ワールドカップの第2回大会がドイツ・フランクフルト郊外で開催され、日本が連覇を果たし、フェアプレー賞も受賞した。競技活動70年を迎え、記念として日本フットボールのルーツである関東大学アメリカンフットボール連盟は、翌年6月にIVY-SAMURAIボウルを開催することとした。
2003.01.01
お知らせ
日本がW杯連覇。立命大、ライスボウル連覇で大学勢3連勝
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 2月1日 | 米スペースシャトル・コロンビア号帰還時空中分解事故 |
3月20日 | 米国主体の有志連合軍、イラクへ侵攻(イラク戦争) | |
4月4日 | 重症急性呼吸器症候群(SARS)、新感染症に指定 | |
5月12日 | 第1回スポーツアコード会議、マドリードで開催。以降、毎年開催 | |
9月25日 | 日本フットボール学会設立(主としてアメリカンフットボール、ラグビー、サッカー対象) | |
10月1日 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA)発足 | |
10月1日 | 日本スポーツ振興センター設立 | |
フットボール | 2月23日 | 第2回W杯アジア・オセアニア地区予選、日本が韓国に勝利(長居球技場) |
4月1日 | 関西協会、王子スタジアム内に事務所移転、4月12日:王子スタジアム改修工事竣工 | |
5月11日~ | 第1回関西中学アメリカンフットボール選手権 | |
5月16日 | IFAF、国際競技連盟連合(GAISF)に加盟(準会員) | |
6月28日 | 関西高校4府県オールスター対抗戦、第1回プリンスボウル(王子スタジアム) | |
7月10日~ | 第2回W杯、ドイツ・フランクフルト近郊で開催、日本2連覇 | |
翌年1月3日 | 第57回ライスボウル、立命大がオンワードスカイラークスを破り連覇 | |
翌年1月10日 | えびすボウル(Xリーグウエストと関西学生のオールスター戦) |
ワールドカップの第2回大会がドイツ・フランクフルト郊外で開催され、日本が連覇を果たし、フェアプレー賞も受賞した。競技活動70年を迎え、記念として日本フットボールのルーツである関東大学アメリカンフットボール連盟は、翌年6月にIVY-SAMURAIボウルを開催することとした。
[1]主な出来事
●5月16日、マドリードで開催された第37回国際競技連盟連合(GAISF)の年次総会で、国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)の準会員としての加盟が満場一致で認められた。
●3月31日、日本の社会人フットボールの興隆を築いてきたレナウンが解散した。1971年に創部し、83年から社会人リーグで6連覇。85年度シーズンに社会人チームとして初のライスボウル制覇を果たすなど、社会人フットボールの発展に寄与した。
●前年2月に発足した「関西アメリカンフットボール・コーチ協会」(平井英嗣会長、正会員218人、準会員109人)が3月9日、大院大で第1回年次総会を開催し、142人が出席した。基調講演を武田建氏(元関学大監督)が行い、同氏が米国留学時に影響を受けたコーチの一人であるノートルダム大ヘッドコーチのエイラ・パーシージャン氏による選手へのアプローチ法や武田氏が専門とする行動心理学の応用について紹介。その他、各分野の指導者の講演などが行われた。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●前年閉鎖された西宮スタジアムに代わる競技場として期待される神戸市の王子陸上競技場(王子スタジアムの愛称でも知られる)が、4月に人工芝化された。竣工記念試合として4月12日、「プリンスボウル」(兵庫県高校春季大会予選リーグ)が開催された。「プリンスボウル」の名称はその後、大阪、兵庫、京都、滋賀の高校選抜戦の名称となり、第1回大会を6月28日に開催。第1試合は大阪選抜が兵庫選抜を19-13で破り、第2試合は京都選抜が滋賀選抜を49-0で下した。関西協会事務所も同競技場内に移転した。
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
●キックオフ時の計時開始は、試合を通じて、ボールがタッチされた時となった。
[3]春季試合
◆春季試合(社会人)
●2001年にそれまでの東京三菱銀行と東京海上が合併してライオンズとして活動してきたが、この年から三菱電機ソシオテックスを統合し、オール三菱ライオンズとして活動を開始した。
◆春のボウルゲーム
●第49回西日本選手権
「第49回西日本社会人選手権」は8チームが参加してトーナメントを実施。決勝の「グリーンボウル」は6月7日、王子スタジアムでアサヒ飲料と松下電工が4年連続で対戦。松下電工が前半2TD挙げて先行したが、アサヒ飲料がショットガンからのQBカウンターを駆使して3Qに逆転。27-14で松下電工を破った。
●第17回ヨコハマボウル
「第17回ヨコハマボウル」は6月1日、横浜スタジアムで開催された。
・第1試合の立命大-早大は、開始早々に立命大のQB高田鉄男(四年)からパスを受けたWR長谷川昌泳(三年)が85ヤードの独走TDで先制。その後も得点を重ね、77-28で勝利した。
・第2試合、ヨコハマボウル初の社会人対決となった松下電工-アサヒビールは守備戦となり、10-10で引き分けた。
●第28回パールボウル
「第28回パールボウル」は23チームが参加してのトーナメント戦を実施。決勝は6月9日、東京ドームで富士通とオービックの対戦で行われた。
試合終了36秒前、オービックがFGで13-7とリードを広げ、勝利を目前としたが、富士通は俊足リターナー小島行博が62ヤードのビッグリターン。するとQB中澤大輔がWR水口貴雄に21ヤードのパスを決め、最後は中澤が1ヤードのQBスニークで同点TD。TFPのキックをK長谷樹が決め、大接戦を富士通が14-13で制した。
[4]秋季試合
■関東(学生)
●関東大学リーグは大井第二球技場を主に、等々力硬式野球場などで開催。この年から東京スタジアム隣の補助グラウンド(アミノバイタルフィールド)の使用を始めた。
●ここ2年、甲子園ボウルに出場した法大と早大が同じAブロックに入った。法大は5戦目の日体大戦でTB伊藤喜章(三年)が徹底的なマークに遭って苦戦したものの、19-7で勝利。しかし、最終節の早大との全勝対決は、パス多用の攻撃が裏目に出て21-24で敗れ、2位となった。早大がブロック1位。
Bブロックは専大が筑波大にやや苦戦したものの、全勝で1位となった。東海大と中大が4勝2敗で並んだが、直接対決の結果で東海大が2位で関東大学選手権に進んだ。4位は明大、5位は1部に復帰した立大となり、日大は1勝4敗1分で6位だった。
●第34回関東大学選手権
第34回関東大学選手権・クラッシュボウル準決勝の早大-東海大は4Q終了で34-34となりタイブレーク方式の延長戦に突入。東海大がFGを決めて勝利した。法大-専大は接戦となったが、法大守備陣が相手のランを69ヤードに抑え、20-14で勝利した。
決勝は王座奪回を期す法大と甲子園ボウル初出場を目指す東海大が対戦。ネーミングライツで東京スタジアムから名称を変更した味の素スタジアムで開催された。法大はQB永浦公人(三年)がパスでシーズン最多の159ヤードを獲得。K飯塚啓太(二年)の好キックと守備陣の活躍などで27-10で勝利した。
■関西(学生)
●9月6日、尼崎陸上競技場で開幕した関西学生リーグDiv.1は王子スタジアム、長居球技場を主に使用した。開幕前、関学大夏合宿の最終日、守備の要だったLB平郡雷太選手が心不全で倒れ、死亡するという事故があった。関学大ではすぐに事故報告書作成委員会が編成され、報告書が遺族の了解を得て公表された。
関学大は練習を再開したものの、第2戦で2部から復帰した関大に6-7で敗れ、第6戦の京大戦も7-16の敗戦。最終の立命大戦では、前半を21-10とリードしたが、4Q残り2分に立命大のQB高田鉄男(四年)からWR長谷川昌泳(三年)への4ヤードTDパスが決まり、TFPでもWR冷水哲(四年)へのパスが決まって21-21の同点に。さらに残り1秒で立命大のRB/K岸野公彦(三年)にFGを決められ、21-24で敗れた。関学大は13年ぶりの3敗で、同率3位となった。
立命大は順当に白星を重ね、第5戦で京大と全勝対決。京大の攻撃をラン60ヤード、パス73ヤード、シリーズ更新数を6に止める守備陣の活躍で、31-0で勝利した。試合後に京大の水野彌一監督に「立命大は学生史上最強のチーム。それも圧倒的に」と言わせる強さだった。立命大は続く近大戦も62-0で完勝し、最終戦を待たずに初のリーグ2連覇を決めた。2位は京大、3位に関学大と近大が並び、以下関大、同大、神戸大、甲南大だった。
■各地区(学生)
【北海道】 10月19日、厚別公園競技場で最終の北大-北海学園大が行われ、北海学園大が25-23で勝利し、全勝で22年ぶりの優勝を果たした。
【東北】 Aブロック4チーム、Bブロック3チームでリーグ戦を行い、各ブロック1位の東北大と弘前大が優勝決定戦で対戦。東北大が32-3で勝って優勝した。
【東海】 1部リーグは7チームで開催。名城大が山場と見られていた4戦目の中京大戦に21-0で勝利。6戦全勝で2年連続6度目の優勝を遂げた。
【北陸】 1部リーグは5チームで開催。金沢大が攻撃ラインに負傷者が続出したが、4戦全勝で優勝。以下福井県立大、金沢工大、富山大、福井大となった。
【中四国】 1部リーグは5チームで開催。広島大が全試合、全Qで得点を挙げ、守備陣も計3TDに抑える活躍で3年ぶりの優勝を飾った。
【九州】 1チームが棄権し、5チームで開催。久留米大が初戦で福岡大に24-21で逆転勝利を収めると、苦しみながらも4戦全勝とし、2年ぶり2度目の優勝を果たした。
●「第7回北日本学生王座決定戦・第18回パインボウル」は11月24日、札幌ドームで開催された。北海道代表は創部30周年でパインボウル初出場の北海学園大。東北代表は常連の東北大だった。
東北大は1Q、エースRB佐藤昭一郎(三年)が右オープンから19ヤードを走って先制TD。以降も得点を重ねて48-12で勝利し、2年ぶり10回目の優勝を飾った。
●「第7回南日本王座決定戦・第19回平和台ボウル」は11月16日、秋晴れの平和台陸上競技場で広島大と久留米大が対戦。広島大は1Q、RB寺尾康昭(四年)のTDランで先制。2Qには相手ファンブルをLB堀之内健(2年)がリカバーし、再び寺尾のTDにつなげてリードを広げ、28-14で勝利し、10年ぶり4回目の南日本王座に就いた。
●「第7回東日本学生王座決定戦・シトロンボウル」は12月10日、仙台スタジアムで行われ、関東ベスト4の早大が東北大を53-34で破った。
●「第7回西日本学生王座決定戦・ウエスタンボウル」は12月8日、広島県総合グラウンドで行われ、関西6位の同大が広島大を41-21で破った。
◆秋季試合(社会人)
■秋季試合 関東(社会人)
●Xリーグイーストとセントラルは9月11日、東京ドームで開幕。東京ドームは平日を中心に8日間、横浜スタジアムは休日に4日間、西武ドームと等々力硬式野球場も休日に各3日間使用した。
●イーストは前年合併したオンワードスカイラークスが、最終戦で富士通との激戦を29-23で勝利し、全勝で1位となった。QB富澤優一はパス総獲得距離を1,216ヤードとし、個人歴代記録を更新した。アサヒビールが富士通と引き分け、両者ともに3勝1敗1分となったが、アサヒビールが順列2位でFINAL6への出場権を得た。
セントラルは最終戦で鹿島とオービックが全勝で対決し、守備戦を鹿島が10-3で制した。鹿島は1Q、K田中智裕の30ヤードFGで先制すると、2QにQB鈴木和佳からWR松永太郎への10ヤードTDパスで10-0とリード。これを守備陣が守り切った。オービックのリーグ戦連勝は14で止まった。
■秋季試合 関西(社会人)
●Xリーグウエストは9月12日、長居球技場で開幕。リーグ戦の前半は長居球技場を、後半は加えて王子スタジアムも使用した。
松下電工とアサヒ飲料が全勝で最終節に対戦。4Qにアサヒ飲料がTDを挙げて1点差に迫ったが、同点を狙ったTFPのキックが外れ、松下電工が14-13で勝利した。
■プレーオフ(社会人)
●FINAL6、1回戦のアサヒ飲料-オービックはアサヒ飲料が主力に負傷者を出しながらも社会人2連覇を目指すオービックを16-9で破った。鹿島-アサヒビールは鹿島が1QにFGで先制。その後は守備戦となり、4Q残り4分にアサヒビールのDB米田孝司が相手のパスをインターセプトし、そこからの攻撃でRB伊是名隼人が5ヤードTDランを挙げて逆転。アサヒビールが7-3で劇的な勝利を収めた。
準決勝、激しい雨の中で開催されたアサヒビール-松下電工は、アサヒビールが前半リードすると、松下電工はファンブルで逆転の機会を逃し、アサヒビールが21-14で勝利した。
オンワードスカイラークス-アサヒ飲料はオンワードスカイラークスが強力な攻撃陣が全Qに得点し、41-17で勝利した。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第58回甲子園ボウル
●「第58回甲子園ボウル」は12月21日、甲子園球場に28,000人の観客を集め、立命大と法大が5年ぶりに対戦した。
立命大は最初の攻撃シリーズで、QB高田鉄男(四年)の小気味よいパスとRB岸野公彦(三年)の鋭いランで前進し、5分に岸野が5ヤードを走ってTD。さらに1Q終了間際、岸野が20ヤードTDランを挙げると、2Qにも高田とRB斎藤壽師(三年)がそれぞれランでTDを挙げ、27-0と大きくリードした。
後半も立命大の攻撃は止まらず、守っては法大の反撃を4Qの1TDのみに抑え、61-6で勝利した。61得点は大会最多記録にあと4点に迫る歴代3位で、55点差は1978年の第33回大会で日大が関学大相手に記録した56点差(63-7)に次ぐ記録となった。
前年に続く関西勢の大差の勝利で、東西の実力差が拡大したと言われた。ミルズ杯は立命大のQB高田鉄男(四年)が前年に続いて受賞。2年連続受賞は、1979、80年のQB鈴木隆之(日大)、86、87年のQB東海辰弥(京大)に続き、史上3人目となった。
◆第17回日本社会人選手権・ジャパンXボウル
●日本社会人選手権はこれまで「東京スーパーボウル「として開催されてきたが、「ジャパンXボウル」と名称を変更し、12月16日に東京ドームに22,500人の観客を集め、オンワードスカイラークスとアサヒビールが対戦した。
1Q4分、オンワードスカイラークスは相手のパントをDB新井聖士がブロックし、それをDL町田篤志が拾い上げて7ヤード走って先制のTD。アサヒビールも前半終了間際にTDランで追い付き、7-7で前半を終了した。オンワードスカイラークスは3Q7分、FB金子宗樹の1ヤードのTDランでリードを奪うと、アサヒビールの反撃を1FGのみに抑え、13-10で勝利した。MVPはオンワードスカイラークスのRB加畑康弘が受賞した。
◆第57回ライスボウル
●「第57回ライスボウル」は翌2004年1月3日、東京ドームに27,000人の観客を集めてオンワードスカイラークスと立命大が対戦した。
立命大は先制を許したが、1Q10分にQB高田鉄男(四年)がスナップを受けるとRBへハンドオフのフェイクを入れ、しばらく相手に背を向けてから反転し、戸惑う守備陣の間をすり抜けてエンドゾーンまで16ヤードを駆け抜けた。立命大はその後もTD、FGで加点し、28-16で勝利した。
立命大のQB高田鉄男(四年)は試合を通して6回のQBサックを受けて計42ヤードをロスしたが、ファンブルはゼロ。パスのインターセプトも一度もされずにボールを守った。反対にオンワードスカイラークスは立命大DB福島和敏(三年)の2回など計4回のインターセプトを喫し、また3度の第4ダウンのギャンブルも失敗。今季、学生相手に1試合平均6.3失点の立命大は、SS高橋健太郎(四年、主将)、DT森陽一郎(四年)、LB西洋成(四年)をはじめとする守備陣の活躍が光った。
サイズで上回るオンワードスカイラークスを、立命大はスピードと万全の準備で破り、2年連続4回目の日本一に。学生代表は3連勝で、対戦成績を学生の11勝10敗とした。学生の連覇は京大、日大に続いて3チーム目。1996年にXリーグが始まってからは初の快挙となった。MVPのポール・ラッシュ杯は立命大のQB高田鉄男(四年)が受賞した。
[6]高校フットボールの活動
●1971年から西宮ボウルの第1試合として開催されてきた大阪と兵庫の高校選抜戦が2002年に西宮ボウルが終了して以降は開催されず、復活を望む声が多かったことから、関西地区高校の選抜戦「プリンスボウル」が創設された。
第1回は6月28日に王子スタジアムで、大阪、兵庫、滋賀、京都の各府県単位のチーム編成とし、兵庫選抜-大阪選抜、京都選抜-滋賀選抜の2試合が開催された。このプリンスボウルは、2005年から4府県の対戦が毎年変わることにし、また2006年からは東海、広島地区からも選抜された選手が、4府県のチームに加わる形式になった。
◆春季大会(高校)
●「第29回春季関東高校選手権」は準決勝で三島高(静岡1位、足立雄三監督)を34-3で破った日大三高(東京1位、漆間健夫監督)と、都立戸山高(東京2位、田淵浩司監督)を29-6で破った法政二高(神奈川1位、桑原武明監督)が決勝で対戦し、法政二高が28-0で勝って優勝した。
●「第33回春季関西高校選手権」は準決勝で箕面自由学園高(大阪3位、富田秀司/中山耕司顧問)を48-0で下した大産大付高(大阪1位、山嵜隆夫監督)と、関西大倉高(大阪2位、岸本俊之監督)を3-0で破った立命館宇治高(京都1位、丸山浩史監督)が決勝で対戦し、大産大付高が17-0で勝って優勝した。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月30日、横浜スタジアムで日大三高(漆間健夫監督)と法政二高(桑原武明監督)の間で行われた。法政二高は部員数108人と、この年の高校で最多を誇り、また春季大会決勝で日大三高を28-0で下していた。しかし、この秋季大会では、両校が激しい試合を繰り広げ、日大三高が25-23で逆転勝ちした。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月30日、王子スタジアムで関学高(中尾昌治監督)と立命館宇治高(丸山浩史監督)の間で行われ、開始早々の1Q1分、立命館宇治高がTDランで先制。その後は2Qに関学高が1FGを挙げただけで、守備戦のまま4Qに突入。関学高が6分に20ヤードTDパスで10-6と逆転し、8年ぶりに関西大会で優勝した。
◆第34回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第34回クリスマスボウル」は12月21日、小春日和の味の素スタジアムで関学高と日大三高が対戦。2年連続出場の日大三高は1Q6分、FGで先制すると、3Q3分にTDランを挙げて10点をリード。しかし、関学高は9-10と1点差に迫ると、4Qに2TDを挙げ、22-17で逆転勝ちした。関学高はLB三宅教博(三年)を中心とする守備陣が日大三高のラン攻撃を平均2.9ヤードに抑える奮闘で、8年ぶり15回目の高校日本一となった。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●関西中学連盟(高槻中、関学中、六甲学院中、長浜西中、長浜南中)とチェスナットリーグ(千里ファイティングBee、クラッシュベアーズ、大阪ベンガルズ)が合同でトーナメント方式で争う「第1回関西中学アメリカンフットボール選手権」が5月に開催。決勝で千里ファイティングBeeが長浜西中を下し優勝した。
●12月23日、長居球技場で東西の中学生アメリカンフットボールの優勝チームの対戦が行われ、関西代表の千里ファイティングBeeが関東代表の世田谷ブルーサンダースを20-0で破り、優勝した。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(海外開催)
●国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)」主催の第2回ワールドカップ(W杯)が7月、ドイツ・フランクフルト近郊で開催された。アジア・オセアニア地区の代表枠は第1回の2から1に減り、2月に長居球技場で行われた予選では、日本が韓国に88-0で圧勝した。
日本代表は第1回大会と同様、阿部敏彰氏(アサヒビール)が監督を務め、守備コーチに大橋誠(オービック)、深堀理一郎(アサヒビール)、高野元秀(大院大)の各氏、攻撃コーチに森清之(鹿島)、伊藤吾郎(富士通)、須永恭通(オンワードスカイラークス)の各氏が就任。選手は主将のDE佐々木康元(アサヒビール)をはじめ45人で、第1回と連続で代表入りしたのは8人だった。体格の大きな外国チームに慣れるため、6月22日に川崎球場でW杯壮行試合として在日米軍オールスターと対戦。90-12で圧勝し、開催地のドイツに旅立った。
大会に参加したのはドイツ、フランス、メキシコ、日本の4チームで、第1回の6チームから減少。トーナメント方式で行われ、7月10日に1回戦(準決勝)を行い、中1日の同12日に決勝と3位決定戦を行うという強行日程だった。
日本は1回戦でフランスと対戦。体格は日本より大きく、NFLヨーロッパに参加する選手が多いフランスは攻撃力が高いと見られたが、日本守備陣もDL佐々木康元(アサヒビール)、DE山中正喜(松下電工)、LB山田晋三(アサヒ飲料)らの活躍で前半を無失点で抑え、0-0で後半に突入。
後半早々、日本は相手のパントをS大島康司(アサヒ飲料)がブロックし、相手エンドゾーンに転がったボールをS市川敏伸(オンワードスカイラークス)がリカバーして先制。さらにK小山真(学生援護会)の2つのFG、RB森本裕之(富士通)からQB富澤優一(オンワードスカイラークス)、さらにWR水口貴雄(富士通)へと渡るフリーフリッカーでの31ヤードのTDなどで23-6と勝利し、決勝に進んだ。
決勝はドイツを下したメキシコと対戦。前回大会に続いての顔合わせとなった。1Q、日本はメキシコに先制を許したが、1Q終盤に相手のパントをキャッチしたWR清水謙(オービック)が敵陣27ヤードまでリターン。この7プレー後にQB富澤優一(オンワードスカイラークス)からWR板井征人(鹿島)への10ヤードTDパスが決まって同点とし、さらにLB玉井摂人(アサヒビール)のインターセプトリターンTDも出て逆転。前半を17-7とリードして折り返した。
後半、日本は攻撃ラインのC鴨志田正樹(オンワードスカイラークス)、G古川裕巳(鹿島)らのブロックで相手DLを支配。RB波武名生則(アサヒビール)の59ヤードの独走TDランで24-14とメキシコを引き離した。さらに4Qにも加点して34-14で勝利し、W杯2連覇を遂げた。日本から自費で参加した38人のチアリーダーや地元日本人学校の280人の生徒、日本からの観戦に来た多くの人々の声援に応えた。3位はドイツ、4位はフランスだった。
大会終了後、組織委員会からW杯のベストイレブンが発表され、攻撃、守備、スペシャリストの計24人中12人を日本選手が占めた。
位 置 |
氏 名 | 所 属 |
LG | 今井 栄太 | オール三菱 |
RG | 古川 裕巳 | 鹿 島 |
RT | 寺山 裕樹 | アサヒビール |
WR | 板井 征人 | 鹿 島 |
QB | 富澤 優一 | オンワードスカイラークス |
RB | 波武名 生則 | アサヒビール |
RB | 古谷 拓也 | オービック |
DT | 藤井 洋 | アサヒビール |
SLB | 玉井 摂人 | アサヒビール |
MLB | 山田 晋三 | アサヒ飲料 |
CB | 野村 昌弘 | 松下電工 |
K/P | 小山 真 | 学生援護会 |
●U19による第8回グローバル・ジュニア・チャンピオンシップが翌2004年1月、米ヒューストンで開催された。第1ラウンドは参加5か国が前年同様、1Qずつ総当たりを行う方式。日本はこれまでの関東大学リーグに加え、北海道と東北からも参加した。日本は決勝に進めずに3~5位決定戦に回り、ロシアに勝利したもののメキシコに敗れ、4位となった。この順位決定戦も1試合2Qの変則方式で行われた。
●NFLヨーロッパには日本からアムステルダム・アドミラルズに7年連続のLB河口正史(立命大OB)、LB山田晋三(アサヒ飲料)、LB石田力哉(アサヒ飲料)が参加した。
●前年から日本選手が参戦したアリーナフットボールのaflは、CB里見恒平(オービック)がインディアナ・ファイヤーバードでプレーした。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●12回目となる「アメリカンボウル」は8月3日、東京ドームでタンパベイ・バッカニアーズとニューヨーク・ジェッツが対戦し、バッカニアーズが30-14で勝利した。日本人選手のWR井本圭宣(オンワードスカイラークス)とLB山田晋三(アサヒ飲料)が両チームに加わって出場した。