躍で西軍を30-0で下し、2年連続勝利を収めた。
●40回目を迎えた「神戸ボウル」は「ホール・オブ・フェイムゲーム」と名付けられ、西日本社会人の3位決定戦として開催された。サンスターがWR福島伸一郎の2TDを挙げる活躍で、ジャヴァを16-14で破った。
[6]高校フットボールの活動
●この時期を境にして、高校の部員数の減少が見え始めた。その流れは徐々に強くなり、部員100人を超えた高校も減少し始め、春、夏の大会を棄権するチームが特に関東で現れてきた。運動部で活動する生徒の減少や高校の定員の減少、定員見直しに伴う男子生徒の減少など、少子化を迎える社会の現象が高校フットボールに表れ始めた。
◆春季大会(高校)
●「春季第16回関東高校選手権大会」は9校でトーナメントを開催。準決勝で都立小川高(東京4位)を36-6で破った都立戸山高(東京1位)と、中大付高(東京2位)を41-7で破った法政二高(神奈川1位)が決勝で対戦し、法政二高が34-16で勝って優勝した。
●「春季第20回関西高校選手権大会」は各府県代表の8チームが参加して開催。準決勝で大産大付高(大阪1位)を27-7で破った関学高(兵庫2位)と、平安高(京都1位)を14-6で破った県立宝塚東高(兵庫1位)が決勝で対戦し、関学高が兵庫県大会で敗れた宝塚東高に9-7の逆転勝利を収め、優勝を飾った。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東地区」決勝は11月18日、駒沢第二球技場で日大鶴ヶ丘高と日大櫻丘高が対戦。1Q早々、日大鶴ヶ丘高がTDとFGで10-0とリード。日大櫻丘高も1Q6分にTDを返すが、その後日大鶴ヶ丘高が4連続TDを挙げるなどして41-13で勝利した。日大櫻丘高は3回の被インターセプト、2回のファンブルロストが大きかった。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西地区」決勝は11月23日、西宮球技場で大産大付高と関学高というともに3年ぶりの関西地区決勝進出の顔合わせ。最後まで勝敗が分からない試合となった。大産大付高が試合開始13秒で自陣20ヤードからの80ヤードTDランで先制。関学高も5分にTDランで追い付いたが、大産大付高は3つのTDを挙げ、28-7で前半を終了。後半になると、関学高の攻撃がリズムをつかみ、3つのTDを挙げて迫ったが、大産大付高が28-20で勝利した。
◆第21回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第21回クリスマスボウル」は参加110校の地区予選を経て、12月24日に冷たい強風が吹く長居球技場に3,000人の観客を集め、3年前と同じ日大鶴ヶ丘高と大産大付高が対戦した。1Q、日大鶴ヶ丘高がランプレー中心に4TDを挙げて28-0と大きくリード。一方的な展開になるかと思われたが、大産大付高も2Qにランで2TDを返し、その後は両チーム互角の試合展開となった。大産大付高が徐々に差を縮めたが、最後は日大鶴ヶ丘高が48-46で振り切り、2度目の高校日本一となった。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆タッチフットボール
●タッチフットボールとフラッグフットボールを統括する組織、「日本タッチアンドフラッグフットボール協会」が設立された。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●新しいボウルゲーム、「平成ボウル」が関西地区で始まった。米国大学の強豪2チームから、それぞれコーチ2人と選手6人を招へいし、日本の異なる2つの大学単独チームにそれぞれが加わって試合を行った。第1回のこの年は、関学大と立大が7月1日に西宮球場で35,000の大観衆を集めて対戦した。関学大に加わるUCバークレーからはWR3人、RB、DB、LB各1人が、立大に加わるアリゾナ大からは攻守ライン5人とQB1人の選手6人が参加した。
前半で関学大・UCバークレーが24-7と一方的にリードを広げたが、後半は立大・アリゾナ大が見事なキャッチアップを展開。スリリングな試合となり、最後は関学大・UCバークレーが30-26で勝利した。日米大学交流の新しいスタイルのボウルゲームとなった。
●日米交流戦「第3回アイビーボウル」はNCAAの公認試合となり、12月24日に横浜スタジアムで好天の下、28,000人の観客を集めて開催された。関東1部、北海道、東北から選抜された63人の日本学生チームが、来日した40人のアイビーオールスターと対戦した。
前回大会は、得点差はあったものの第1回のW&M大戦に比べてその差は縮まったことと、第1回開催時の攻撃力のデータが両チームで大差ないことから、今回は日本チームの健闘が期待された。日本チームも12月初めから集合練習を重ね、試合に臨んだ。一方のアイビーチームも前年の統計データから、必ずしも楽に勝てるとは考えず、日本チームのこれまでの試合のビデオを研究し、対策を練って来日した。
試合は、アイビーチームが1Qから3Qまで各Qに2TDを挙げ、3Q終了時に40-0とリード。日本チームは4QにFGを決めると、試合終了12秒前にショットガンから18ヤードのTDパスを決めて一矢を報いたが、アイビーチームが47-10で米国勢3年連続勝利を飾った。獲得した第1ダウン数は日本チームが16回でアイビーが25回、攻撃総獲得ヤードは日本の188ヤードに対してアイビーは568ヤードと大差を付けた。アイビーチームのこの試合に対する準備と実践が実を結んだ。
●この年は「平成ボウル」、「アイビーボウル」以外にも国際交流が盛んに行われた。5月には韓国から釜山地域学生選抜(6大学参加)が来日し、近畿学生選抜(釜山0-23近畿)、関西・近畿学生選抜(釜山14-26関西・近畿)の2試合を行った。12月23日に長居球技場で関学大が創部50周年を記念して米国沿岸警備隊士官学校と交流試合を行い、20-8で米国沿岸警備隊士官学校が勝利した。8月にハワイ州のイオラニ高が来日し、立教高に13-0で勝利した。
◆日本チームの活動(海外開催)
●8月に関西高校選抜が高校生チームとして初の米国本土遠征を行い、オレゴン州のアシュランド高と対戦。アシュランド高が21-7で勝利した。
●関東の大学では東海大が3月にアリゾナ州立大へ遠征。7月には法大がハワイへ渡航し、12年ぶりにハワイ大でクリニックを受けた。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●「第2回アメリカンボウル」は8月5日、東京ドームで開催。守備に定評のあるデンバー・ブロンコスがシアトル・シーホークスから3インターセプトを奪い、10-7で勝利した。この試合の主審は、NFL審判組織で有名なJim Tunny氏が務めた。
●「第14回コカコーラボウル」は12月2日、東京ドームで開催。サウスウエストカンファレンスのヒューストン大の攻撃陣に火が付き、PAC10カンファレンスのアリゾナ州立大を62-45で破った。両チームで計14TDの攻撃戦だった。
●「第16回ジャパンボウル」は翌1991年1月13日、晴れの横浜スタジアムで開催。前半リードした西軍が東軍を20-14で破った。聴力に障害を抱えるRBケニー・ウォーカー選手(ネブラスカ大)の活躍が光った。