競技開始60年目を迎えた。実力均衡が続く関東学生は日体大が初優勝。ライスボウルは社会人の活動で歴史あるシルバースターが2連覇した。数年前に開始した女子タッチフットボールが選手権試合、ボウルゲームを創設した。ここ数年、特に積極的な活動を進めてきた医事関係者や協会関係者の努力により、日本協会では第1回安全対策実務者会議を設け、安全対策のさらなる充実を図った。
1993.01.01
お知らせ
秋の公式戦800試合を越える。女子初の公式戦、クイーンボウル開催
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 4月2日 | 福岡ドーム完成 |
5月15日 | プロサッカー・Jリーグが開幕 | |
6月9日 | 皇太子・雅子妃、結婚の儀 | |
7月7~9日 | 第19回G7サミット、東京で開催 | |
11月1日 | 欧州連合(EU)発足 | |
フットボール | 7月18日 | 第20回記念ポテトボウル、北海道学生選抜-韓国学生選抜(厚別公園競技場) |
10月16日 | 福岡ドーム竣工記念「ハーキュリーボウル」、リクルート-オンワード | |
秋 | 高校連盟、「STOP AIDS運動」実施 | |
11月20日 | 第1回オープンタッチフットボール選手権、東京リベンジャーズと長野計器優勝 | |
12月5日 | 最後となる第8回コカコーラボウル開催、ウィンスコンシン大-ミシガン州立大 | |
12月11日 | 女子、初の公式戦クイーンボウル’93、第一生命が関西興銀を破る(千葉マリン) | |
12月12日 | タッチフットボール女子東西学生オールスター戦(ナゴヤ球場) | |
12月19日 | 日本協会「第1回安全対策委員会実務者会議」(都ホテル甲子園) | |
翌年1月3日 | 第47回ライスボウル、アサヒビールが関学大を破り2連覇 | |
翌年1月8日 | 第6回アイビーボウル、アイビー選抜-日本学生選抜(東京ドーム) |
競技開始60年目を迎えた。実力均衡が続く関東学生は日体大が初優勝。ライスボウルは社会人の活動で歴史あるシルバースターが2連覇した。数年前に開始した女子タッチフットボールが選手権試合、ボウルゲームを創設した。ここ数年、特に積極的な活動を進めてきた医事関係者や協会関係者の努力により、日本協会では第1回安全対策実務者会議を設け、安全対策のさらなる充実を図った。
[1]主な出来事
●日本協会加盟チームは中学4、高校120、大学229、社会人91の計444を数えた。全国で中学、高校、大学、社会人の秋季公式試合数は802に上った。
●古川明氏が日本協会理事長(第12代)に就任。1997年まで務めた。
●日本審判協会関東審判部は、広く募集して参加した22人のチーム関係者や一般ファンを対象に、フットボール公式規則の説明を中心とした「オープンクリニック」を開催した。5月から毎月1回、平日夜間の8回の教室内クリニックで、それ以外に秋に2回、東京ドームの試合観戦の現場でクリニックを行った。熱心な参加者に公式規則で制定されている規則の解説や規則の背景と狙い、試合の状況に応じた規則のポイントとその適用などが説明された。
●わが国初の女性公式審判員が誕生した。日本審判協会関東審判部の若佐裕子氏で、6月13日の筑波大-明治学院のFG(フィールド・ジャッジ)を担当した後、同24日の東京ドームでの第一生命-大阪興銀、秋の関東大学リーグの公式戦も担当した。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●福岡に初の開閉式ドーム球場、福岡ドームが誕生。フットボールの初使用は10月16日、「第1回ハーキュリーボウル」として東日本社会人1部リーグBブロックのオンワード-リクルートが開催された。同時に、九州社会人のメルボビレッジ・オクトーバーベアーズ-九州ヴァンガーズ、福岡大-久留米大も開催された。
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
●プレー中のマウスピースの着用は、1987年から公式規則で定められたが、土のグラウンドの多い日本では、公式規則運用では「推奨」とされてきた。この年から着装を必須とした。未着装の場合は「必要な装具の未着装」としてバイオレーションとなりチームタイムアウトが課されることになった。
●インバウンズラインの位置を、サイドラインから53フィート4インチから60フィートに変更した。
●FAX、ビデオ機器、写真などのチームエリアでの使用を禁止した。
●出血したプレーヤーのプレーの制限などを規定した。
●フリーキック時にはキッカーの両側にそれぞれ4人以上のプレーヤーが必要となった。
●攻撃側のパス・インターフェランスの罰則は、ロス・オブ・ダウンがなくなり15ヤードの罰則のみとなった。
[3]春季試合
◆春季試合(学生)
●41回目を迎えた「早慶定期戦」は、この年から国立競技場で開催。早大が28-26で勝利した。5月23日に西宮スタジアムで開催された「第5回フラワーボウル」は東海大-立命大(第11回定期戦)、関学大-日大(第26回定期戦)の2試合が行われ、東海大が24-20で、関学大が19-0でそれぞれ勝利した。
◆春季試合(各地区)
【北海道】 春の開幕が5月下旬の北海道は、新たに加盟した釧路公立大を含む16チームが参加して5月23日から「第20回スズランボウルトーナメント」を開催した。決勝は6月20日に円山競技場で行われ、札幌学院大が大会3連覇中の北大を27-14で破って優勝秋のリーグ戦2連覇に続いて優勝した。
【東北】 5月2日から6月27日まで加盟8大学に社会人1チームを加え、オープン戦16試合を開催した。
【東海】 4月4日から5月2日にかけ、15チームが参加して「第18回東海選手権トーナメント大会」を開催した。決勝は雨の中、鶴舞公園運動場で行われ、中京大が愛知学院大を6-0で破り、2年連続16回目の優勝を飾った。
【北陸】 4月29日、金沢医大が関西から兵庫医科大を招いて交流戦を開催。それ以後は加盟8大学がオープン戦を開催した。
【関西】 3月27日から近畿リーグ所属の29チームが参加して「第7回近畿学生アメリカンフットボール選手権大会」を開催。準決勝で大院大を58-0で甲南大と、龍谷大を45-10で破った京産大が決勝で対戦し、甲南大が27-14で勝って優勝した。
【中四国】 4月25日から加盟8大学と社会人3チームのオープン戦17試合を開催。5月5日には1987年に第1回を行った「瀬戸内ドリームボウル」を開催した。
【九州】 4月11日の西南学院大-福岡教育大を皮切りに、加盟15大学がオープン戦35試合を開催。また、山口大の遠征試合や各大学の関西遠征など10試合を行った。
◆春のボウルゲーム
●第39回西日本選手権
「第39回西日本社会人選手権」は前年の参加チーム数を更新し、史上最多となる40チームが参加。決勝は5月29日、長居球技場でマイカルとサンスターの対戦で行われた。1Q、マイカルはWR八木修への33ヤードTDパスで先制。サンスターは3Q、TB山下久行の11ヤードランで逆転するが、マイカルは4QにQB夏目瓦のパスで再逆転。LB久保田敬之をはじめとする好判断の守備でサンスターの反撃を抑え、14-10で初優勝を飾った。
●第39回西宮ボウル
「第39回西宮ボウル」は6月26日、前日の雨が上がった西宮スタジアムで開催。開始から関西が押し気味に進め、K西野修平(関大三年)の3つのFGで2Q初めまでに9-0とリード。さらに、3Q半ばでは23-0と大きく差を広げ、守ってはDT谷嶋淳(関学大四年)、DE伊藤重将(京大二年)、DE明松功(神戸大四年)らが関東のパスプロテクションを破ってQBにプレッシャーを与え続け、関東の反撃を抑えて39-22で6年ぶりに勝利した。
●第7回ヨコハマボウル
「第7回ヨコハマボウル」は6月6日、横浜スタジアムで開催された。
・第1試合の関学大-明大はヨコハマボウルで4回目の対戦。明大は関東2部所属となったが、伝統の一戦だけに健闘し、前半は7-7と互角の戦い。3Q、明大はWR山根周(二年)の25ヤードFGでリードするが、関学大はRB林裕次郎(三年)の9ヤードTDランで逆転。さらにWR廣部雅資(四年)の33ヤードTDランで加点し、関学大が28-10で勝利した。
・第2試合の京大-日大は守備戦となり、京大がFGで先行し前半を3-0でリード。後半、京大はCB西村英明(三年)のインターセプトからFGに結び付け、守ってはDT伊藤重将(二年)、DE胡井則章(二年)、LB阿部拓朗(二年)、MG谷口善文(三年)らが日大を抑え、13-0で完封勝ちを収めた。
・第3試合の立命大-法大は、前半は立命大の1FGだけで3-0の折り返し。3Q2分、立命大はQB来住野将丈(四年)からRB丸山佳映(四年)への21ヤードTDパスで追加点を挙げ、その後の法大の反撃を抑えて18-14で勝利した。
●第18回パールボウル
「第18回パールボウル」は西日本の松下電工も参加し、12チームでトーナメントを開催。決勝は6月24日、東京ドームで5年連続出場のオンワードと富士通の、前年と同じ顔合わせとなった。富士通は1Q5分、QB山同建からWR堀尾知哉への4ヤードのTDパスで先制。オンワードは2Q、RB加藤慎也の2ヤードTDランで同点に。さらに須永恭通、山田喜弘の2人のQBがラン、パスを織り交ぜ、TB真柄匡が29回のボールキャリーで3TDと活躍。最後は富士通に5点差に迫られたが、LB川上祐司がインターセプトで阻み、32-27で大会最多となる4度目の王座に就いた。
「第7回ジュニア・パールボウル」は10チームが参加して開催。決勝は東京海上が三武を3-0で破った。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学リーグ1部は約半数の試合を川崎球場で開催。駒沢陸上競技場、駒沢第二球技場と合わせた3会場で約9割の試合を行った。この年から雨天時に使用不可となる会場はなくなり、スケジュール策定時の雨天予備グラウンドの用意が初めて不要となった。ただし、台風襲来で試合当日に中止となる場合もあり、その試合は別途、日時と会場が設定された。
Aブロックは、日大が慶大に敗れて自力1位がなくなり、続く最終戦の早大にも14-21と敗れて4勝2敗となった。日大は3年連続で甲子園ボウル出場を断たれたばかりでなく、リーグ戦2敗は25年ぶりの出来事となった。早大は若手中心で将来性をうかがわせる日大戦の快勝だった。早大がリーグ戦で日大を破ったのは40年ぶりで、その早大は4勝1敗1分けでブロック2位、日大は4勝2敗で3位となった。
ブロック優勝は慶大で、筑波大に3-16で敗れたものの、5勝1敗で3年ぶり4回目の「関東大学選手権・パルサーボウル」出場を決めた。前年6位の筑波大は、4勝2敗で日大と並び3位に浮上。日大には1TD差で惜敗、慶大に快勝するなど力を発揮し、翌年への期待が膨らむシーズンとなった。過去2年入れ替え戦出場と屈辱のシーズンが続いた立大は2勝3敗1分で5位と一歩前進。前年4、5位の東大と上智大は、それぞれ0勝6敗、1勝5敗で入れ替え戦に回った。入れ替え戦では東大が横国大を14-10で、上智大は防衛大を24-20で破り、ともに残留を果たした。
Bブロックは日体大が前年甲子園ボウルに出場した法大に21-18で劇的な逆転勝ちを収め、さらに最終戦で専大を57-13で破って5勝1分で1位となり、9年ぶりのパルサーボウル進出を決めた。QB青木康之(三年)、FB安田健太(四年、主将)、TB周東祐次(四年)によるオプション攻撃と正確なタックル力を持つ守備が原動力となった。法大は5勝1敗で2位。東海大は優勝した日体大と引き分けたが、法大に大敗して3位となった。専大が3勝3敗で4位。中大は上位陣の壁が厚く、2勝止まりで5位となった。1部復帰組の帝京大が6位、桜美林大が7位で入れ替え戦に回った。入れ替え戦では、2部の名門・明大が桜美林大を、成蹊大が帝京大をそれぞれ破り、ともに1部に昇格した。
●第24回関東大学選手権
11月20日、東京ドームで開催された「関東大学選手権・パルサーボウル」は日体大の主将FB安田健太(四年)とTB周東祐次(四年)の快足コンビが好調。1Q6分、周東が先制のTDを挙げ、6分には慶大のパスをインターセプトしたCB山本崇(四年)がTDを奪うなど、1Qで21-7と大きくリード。慶大は後半、パス主体の攻撃に変えて3TDを挙げたが、日体大が45-31で勝ち、初の甲子園ボウル出場を果たした。
関東大学リーグは3年続けて異なるチームが甲子園ボウルに出場したことで、まさに実力伯仲のリーグへと移り変わりを見せた。
■関西(学生)
●関西学生リーグは全28試合中18試合で西宮スタジアムを使用。他の試合は長居球技場と宝ヶ池球技場を使用した。従来、関西学生リーグが使用していた各地の公共会場は2部が使用し、連盟全体の有料会場の割合は多くなった。
関西学生リーグは京大と関学大が6戦全勝。直接対決で甲子園ボウル出場を懸ける展開となった。京大は試合ごとにQB小川賢司(三年)のパスが成長。TB吉田昌弘(三年)のランも復活した。関学大は主将NG谷嶋淳(四年)が率いる強力な守備ラインと、CB野村昌弘(四年)、SS桑田修吉(四年)、FS大寺将史(四年)らリーグ唯一を誇る守備バックが、QB芝原学(四年)によるボールコントロールを支えた。TB前島純(三年)、RB林裕次郎(三年)のバックスも健在で、バランスの取れたチームに仕上がった。近大戦に続いて立命大戦でも終了間際に逆転FGを決めたK城台聡(二年)の存在も大きかった。
関西学生リーグでは1987年の京大を最後に全勝優勝がなく、ここ数年戦国時代が続いていたが、6年ぶりとなる最終戦での全勝対決が、伝統の関京戦となった。
激しい雨が降り続いた前半、関学大はラン攻撃に徹した作戦が奏功し、1QにRB八田修明(三年)の68ヤードTDランで先制。2QにはTB前島純のTDランで差を広げた。しかし、京大も追い上げ、4Qに2つ目のTDで3点差に迫ったが、関学大はQB芝原学(四年)がTE新井邦由(三年)に43ヤードのTDパスを決め、24-14で全勝優勝と2年ぶり39回目の甲子園ボウル出場を決めた。関学大はファンブルリカバーとインターセプトを各3回、計6回のターンオーバーを奪った。
立命大は京大戦をキッキングゲームのミスで落とし、続く関学大戦でも2回のパントブロックのミスから20-22で敗れて優勝戦線から脱落したが、上位3チームと他5チームの力の差は歴然としていた。神戸大は大型ランナー井場睦之(四年)を生かせず、3強に大敗。大体大と近大は最終戦を待たずに2勝して一歩前進。前年5位の同大は関大に敗れ、関大とともに1勝5敗で同率7位となり、両校で入れ替え戦の相手を決めるためのプレーオフを行うという散々な結果となった。
■各地区(学生)
【北海道】 1部6チームで開催。リーグ戦最終日の10月11日、「円山ボウル」で札幌学院大が北大を28-22で破り、3連覇を飾った。
【東北】 1部6チームで開催。全勝対決の東北大-東北学院大は接戦となり、東北大が21-14で勝利して8連覇を果たした。
【東海】 1部6チームで開催。10月17日、名城大が名古屋大を16-13で破り、最終戦を待たずにリーグ初優勝を決めた。名城大は最終戦で前年優勝の中京大を破り、全勝優勝とした。
【北陸】 1ブロック4チームの2ブロック制でリーグ戦を開催。10月24日に各ブロック1位の金沢経大と金沢大が対戦し、金沢経大が6-0で制して念願の初優勝を遂げた。
【中四国】 1部5チームで開催。広島大と山口大が順当に勝利を重ね、10月17日の最終日に全勝対決。逆転に次ぐ逆転で、最後は広島大が自陣30ヤードからのドライブをTDに結び付け、24-20で勝利した。
【九州】 1部6チームで開催。福岡大が西南学院大と14-14で引き分けたが、4勝1分で優勝した。西南学院大は九大に敗れたものの、2位となった。
●「東日本学生王座決定戦・第8回パインボウル」は11月3日、厚別公園競技場で開催。前年と同じ札幌学院大-東北大となった。下馬評では東北大有利だったが、札幌学院大は最初のシリーズで丁寧な攻めを積み重ねてTDで先制。その後互いに得点を重ね、息詰まる展開となったが、札幌学院大は4Qには東北大を引き離して35-21で勝利。初の地区対抗王座決定戦出場を決めた。北海道勢の勝利は2度目だった。
●「西日本学生王座決定戦・第9回平和台ボウル」は11月7日、雨の中で広島大と福岡大が対戦した。パスプレーはほとんどなく、グラウンドアタックの攻防となり、20-20で迎えた4Q残り2分で福岡大がファンブル。これを広島大がTDに結び付け、27-20で勝利した。
●「第8回地区対抗学生王座決定戦」は11月20日、東京ドームで、初顔合わせとなる広島大-札幌学院大で行われた。広島大は1Q6分、この日3TDランを挙げたRB飯田角弘(四年)の9ヤードTDランで先制。札幌学院大の攻撃を1TDに抑え、4年ぶり2度目の地区王座に就いた。
◆秋季試合(社会人)
●社会人東日本のリーグ戦は東京ドームを9日間使用し、ほかに横浜スタジアム、川崎球場、山梨・小瀬陸上競技場などを使用。西日本は長居競技場を主会場に、西宮スタジアム、彦根陸上競技場などを使用した。
■秋季試合 関東(社会人)
●リーグ戦は、Aブロックはアサヒビールと三和銀行の全勝決戦となったが、Bブロックは最後まで優勝の行方が混沌とした。
Aブロックのアサヒビールは攻撃ラインの補強に成功し、安定した試合運びで余力を残しながらブロック制覇を果たした。山場となる三和銀行戦でもコンスタントな攻撃力を発揮して17-6で快勝した。前年、ブロック2位の実績を残した三和銀行の力は本物だった。QB佐藤知浩、WR梶山龍誠、TE片山昌人、RB佐藤嘉弘らの活躍でレナウンに完封勝ちして浮上した。鹿島とレナウンは2勝3敗で並び、直接対決で勝ったレナウンが3位。日産は1勝止まりだったが、上位に肉薄した。
Bブロックは日本電気の復活が話題を巻き起こした。雨の中で行われた最終戦で、オンワードのキッキングミスを巧みに突き、3勝1敗1分で優勝を果たした。日本電気と引き分けた三菱銀行は、さくら銀行に0-17で敗れ、2勝2敗1分けで4位。オンワードは富士通戦、日本電気戦での自滅がたたって復活ならず、リクルートもオンワードに力負けして一歩及ばなかった。
10月には福岡ドームで初の公式戦となる「第1回ハーキュリーボウル」が開催された。東日本1部Bブロックのリクルートとオンワードが対戦し、オンワードが21-11で勝利した。
●12月11日、千葉マリンスタジアムで日本社会人協会準加盟の女子フットボールチーム、大阪興銀ワイルドキャッツと第一生命レディコングが「クイーンボウル’93」で対戦。これまで親善試合として行ってきたクイーンボウルが3回目の今回、初めて公式戦となった。2Qに大阪興銀がTDを挙げてそれを守り切り、8-0で勝利した。対戦成績は大阪興銀の2勝1敗。MVPは決勝点を挙げた大阪興銀の宍戸里香が受賞した。
■秋季試合 関西(社会人)
●西日本社会人で話題を集めたのは、Aブロックのマイカル-サンスターの全勝対決だった。マイカルは相手パントカバーのミスなどで一時20-0と大きくリード。しかし、サンスターがそこから逆襲し、21-20で逆転勝ちした。サンスターは2年ぶりにファイナル4に進出。千趣会は2勝2敗1分で3位、名古屋は2勝3敗で4位となった。NACLは2部降格。
Bブロックはこの年も松下電工が他を寄せつけず、5試合すべて完封勝ちという評判通りの力を発揮した。パッシング攻撃に積極的な姿勢を打ち出した今季、明らかに東京スーパーボウルをにらんだチームづくりだった。全勝対決となったジャヴァとの最終戦も60-0と完勝。サンスター、マイカルとともに西日本「4強」の一角と見られたジャヴァは4勝1敗で2位を確保したが、松下電工との実力差は大きかった。イワタニは終盤の調整が実り、3勝2敗で3位を確保。富士ゼロックスは優秀な選手を抱えて戦力がアップしてきたが、好不調の波が激しく4位となった。
■プレーオフ(社会人)
●東京スーパーボウルの出場権を懸けたファイナル4の東日本はアサヒビールが日本電気を24-7で破り、2年連続の進出。西日本はサンスターが松下電工を7-0で破り、2年ぶりに出場権を手にした。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第48回甲子園ボウル
●「第48回甲子園ボウル」は12月19日、快晴の甲子園球場に41,000人の観客を集め、史上有数の総合力と言われた関学大と、創部38年で悲願の初出場を果たした日体大が対戦した。ともにランプレーを柱とする両チーム。1Q、関学大は初出場でやや精彩を欠いた日体大を攻め、LG今井栄太(四年)、RT糸井真一郎(四年)のラインを軸に、小刻みなランプレーで前進。最後はRB林裕次郎(三年)の6ヤードランでTDして先制。その後もK城台聡の40ヤードFGで9点を先行した。
日体大は2Q開始早々、主将FB安田健太(四年)の12ヤードTDランで追い掛けるが、7分にパントを関学大FS大寺将史(四年)にブロックされ、セーフティーで2点を失った。その後、2Q最後のプレーで日体大K泉周作(三年)が33ヤードのFGを決め、前半は関学大が18-10とリードして折り返した。
後半、関学大が2TD、1FGで得点を重ね、35-10で日体大の初出場優勝の夢を阻んだ。関学大はバックスの快走とともに、日体大のオプションプレーをよく研究、対策し、NG谷嶋淳(四年、主将)、FS大寺将史(四年)ら経験豊富な選手が多い守備陣が鉄壁な守りで2年ぶり19回目の優勝を果たした。ミルズ杯は関学大のRB前島純(三年)が受賞した。
◆第7回日本社会人選手権・東京スーパーボウル
●「第7回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月7日、東京ドームに33,000人の観客を集め、アサヒビールとサンスターという初めてのクラブチーム同士の対戦で行われた。終了20秒前までアサヒビールの2FGのみというまれに見る守備戦。明暗を分けたのは、逆転を懸けたサンスターの最後のドライブを断ち切ったアサヒビールDT熊切栄一のインターセプト。アサヒビールがサンスターを13-0で破り、2連覇を遂げた。
◆日本選手権・第47回ライスボウル
●「日本選手権・第47回ライスボウル」は2年連続出場の王者アサヒビールが、2年ぶり3度目の挑戦となる関学大を迎え、予想に違わぬ好試合を展開した。
1Q、アサヒビールが2つのTDランで先行するが、関学大も多彩な攻撃で対抗。アサヒビールは5点リードで迎えた4Q残り1分48秒、関学大のQB芝原学(四年)のこの日3つ目となるTDパスを通され、21-23と関学大に逆転を許した。すると、一度は負傷退場していたQB東海辰弥が直後の攻撃で再出場。7プレーで72ヤードを前進すると、最後はRB野村貴が逆転TDを挙げて勝利した。アサヒビールは社会人初の2連覇で、社会人の優勝はこれで3年連続。通算4勝7敗とした。MVPのポール・ラッシュ杯はアサヒビールRB野村貴が2年連続で受賞した。
◆その他のボウルゲーム
●「カレッジ東ソーボウル」は関東が35-32で関西を破った。「第4回東西学生ジュニア・オールスター戦」の3部は関東が関西を13-7で破って初勝利。2部も関東が関西を28-24で破って2連覇とした。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「第19回春季関東高校選手権大会決勝」は、準決勝で都立西高(東京4位、小野恵稔監督)を20-9で破った静岡代表の三島高(足立雄三監督)と、日大鶴ヶ丘高(東京3位、吉江祐治監督)を57-0で下した埼玉・茨城・千葉代表の江戸川学園取手高(武居和彦監督)が決勝で対戦。春季関東大会決勝で東京、神奈川代表以外のチームが出場するのは初めてのことで、三島高が22-8で勝って初優勝を遂げた。
●「第23回春季関西高校選手権」決勝は、準決勝で虎姫高(滋賀1位、浅井勝監督)を24-6で破った箕面自由学園高(大阪1位、河内亮士監督)と、府立豊中高(大阪2位、荒木雄造監督)を21-15で破った平安高(京都1位、丸木竜也監督)が決勝で対戦し、箕面自由学園高が49-19で勝って2年ぶりに優勝した。
◆秋季大会(高校)
秋季の「全国高校選手権大会」には加盟120校中関東地区71校、関西地区46校の計117校が参加した。
■関東地区(高校)
●「高校選手権関東地区」決勝は11月15日、駒沢第二球技場で中大付高(松永幸信監督)と三島高(足立雄三監督)が対戦し、中大付高が24-2で勝利した。勝利の立役者は守備バックス陣。三島高の攻撃にゾーンディフェンスで対応し、6インターセプトを挙げた活躍は大きかった。中大付高は創部8年で初めての関東代表に。三島高は春に続く関東地区決勝進出と奮闘した。
■関西地区(高校)
●「高校選手権関西地区」決勝は11月23日、西宮球技場で関学高(広瀬慶次郎監督)と大産大付高(山嵜隆夫監督)が対戦。1Q1分、大産大付高は58ヤードランで先制のTDを挙げると、2Q4分にも61ヤードのTDランで13点をリード。しかし、関学高は2つのTDを挙げて14-13と逆転。さらに4Qに3つのTDを挙げるなどして35-26で勝利した。
◆第24回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第24回クリスマスボウル」は12月25日、東京ドームで17回出場の関学高と初出場の中大付高が対戦。4Q7分、中大付高がパスでTDを挙げ、この日両チームを通じて3度目となる逆転としたが、関学高は残り4分で得た攻撃でのボールコントロールし、最後は残り12秒、5ヤードの逆転TDを挙げて勝利した。関学高は8年ぶり13回目の優勝で、1987年から指揮を執る広瀬慶次郎監督にとっては初めての優勝となった。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●中学は近畿3県の4チームが例年通り春、夏、秋の各大会を行い、甲子園ボウルの中学招待試合では関学中(兵庫)が長浜市立南中(滋賀)を破り、2年ぶりの勝利を飾った。
●関西の少年フットボール「チェスナットリーグ」では、小学三年生および経験の浅い選手に対して、協会が用意するセーフティージャージを着用することになった。このジャージの着用選手には、安全なように相手が配慮する取り決めとした。
◆タッチフットボール
●12月12日、ナゴヤ球場で女子タッチフットボールシーズンの最後を飾る「第1回女子東西学生オールスター戦」が開催された。東軍は吉川理裕監督以下慶大、成城大、文京女子大などの選手20人から、西軍は辻尾一仁ヘッドコーチ以下関学大、聖和大、名古屋聖霊短大などの選手20人から編成。東軍が31-7で勝利し、最優秀選手には東軍QB赤堀雅子(成城大三年)が選ばれた。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●「第4回平成ボウル」が7月に行われ、関学大とアリゾナ州立大、京大とミシガン大の混成チームが対戦。関学大・アリゾナ州立大チームが37-27で勝利した。
●7月には「ポテトボウル」が20周年を迎え、韓国学生選抜と北海道学生選抜が対戦。北海道学生選抜が25-24で勝利を収めた。
●11月、神奈川高校選抜と横須賀米軍基地ナイルキニックハイスクールの「第1回親善試合」が行われ、神奈川選抜が35-20で勝利を収めた。
●「第6回アイビーボウル」は、日本チームは前年の大敗から対応を再検討し、前回大会で70人だった選手を56人に絞り、関東・関西が集合して8日間の合宿を経て試合に臨んだ。
試合は翌1994年1月8日、東京ドームで開催。開始早々、日本チームのパスが相手にインターセプトされ、それがビッグリターンとなって先制点を許した。しかし、その後は守備陣がパワーあふれるアイビーチームのランプレーに立ち向かい、前半は日本チームが7-10とほぼ互角で折り返した。後半、アイビーチームに2TDを先行されたが、ショットガン攻撃で4Q4分に14-24に。試合終了直前に相手のスペシャルプレーで追加点を許し、14-31で敗れたが、日本チームは前年とは違った試合を見せた。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●「第5回アメリカンボウル」は8月1日、東京ドームでニューオーリンズ・セインツとフィラデルフィア・イーグルスが対戦。セインツが28-16で勝利した。前年に続いてNFLによる日本の関係者向けクリニックが開催された。
●「第17回コカコーラボウル」は12月6日、東京ドームで開催。ウィンスコンシン大がミシガン州立大に41-20で快勝した。この試合がミラージュボウル、コカコーラボウルと続いた全米大学公式戦の最後の試合となった。