社会人チームの実力差は数年前から小さくなっていたが、この年も接戦の試合が多く、僅差での勝敗がライスボウルへの道を分けた。一方、学生は関西の大学が甲子園ボウルを制覇することが多くなり、関東勢は数年に一度のペースでの勝利となった。
2001.01.01
お知らせ
関学大、悲願のライスボウル初制覇。海外での国際大会への参加増
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 1月6日 | 中央省庁再編 |
3月10日 | 東京スタジアム(調布市)開場。6月2日:札幌ドーム開場 | |
3月31日 | ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、大阪市に開園 | |
4月1日 | 国立スポーツ科学センター発足 | |
8月29日 | 日本のH-ⅡAロケット試験機1号機打上げ | |
9月11日 | 米国同時多発テロ9・11勃発 | |
10月7日 | 米軍によるアフガニスタン侵攻開始 | |
フットボール | 3月24日 | 関学大創立111年・部創立60周年記念、関学大-プリンストン大(大阪ドーム) |
5月12日 | 京都ボウル復活、京大-立命大(西京極陸上競技場) | |
5月28日 | 川崎球場改装記念試合、アサヒビール-松下電工 | |
7月7日 | 第12回平成ボウル。この回が最後の開催 | |
11月18日 | 札幌ドームオープニング記念第16回パインボウル、北大-東北大 | |
翌年1月3日 | 第55回ライスボウル、関学大、アサヒ飲料を下し初優勝 |
社会人チームの実力差は数年前から小さくなっていたが、この年も接戦の試合が多く、僅差での勝敗がライスボウルへの道を分けた。一方、学生は関西の大学が甲子園ボウルを制覇することが多くなり、関東勢は数年に一度のペースでの勝利となった。
[1]主な出来事
●2月3日、東京・日本青年館で日本協会主催の「第5回アメリカンフットボール医・科学研究会」が200人強が出席して開催された。1年前の前回は薬物使用や栄養、トレーニングなどのコンディショニングが中心であったが、この回はトレーニング法、ドービング、脳震とうなどを中心に熱心な発表や質疑応答が行われた。
●関東大学連盟は、前年にデモンストレーションした「7人制フットボール」を秋に開始し、7チームが参加した。
7人制の主なルールは以下の通り。
(1)フィールド上のプレーヤーは最大7人
(2)ラインマンは最低4人(うち少なくとも3人の番号は50~79)
(3)ブロックは(ランナーに対しても含み)ショルダーブロックとオープンハンドブロックのみで、ヒップブロックとカットオフブロックは禁止
(4)フィールドの大きさは11人制と同様
7人制は11人制フットボールとフィールドのサイズが同じで、プレーごとに選手が動く距離は11人制をしのぐものだった。また、7人制参加チームには交代要員も少ないため、攻守フル出場のチームが多く、1Q10分と短時間にしたが、選手の運動量はかなり多かった。交代要員のいない審判員も汗だくとなった。
●日本社会人協会は外国籍の選手に対する試合参加の規定を変更した。従来、日本の学校を卒業した外国籍選手のみ参加が許されていたが、その条件を外し、
外国籍を有する者で
(1)企業チームでは自社社員、クラブチームでは日本国内で生計を立てる職業に従事している者
を登録可とした。
ただし、
(2)NFL、アリーナフットボール、カナディアンフットボールなどの経験者は除く
(3)登録選手の上限は4人まで、オンフィールド(ダウン時の同時参加者)は2人まで
とした。なお、これらの制限は選手のみに適用され、コーチなどスタッフには「制限なし」となった。
●前年、さくら銀行とリクルートのクラブチーム化があったが、名門オンワードとすかいらーくが合併し「オンワードスカイラークス」として、また東京三菱銀行と東京海上が合併し、「ライオンズ」として活動することになった。これらのチーム統合は、実業団の活動が一段と厳しくなってきたことを感じさせた。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●3月、東京都調布市に東京スタジアムが完成。関東地区では秋のシーズンで3日間、6試合を使用した。のちに整備される隣接の補助グラウンド(のちの「アミノバイタルフィールド」)とともに、リーグ戦などで使用を開始した。同グラウンドはその後も長くリーグ戦の主会場として使用するとともに、東京スタジアム内に日本協会と関東大学連盟の事務所が移転した。
●2000年3月31日に老朽化で閉鎖となった川崎球場の全面改修が終了し、そのこけら落としとして5月26日、アサヒビールと松下電工の招待試合を開催した。アサヒビールが先行し、追い付いた松下電工が逆転の2点TFPを失敗してアサヒビールが7-6で勝利した。
●国内5番目となる大型ドーム競技施設の札幌ドームが6月2日にオープン。42,000人の観客席、世界初の天然芝と人工芝の「両面ステージ入れ替えシステム」が採用された。フットボールでは11月18日のパインボウル(東北大28-10北大)で初めて使用した。
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
特になし
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第47回西日本選手権
「第47回西日本社会人選手権決勝・グリーンボウル」は前年秋の東京スーパーボウルの対戦と同じ、松下電工とアサヒ飲料の顔合わせとなり、6月9日に長居競技場で開催された。松下電工が1Q5分、RB石井大介の1ヤードTDランで先制すると、前半だけで4TDを加えて35-7で後半へ。後半も守備陣がアサヒ飲料の反撃を許さず、49-13の大差で勝利した。松下電工は15回のランで121ヤード、2TDを獲得したRB樫野伸輔の活躍が光った。
●第47回西宮ボウル
「第47回西宮ボウル」は6月30日、西宮スタジアムに13,000人の観客を集めて開催。関西が攻・守・蹴に関東を圧倒し、29-0で史上初の完封勝ちを収め、4連勝とした。2Q14分、関西がRB三井進矢(関学大四年)の21ヤードTDランで先制し、7-0で後半へ。すると、関西はさらにDB植田勘介(関学大四年)とDB西田恭平(神戸大四年)のインターセプト、CB伊藤三朗(神戸大四年)の35ヤードのパントリターンTDで関東を突き放し、完勝した。対戦成績は関西の21勝25敗1分。
●第15回ヨコハマボウル
6月10日、横浜スタジアムで「第15回ヨコハマボウル」が開催された。
・第1試合は伝統ある東大-京大の第43回定期戦。ヨコハマボウル最多出場の京大に対し、東大は初出場。京大は1QにTB畑佑樹(四年)の16ヤードTDラン、TB関根剛志(四年)の1ヤードTDランで先行するが、東大も2QにRB宮崎丈朗(三年)の4ヤードTDランで反撃。後半は4Qに互いに1TDを挙げ、京大が21-14で接戦を制した。1959年に始まった定期戦の対戦成績は京大の32勝10敗1分。
・第2試合のアサヒビール-関東学生選抜(関東大学1、2部の11チームから選抜)は、社会人の雄・アサヒビールに学生チームの選抜が臨んだ画期的な試合だったが、アサヒビールが得点を重ねて56-0で圧勝した。
●第26回パールボウル
「第26回パールボウル」は6月4日、東京ドームでオンワードとすかいらーくが合併したオンワードスカイラークスと鹿島が対戦。オンワードスカイラークスがRB加畑康弘のスピードあふれるオープンプレーとQB富澤優一の小気味よいタイミングパスで主導権を握り、1Q10分に富澤からWR浦輝大への39ヤードのTDパスで先制。さらに2Q、SF和地英次郎のインターセプトなど守備陣の好プレーもあって2TDを追加した。
鹿島はその後、QB鈴木和佳からWR板井征人への10ヤード、7ヤードの2つのTDパスが決まり、オンワードスカイラークスが21-14とリードして後半へ。オンワードスカイラークスが後半に2TDを加えて34-21で勝利した。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●等々力硬式野球場、大井第二球技場、駒沢第二球技場と調布市の東京スタジアム、シーズン後半には改装した川崎球場を使用した。
Aブロックは法大が全勝で第4戦に中大と対戦し、前半6-0と苦戦したが、後半突き放して23-0で勝利した。続く第5戦、東大との全勝対決では序盤こそ押されたが、DE小林桂一(四年)や関東最強との呼び声高いDT西川岳志(三年)が激しいラッシュを浴びせて相手のミスを誘い、攻撃陣もTDの山を築いて57-3で圧勝。最終戦ではライバル・日大に29-6で勝利し、ブロック1位となった。
東大は法大には敗れたものの、最終戦で中大を破って2位となり、1996年以来5年ぶりにプレーオフに進んだ。日大は1勝5敗でブロック6位に沈み、2部との入れ替え戦では立大を14-0で破って残留を決めた。日大の初めての入れ替え戦出場、さらに甲子園ボウル優勝の経験がある伝統の両校の対戦に、2,000人余の観客と多くの報道陣が集まった。
Bブロックは混戦となった。日体大が第5節で早大に敗れ、また専大が東海大に敗れて全勝チームがなくなった。最終節では早大が東海大を28-21で、日体大が専大を23-8で破り、日体大が5勝1敗で1位に。専大と早大が4勝2敗で並び、直接対決で勝利した専大が2位で関東大学選手権に進んだ。
●第32回関東大学選手権
クラッシュボウル準決勝は11月23日、駒沢陸上競技場で開催された。
・法大-専大は法大がUB白木周作(四年)の3TDランなどで36-12で勝利した。
・日体大-東大は1Q、日体大が安富のTDランで先制するが、直後のキックオフを東大RB足立瞬(四年)が88ヤードのリターンTDで同点に。その後、日体大がTDを2つ加え、前半を21-7とリードして折り返した。後半も日体大がTDを追加するが、東大もQB関俊作(四年)からSE樫村直樹(四年)の2TDパスなど3TDを挙げて1点差に迫る。しかし、最後は4Q10分に日体大がRB千葉隆平(三年)の14ヤードランで突き放し、35-27で勝利した。
決勝は12月2日、さいたまスーパーアリーナで開催。法大は1Q4分にQB桑野智行(三年)の35ヤードTDラン、6分にTB伊藤喜章(一年)の6ヤードTDランで13-0とリード。2Qは両チームとも2TDずつを挙げ、3Qは法大が桑野からSE山岸康一朗(四年)への20ヤードTDパスとTE日田裕之(三年)への13ヤードTDパスで引き離した。日体大もQB中村豪介(三年)のTDパスなどで追い上げたが、法大が計8TDの猛攻で55-42と勝利した。桑野は自らのランで2TD、投げても2TDの活躍を見せた。法大はこれで関東大学リーグ8連覇とし、日大の記録に並んだ。
■関西(学生)
●関西学生リーグDiv.1は西宮スタジアムを主会場として開催。この年も関学大、立命大、京大の3強を軸とした展開となった。
前年優勝の関学大は、第2戦の近大戦はパスが通らずに4Q半ばまで10-10の同点で、最終的には27-10で勝利。第4戦の神戸大戦も63-26で勝利したが、守備が不安定で4TDを奪われた。
3強の直接対決の最初は立命大-京大。10月26日に西宮スタジアムに10,000人の観客を集めて開催。立命大は攻撃体型をショットガンで臨んだ。2Q、立命大はQB高田鉄男(二年)からWR冷水哲(二年)への5ヤードTDパスと、K鏑木宗平(二年)の44ヤードFGで10点を先行し、13-0で勝利した。
2戦目の関学大-立命大は11月11日、晴れの西宮スタジアムに25,000人の観客を集めて行われた。関学大は本来DLの石田力哉(四年、主将)を攻撃に参加させ、トリックプレーでQB尾崎陽介(三年)が4ヤードのTDパスを通した。また、DB陣が立命大のショットガンからのパス攻撃をよくカバーし、獲得距離は相手の半分ながら、10-6で逃げ切った。同率優勝の可能性は残されたが、最終戦の京大戦を待たずに3年連続の優勝が決まった。
リーグ戦最終試合、伝統の「関京戦」はこの年最多の28,000人の観客を集めた。京大は勝てば同率優勝に持ち込めたが、関学大はランとパスのバランスの取れた攻撃を展開。RB陣のランで2TDを先取すると、さらにQB尾崎陽介(三年)が2TDパスを通し、前半で27-0と大きくリード。守備でもDL石田力哉(四年、主将)らが京大OL陣を圧倒し、34-13で単独優勝を決めた。2位は立命大、3位は京大。4位は近大で、5位には2勝5敗の神戸大、甲南大、同大が並んだ。
■各地区(学生)
【北海道】 北大が最終週で札幌大と対戦し、前半で14-28とリードされたが、後半に7TDを挙げる猛攻で56-37と逆転し、7年連続優勝を遂げた。
【東北】 東北大と岩手大が最終日に全勝対決し、東北大が37-0で勝利して優勝を飾った。2位は岩手大で、以下山形大、東北工大、日大工学部だった。
【東海】 中京大が南山大との接戦を28-21で制し、6戦全勝優勝を果たした。
【北陸】 10月28日の最終戦で金沢大が福井大を攻守に圧倒し、51-0で8連覇を達成した。
【中四国】 10月14日に山口大と愛媛大が対戦し、愛媛大は攻守が噛み合い29-13で勝利して3年ぶりの優勝を遂げた。
【九州】 1部リーグは、近年強豪となった久留米大が全勝で九大に挑戦。久留米大が20-19で接戦を制し、全勝優勝を遂げた。
●「第5回北日本学生王座決定戦・第16回パインボウル」はこの年オープンした札幌ドームで東北大と北大が対戦。後半開始早々、東北大はRB太田周宏(四年)の62ヤード独走TDを挙げたほか、4QにはLB小貫信比古(四年)が大会史上初のファンブルリカバーTDを挙げて北大を28-10で破り、シトロンボウルに進んだ。
●「第5回南日本王座決定戦・第17回平和台ボウル」は久留米大と愛媛大が対戦し、前半は3-3で折り返した。3Qにも1TDずつ挙げで迎えた4Q、久留米大はQB下川朋義(四年)からTE中野剛(三年)への65ヤードTDパス、WR元田雅仁(二年)への20ヤードTDパスなどで21点を挙げ、31-17で勝って初優勝を遂げた。
●「第5回東日本学生王座決定戦・シトロンボウル」は12月9日、仙台スタジアムで行われ、関東準優勝の日体大が東北大を47-23で破った。
●「第5回西日本学生王座決定戦・ウエスタンボウル」は12月9日、博多の森陸上競技場で行われ、関西2位の立命大がショットガンの猛攻で初出場の久留米大に105-0で圧勝した。
◆秋季試合(社会人)
■秋季試合 関東(社会人)
●Xリーグイーストとセントラルは東京ドームを平日9日間、横浜スタジアムを休日に4日間、西武ドームを休日に3日間使用し、その他等々力硬式野球場や大井第二球技場を使用した。
●イーストは前年FINAL6進出を逃した鹿島が全試合危なげなく勝利して1位となった。鹿島に7-21で敗れた富士通が他の4試合に勝利し、2位でFINAL6FINAL6に進んだ。
●セントラルはリクルートとアサヒビールがともに開幕から5連勝でFINAL6出場を確定し、最終節で両者が対戦。前半をリクルートが7-6とリードで折り返すと、後半は息詰まる守備戦で互いに得点を許さず、リクルートが1位となった。
■秋季試合 関西(社会人)
●Xリーグウエストは長居球技場と西宮スタジアムで開催した。
●ウエストは松下電工がアサヒ飲料に7-14で敗れ、アサヒ飲料はベアーズに0-10で敗れ、ベアーズは松下電工に0-58で敗れ、3チームが4勝1敗で並び、当該チーム間の得失点差で松下電工とアサヒ飲料がFINAL6に進んだ。
■プレーオフ(社会人)
●FINAL6の1回戦は、3年連続のアサヒビールとアサヒ飲料の兄弟対決。互いに無得点で迎えた3Q開始直後、アサヒ飲料はQB桂雄史郎がDLのラッシュをかわして32ヤードをゲインし、最後はFGで先制。その後、RB中村多聞が3TDを挙げて24-6で勝利した。
もう1試合のリクルート-富士通は1Q、リクルートがQB松本義幸からエースWR堀江信貴への27ヤードTDパスで先制。富士通も前半終了間際にQB中澤大輔からWR水口貴雄へ4ヤードTDパスを決めて同点。4Q、リクルートはエースRB古谷拓也が2TDを挙げ、24-14で勝利した。
●準決勝はアサヒ飲料と鹿島が対戦し、前半は鹿島が10-7でリードしたが、アサヒ飲料が3Qにパスとランの2TDで逆転し、21-13で勝利した。
もう1試合はリクルートと松下電工が対戦し、4Q終了で7-7の同点となり、Final史上2度目のタイブレーク方式の延長戦に入り、松下電工がFGを決めて勝利した。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第56回甲子園ボウル
●「第56回甲子園ボウル」は12月16日、甲子園球場に29,000人の観客を集め、3年連続で関学大と法大が対戦した。法大は8年連続の出場で、関東代表では1977~84年の日大に並ぶ記録となった。
関学大は1Q、最初の攻撃シリーズでRB三井進矢(四年)、RB大谷智之(三年)のランなどで敵陣25ヤードまで進み、最後はQB尾崎陽介(三年)が大きく右に回り込むオープンプレーで先制TD。さらに2Q1分に三井が14ヤードのTDランで加点し、さらに尾崎TDを挙げて前半を21-0と大きくリードした。
関学大は3QにもK井田貴之(三年)の32ヤードFGで加点し、4Qの法大の反撃もRB中島賢治(四年)の1ヤードTDだけに抑えて24-6で勝利した。関学大はDL石田力哉(四年、主将)をLBの位置に下げた守備体型が効果的だった。関学大は4回の引き分け両校優勝を含む22回目の優勝で、単独優勝18回は日大の最多記録に並んだ。ミルズ杯は関学大のQB尾崎陽介(三年)が受賞した。
◆第15回日本社会人選手権・東京スーパーボウル
●「第15回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月18日、東京ドームに25,000人の観客を集め、前年に続いてアサヒ飲料と松下電工が対戦した。
開始1分、松下電工がRB樫野伸輔の51ヤード独走TDで先制。点の取り合いになるかと思われたが、その後は互いの守備陣が奮闘し、3Q終了まで両チーム無得点。4Qに入り、アサヒ飲料がRB中村多聞の8ヤードTDランで同点に。さらに12分、LB山田晋三がインターセプトからそのまま14ヤードを走って劇的な逆転TDを決め、14-7で連覇を果たした。MVPは山田が受賞した。
◆第55回ライスボウル
●「第55回ライスボウル」は翌2002年1月3日、東京ドームに26,000人の観客を集めアサヒ飲料(藤田智ヘッドコーチ)と5回目出場の関学大(鳥内秀晃監督)が対戦した。
アサヒ飲料は1Q11分、RB中村多聞が16ヤードを走って先制のTD。しかし、2Qに入ると関学大のスペシャルプレーが決まり出し、パンターに入ったTE榊原一生(四年)のギャンブルプレーで流れをつかみ、QB尾崎陽介(三年)やRB杉原五典(三年)がTDを挙げるなどして4TDで27点を奪う猛攻を見せた。アサヒ飲料は4Qに2TDを返すが、反撃もそこまで。関学大が30-27で接戦を制し、創部61年目で初の日本一に輝いた。学生は6年ぶりの勝利で、関学大は5度目の挑戦だった。MVPのポール・ラッシュ杯は尾崎が受賞した。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「第27回春季関東高校選手権」は準決勝で都立西高(東京4位)を28-19で破った早大学院(東京1位)と、埼玉栄高(SIC1位)と12-12の引き分けからコイントスで勝利した慶応高(神奈川1位)が決勝で対戦し、慶応高が6-0で勝って優勝した。決勝の早慶戦は26年ぶりのことだった。
●「第31回春季関西高校選手権」は準決勝で関西大倉高(大阪3位)を7-6で破った大産大付高(大阪1位)と、東邦高(東海代表)を29-6で破った立命館宇治高(京都1位)が決勝で対戦し、立命館宇治高が7-2で勝って優勝した。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月18日、横浜スタジアムで中大付高と法政二高の間で行われた。中大付高は2Q2分にTDランで先制すると、3Qには大量26点を挙げてリード。4Qに必死に反撃する法政二高を抑え、46-34で関東地区4回目の優勝を遂げた。準決勝で中大付高に迫った三島高の活躍も光った。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西大会」は、大産大付高が1回戦から3試合すべてで完封勝利を収めて優勝を決め、3年連続でクリスマスボウルに進出した。決勝は11月23日に西宮球技場で府立箕面高と対戦し、42-0だった。
◆第32回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第32回クリスマスボウル」は12月23日、東京スタジアムで6回目出場の大産大付高と4回目出場の中大付高が対戦。両チームの対戦は1994年以来2回目だった。
大産大付高がDT坂根賢一(三年)、LB塚田昌克(三年)、SF三宅剛志(三年)ら鉄壁の守備陣が素早いラッシュで中大付高の攻撃陣を翻ろうし、33-8で3連覇を果たした。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆タッチフットボール
●「第10回シュガーボウル(タッチフットボール日本選手権)」は6月9日、快晴の横浜スタジアムで行われ、女子の部は聖和大出身者が多い西宮アンジェリックアラムニーが同大ジョーズを破り優勝。一般の部は立命大出身者の多い京都スレイズがFCジャンブルを破って優勝した。
●「第10回女子タッチフットボール東西大学王座決定戦」は11月24日、西宮球技場で関東1位成城大、2位日大、関西1位神戸大、2位聖和大のトーナメントで開催。神戸大ルークスが決勝で成城大ブルックスを34-24で破り、3連覇を遂げた。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●第12回となる「平成ボウル」はスタンフォード大と関学大、オレゴン州立大と京大の各連合チーム間で開催された。1990年から続いた「平成ボウル」はこれが最後となり、翌年からは関西学生連盟加盟全校を対象とした「ニューエラボウル」となった。
●3月、「関西学院創立111周年・ファイターズ創部60周年記念試合」として大阪ドームで関学大-プリンストン大が開催された。接戦を展開し、関学大は4Q13分にQB尾崎陽介(二年)がWR東畠功周(三年)に20ヤードのTDパスを決め、25-24と3度目の逆転。しかし、プリンストン大が残り2秒で35ヤードのFGを決め、関学大は25-27で敗れた。
●1988年からほぼ隔年で開催されている関西高校選抜と米アシュランド高との対戦、「パシフィック・リムボウル」は9月1日、長居球技場で開催された。関西高校選抜はこれまで大阪と兵庫から選抜されていたが、今回から京都、滋賀、広島にも対象を広げた。試合は関西高校選抜が48-0で完勝した。
◆日本チームの活動(海外開催)
●この年発足した米新興プロフットリーグのXFLにLB山田晋三(アサヒ飲料)が参戦。メンフィス・マニアックスに入団し、初戦で2タックルを決めるなど活躍した。
●NFLヨーロッパには日本から過去最多となる7人の選手が参加した。アムステルダム・アドミラルズには5年連続のLB河口正史(立命大OB)とWR堀江信貴(リクルート)が、スコティッシュ・クレイモアーズには2年目のCB里見恒平(リクルート)と初参加のLB比留間慎吾(鹿島)が、ライン・ファイヤーにはWR天谷亮仁(IBM)とLB時本昌樹(近大OB)、WR笹野直紀(鹿島)が所属。堀江は2戦目で3キャッチして初の週間MVPとなり、天谷も3戦目で前年の板井征人に続く日本人2人目のTDパス捕球で週間MVPを獲得した。
●「第6回グローバル・ジュニア・チャンピオンシップ」は翌2002年1月から2月にかけて、米ニューオリンズのハーンビル高スタジアムで4チームが参加して行われ、日本は前年同様、関東大学リーグのU19(19歳以下)が参加した(監督:中澤一成東海大監督)。日本は初戦でカナダに12-54で敗れ、3位決定戦でも欧州に16-27で敗れた。
●1947年創設され、2002年に56回目を迎えた米ハワイ州マウイ島で開催の「全米オールスター戦フラボウル」にLB塚野啓介(法大四年)、QB桑野智行(法大三年)、QB尾崎陽介(関学大三年)、LB八木康太(立命大二年)、WR吉田潤平(甲南大二年)が日本から初めて参加した。