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INFORMATION ニュース

2007.01.01

2007年(平成19年) 活動74年目

お知らせ

第3回W杯川崎大会、日本が準優勝。高・大・社すべて関西勢が制覇

日 付 主な出来事
社  会 2月2日 国連気候変動政府間パネル、温暖化による100年後の環境悪化予測
7月16日 新潟県中越沖地震(M6.8)
9月14日 月周回衛星かぐや、打ち上げ成功
10月1日 郵政3事業民営化
フットボール 1月27~28日 第1回X FLAG、関東、関西で開催
3月28日 日本協会が日本体育協会(現日本スポーツ協会)に準加盟
6月3日 日本代表強化試合、対関東学生選抜(横浜)、17日:対在日米軍選抜(川崎)
7月7~15日 第3回ワールドカップ、川崎で開催。6か国参加で日本準優勝
7月27日 パシフィック・リムボウル第10回記念大会(米アシュランド高)
8月7日 関東中学生アメリカンフットボール連盟設立
12月16日 甲子園ボウル、球場改装のため長居陸上競技場で開催。18年ぶりの関学大-日大
翌年1月3日 第61回ライスボウル、松下電工、関学大を下し3回目の優勝

7月、第3回ワールドカップが初めて日本(川崎市)で開催され、日本、米国、スウェーデン、フランス、ドイツ、韓国の6チームが出場した。日本は初戦のフランス、続くスウェーデンにともに快勝。決勝は初参加の米国と対戦し、17-17で延長戦に突入したが、日本は敗れて準優勝だった。

[1]主な出来事

●「関西アメリカンフットボール・コーチ協会」(伊角富三会長)が2月18日、大院大で第5回年次総会を開催し、91人が参加した。特別講演はU19日本代表の山田晋三ヘッドコーチが「TEAM BRANDING STRATEGY」と題して実施。午後は5つのコーチングクリニックを開催した。

同協会は7月18、21の両日、「2007年度サマーミーティング」を開催した。1日目は阪急ターミナルスクエアで、先に開催された第3回ワールドカップ(W杯)川崎大会で米国代表のヘッドコーチを務めたジョン・マコビック氏を招いて質疑応答形式の懇談会を実施。21日には兵庫医大西宮キャンパスでシーズン前の公式規則変更の確認や安全対策の講演、第3回W杯川崎大会で韓国代表を率いた大産大の茨木克治監督から各国の現状と韓国のフットボール事情が紹介された。

●2月24日(関東地区)、25日(関西地区)に日本社会人協会主催の「第3回ジョン・ポント・レジェンドクリニック」が開催された。3年前まで学生援護会のヘッドコーチとしてチームを12年率いたジョン・ポント氏がコーディネーターとなり、同氏とマイアミ大のコーチ4人が来日し、多角的なテーマで講演した。グラウンドでのクリニックもあるため、参加者の傷害保険料相当だけの参加費で開催。コーチクリニックには東西で合わせて402人が、フットボール教室には246人が参加する盛況だった。このクリニックはこれが最後となった。

●3月10、11日、中四国学生連盟主催の「フットボールクリニック」が広島県江田島市で開催され、約150人が参加した。講師陣は日本社会人協会強化育成部に所属するXリーグウエストのメンバーが担当し、日中は実技指導、夜はポジション別の集中講義を実施。トレーナーとマネジャーには安全対策の講習も行われた。

●3月28日、日本体育協会の評議員会で、日本協会の準加盟が承認された。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆公式規則

●第3回ワールドカップで審判員として来日した米BIG10カンファレンスの審判員ウィリアム(ビル)・レモニア氏が、審判員に対してクリニックを開催した。同氏はUSAフットボールのオフィシャルズ・コンサルタントで、欧州、アフリカ、豪州など世界各地でフットボールの普及や審判組織の支援を行っている専門家。以降ほぼ毎年春に来日し、日本の審判組織の支援を行った。

【この年の日本の主な規則変更】

特になし

 

[3]春季試合

◆春のボウルゲーム

●53回西日本選手権

第53回西日本社会人選手権「グリーンボウル」は5月27日、王子スタジアムで行われ、2年ぶり出場の松下電工と初出場の名古屋が対戦。松下電工はDB仲田亨の25ヤードファンブルリターンTDをはじめ攻守に圧倒し、63-0で勝利した。

●第21回ヨコハマボウル

「第21回ヨコハマボウル」は6月3日、横浜スタジアムで開催。川崎市で開催される第3回ワールドカップ(W杯)の開催の間近だったため、これまでの対戦カードとは異なり、「第21回TOUCHDOWN招待試合・W杯日本代表壮行試合」として行われ、W杯日本代表候補が関東学生選抜を76-7で破った。

61人の日本代表候補がW杯の45人の代表枠を目指す戦い。DL脇坂康生主将(松下電工)率いる日本代表候補は、パス捕球7回で94ヤード、2TDを獲得して最優秀選手となったWR清水謙(オービック)、2回のロスタックルを含む3タックルで最優秀ラインとなったLB古庄直樹(オービック)らが活躍した。

●パールボウル

初夏を彩る恒例の「パールボウル」は、川崎市でワールドカップが開催される時期と重なることから、開催されなかった。

 

[4]秋季試合

◆秋季試合(学生)

■関東(学生)

●関東大学リーグ1部はアミノバイタルフィールドを主会場として開催し、川崎球場と駒沢陸上競技場も使用した。

Aブロックは、法大が日体大に44-21、一橋大に26-14とやや競ったが、他の試合は危なげなく勝利して最終週に進んだ。早大は日体大に47-35、一橋大に31-28、専大に9-0と危ない試合もあったが、勝ちを重ねた。最終戦の法大-早大はともに全勝で迎えた一戦。前年から甲子園ボウルへの道はブロック1位校に限られることから、熱戦が期待された。

法大と早大は予想通り接戦となり、4Q終了時に7-7でタイブレーク方式の延長戦に突入。法大は5回の攻撃すべてでQB菅原俊(四年)のパスでTDを挙げれば、早大はスペシャルプレーを繰り出してTDで応酬。しかし、早大は5回目でTDを挙げられず、法大が延長戦34-26で勝利した。

3位は日体大、4位は一橋大。1部に昇格した武蔵工大が横国大を破り、1勝を挙げた。

Bブロックは前年ブロック3位の日大が試合を重ねるごとに力を付け、第6戦で前年ブロック1位の慶大と全勝対決。1Q4分、日大RB金雄一(四年)がエンドゾーンに飛び込み、先制TD。慶大もQB青木洋(四年)の23ヤードTDランで追い掛けるが、日大は金の3つのTDランなどで圧倒し、48-24で勝利。最終週の中大戦も40-13で勝ち、ブロック1位となった。2位はともに2敗の明大と慶大で、4位は関東学院大となった。

●第38回関東大学選手権

両ブロック1位同士の「第38回関東大学選手権・クラッシュボウル」は法大と日大が対戦。これまで両者の公式戦の対戦成績は日大が32勝20敗3分とリードしていたが、日大は1990年の勝利を最後に16年間勝利がなく、13連敗中だった。

法大は2Q半ばまでに27-7と大きくリード。さらに日大のQB木村幸二朗(四年)が3Qに負傷交代したが、日大は代わった二年生QB平本恵也がトリックプレーを決めるなど奮闘して逆転。最後は法大にゴール前5ヤードまで攻められたが、守備陣がしのいで38-34で1990年以来17年ぶりに関東で優勝を飾った。

法大は甲子園ボウルを連覇し、学生相手には2005年の関東大学リーグ初戦から公式戦で25連勝していたが、ともに途切れた。日大は宿敵を破っての関東王座返り咲きで、「不死鳥」が復活した。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグDiv.1はエキスポフラッシュフィールドを主会場とし、王子スタジアム、西京極陸上競技場なども使用した。

関学大は連覇に向けて戦力の充実ぶりが伝えられ、前年の甲子園ボウルを経験したQB三原雄太(四年)の冷静な司令塔ぶりが際立った。開幕の龍谷大戦では11回のパスをすべて成功させ、6戦目の京大戦でインターセプトされるまで5試合連続被インターセプトがゼロと安定していた。立命大も関大戦は17-9と接戦だったが、他の試合は完勝し、最終戦で関学大との3年連続の全勝対決を迎えた。

11月25日、雲一つない長居スタジアムで行われた一戦は、予想通り接戦となった。1Q6分、立命大はTB松森俊介(三年)の21ヤードTDランで先制。その後、関学大はQB三原雄太(四年)からRB河原聡旨(二年)への7ヤードTDパスと三原の1ヤードTDランで逆転した。さらに、その後のキックオフでK大西史恭(四年)がオンサイドキックを成功させて攻撃権を獲得。続くプレーで三原からWR秋山武史(四年)にロングパスを通してTDを挙げた。その後も守備は押されながらもリードを保ち、必死に追い上げる立命大を振り切って31-28で勝利した。3位は関大で、以下京大、近大、神戸大、龍谷大、同大となった。

 

■各地区(学生)

【北海道】 1部6校、2部は4校、5校の2ブロックで開催。1部は北大が北海学園大に18-8、小樽商科大に14-7と接戦となったが、全勝優勝した。
【東北】 1部5校、2部4校で開催。1部は岩手大が東北大に17-0で勝利したが、仙台大と弘前大に敗れ、結局東北大が3勝1敗で優勝した。
【東海】 1部6校、2部は1ブロック5校の2ブロックで開催。1部は名城大が5戦全勝で優勝した。
【北陸】 6校のリーグ戦で開催。金沢大が危なげなく5戦全勝で優勝した。
【中四国】 1部5校、2部4校で開催。1部は山口大と広島大がともに1敗で並んだが、広島大が1位となった。
【九州】 1部6校、2部が4校と5校の2ブロックで開催。1部は九大が全勝優勝を遂げた。

 

●「第11回北日本学生王座決定戦・第22回パインボウル」は北大が東北大を34-0で破り、東日本王座決定戦・シトロンボウルに進出した。

●「第11回南日本王座決定戦・第23回平和台ボウル」は九大が広島大を51-7の大差で下し、西日本王座決定戦・ウエスタンボウルに進出した。

●「第11回東日本学生王座決定戦・シトロンボウル」は12月8日、ユアテックスタジアム仙台で行われ、関東1部Bブロック2位の明大が北大を73-36で破った。

●「第11回西日本学生王座決定戦・ウエスタンボウル」は12月9日、平和台陸上競技場で行われ、関西6位の神戸大が九大を27-7で破った。

 

◆秋季試合(社会人)

■秋季試合 関東(社会人)

●Xリーグイーストとセントラルは9月5日、東京ドームで開幕。東京ドームは平日を中心に9日間、川崎球場は休日に6日間、横浜スタジアムは休日に2日間使用して開催した。

●イーストは富士通、オービック、アサヒビールの争い。富士通は第2節でXリーグで未勝利だったオービックに21-7で快勝したものの、アサヒビールには15-21で惜敗。三者の戦いの最終戦のオービック-アサヒビールはオービックのLB古庄直樹、DB渡辺雄一、DEケビン・ジャクソンの守備陣が活躍して55-6で勝利。得失点差で富士通とオービックがFINAL6に進出した。

●セントラルは、こちらもオンワードスカイラークス、鹿島、IBMが各1敗の三つ巴となった。IBMは第2節でオンワードスカイラークスに36-34で競り勝ったが、鹿島には20-27で敗北。鹿島はオンワードスカイラークスに9-10で敗れた。この結果、鹿島とオンワードスカイラークスがFINAL6に進出した。

 

■秋季試合 関西(社会人)

●Xリーグウエストは王子スタジアムを中心に、エキスポフラッシュフィールドなどを使用した。

松下電工が圧倒的な強さを発揮し、6年連続の全勝で8年連続10回目の1位となった。前年FINAL6に進出した内外電気は、松下電工戦で前半をリードしながら逆転負け。アサヒ飲料戦にも敗れて3位となり、FINAL6進出を逃した。2位はアサヒ飲料で、2年ぶりにFINAL6に進んだ。

 

■プレーオフ(社会人)

●FINAL6の1回戦はオンワードスカイラークスとアサヒ飲料が対戦。オンワードスカイラークスが前半にFGで3点を挙げただけで4Qに入ると、アサヒ飲料のランプレーでオンワードスカイラークスのLB畑喜一郎がファンブルを誘い、そのボールをSF堀龍太がリカバーして20ヤードのリターンTD。さらに吉野太郎が60ヤードのパントリターンTDで加点し、20-0で勝利した。

もう1試合のオービック-鹿島も接戦となり、13-13で4Qを終了。タイブレーク方式の延長戦に突入し、先攻のオービックが新人QB村上靖知のランでTDを挙げると、その裏の鹿島の攻撃を抑え、オービックが19-13で勝利した。

●FINAL6準決勝は、オービックとウエスト8連覇の松下電工が対戦。4Q終了で23-23となり、タイブレーク方式の延長戦に突入。2回目の超過節で先攻の松下電工がK太田雅宏の34ヤードFGで3点を挙げると、その裏のオービックの攻撃でCB野村昌弘が相手のパスをインターセプトし、接戦に勝利した。

もう1試合は富士通とオンワードスカイラークスの対戦。富士通はショットガン体型からQBのカウンターのランとプレーアクションパスで相手守備陣を翻ろう。前半を17-0で折り返すと後半も加点し、相手の反撃を2TDに抑えて31-21で勝利した。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第62回甲子園ボウル

●「第62回甲子園ボウル」は12月16日、関学大と17年ぶり30回目の出場の日大が対戦。甲子園球場が改装中のため、会場は長居陸上競技場となり、32,000人の観客を集めて行われた。

18年ぶりとなった伝統校同士の対決。日大は1Q、DL鈴木修平(四年、主将)を中心とした守備が奮闘。11分にQB平本恵也(二年)からパスを受けたRB金雄一(四年)が84ヤード駆け抜けて先制のTD。2Qは互いにTDとFGで得点し、10-10で後半へ。後半は互いに得点を重ね、何度もリードするチームが入れ替わる展開となるが、日大は4Q10分、WR秋山翔(四年)の38ヤードTDランで34-38とリードを奪う。

しかし、関学大は4Q終盤、時間をコントロールしながら日大ゴール前に迫り、最後は終了3秒前、ゴール前1ヤードでの第4ダウンのギャンブルからRB横山昌太(四年)がエンドゾーンに飛び込んでTD。攻撃で計456ヤードを獲得し、41-38で6年ぶり23回目の優勝を果たした。ミルズ杯は関学大のQB三原雄太(四年)が受賞。関学大の甲子園ボウルでの日大戦の勝利は、1977年の第32回大会以来30年ぶりのことだった。

 

◆第21回日本社会人選手権・ジャパンXボウル

●「第21回日本社会人選手権・ジャパンXボウル」は12月17日、東京ドームに17,629人の観客を集め、松下電工と富士通が対戦。富士通は開始早々、フィールドの狭いサイドにOL、QB、RBを集めた極端なアンバランス体型から松下電工守備陣の混乱を誘い、ランで前進したが、敵陣10ヤードからのFGが失敗し、先制機を逸した。

ピンチをしのいだ松下電工は、QB高田鉄男の効果的なスクランブルなどで前進し、最後はWR下川真司への12ヤードTDパスでTD。直後のキックオフで相手のリターンからLB東健太郎がボールを奪い取ると、最後はRB石野仁大がTDランで加点。富士通も2QにWR米山晃嗣が90ヤードのリターンTDを挙げるが、松下電工が前半を27-6と大きくリード。守備陣も計5つのターンオーバーを奪って33-13で3年ぶり5度目の優勝を遂げた。MVPはパス30回で19回成功、253ヤード、2TDを獲得して被インターセプト1の高田が受賞した。

 

◆第61回ライスボウル

●「第61回ライスボウル」は翌2008年1月3日、東京ドームに34,487人の観客を集め、松下電工と関学大が対戦した。

日本代表選手を多数擁する松下電工は開始早々の1Q2分、QB高田鉄男からWR長谷川昌泳への53ヤードTDパスで先制。2Q5分にはライスボウル記録となるK太田雅宏の49ヤードFGなどで、前半を31-3と大きくリードした。

関学大も後半に入り猛反撃。QB三原雄太(四年)が4つのTDパスを決め、一時は31-38と7点差まで追い上げたが、松下電工もTDを重ねて52-38で勝利し、3年ぶり2回目の優勝を遂げた。両チームの合計得点90点はライスボウル最多得点記録となり、関学大のシリーズ更新数30とパス獲得距離564ヤードはライスボウル新記録となった。

MVPのポール・ラッシュ杯は松下電工のQB高田鉄男が受賞。高田は立命大時代の2004年の第52回大会でに続く2回目の受賞となった。

 

[6]高校フットボールの活動

●日本協会加盟の高校チームは、前年から3チーム増の112チームに、登録者数は4,026人となり、1994年以来13年ぶりに4,000人の大台を回復した。2001年には2,280人まで落ち込んだが、回復の傾向があり、高校フットボールの人気連載漫画、『アイシールド21』の影響が大きいとされた。

 

◆春季大会(高校)

●「第33回春季関東高校選手権」は、準決勝で日大鶴ヶ丘高(東京4位)を66-14で破った佼成学園高(東京1位)と、早大学院(東京2位)を10-7で破った慶応高(神奈川1位)が決勝で対戦し、佼成学園高が23-10で勝って優勝した。

●「第37回春季関西高校選手権」は、準決勝で大産大付高(大阪1位)を20-14で破った立命館宇治高(京都代表)と、箕面自由学園高(大阪2位)を37-7で破った関学高(兵庫1位)が決勝で対戦し、関学高が29-26の接戦を制して優勝した。

 

◆秋季大会(高校)

■関東地区(高校)

●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月18日、駒沢第二球技場で都大会決勝と同一カードの早大学院と佼成学園高の間で行われ、攻守にスピードあるプレーを展開した早大学院が28-7で勝利し、16年ぶりのクリスマスボウル出場を決めた。

 

■関西地区(高校)

●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月18日、長居球技場で大産大付高と関学高の間で行われ、大産大付高が重厚なラン攻撃と3ターンオーバーを奪った守備陣の活躍で39-25で勝利し、2年ぶりのクリスマスボウル出場を遂げた。

 

◆第38回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

●「第38回クリスマスボウル」は12月23日、味の素スタジアムで大産大付高と早大学院が対戦。大産大付高は総攻撃回数59回中ラン52回で、そのうち25回をFB楠田憲也(三年)に持たせて優勢に進めた。早大学院も集まりの速い守備陣で対抗し、攻撃陣も平均獲得ヤード5.0と大産大付高の3.4を上回ったが、大産大付高が23-6で勝利し、5年ぶり6回目の高校王座に就いた。

 

[7]フットボール・ファミリーの活動

◆小・中学生フットボール

●関東中学生アメリカンフットボール連盟が設立され、浅野中、佼成学園中、ジュニアシーガルズ、世田谷ブルーサンダース、早稲田実業中の5チームで発足。9月16日に川崎球場で「第1回ジュニアチャレンジフットボール大会」を開催した。世田谷ブルーサンダースが全勝で優勝した。前後半各10分とし、総当たりで10試合を実施。30ヤードからの攻撃開始(キックオフとパントなし)でTD、インターセプト、シリーズ更新不成功の場合に攻守交替とするルールで行われた。

●翌2008年1月14日、川崎球場で関東中学生のオールスター戦を開催した。佼成学園中、早稲田実業中、浅野中の学校チーム選抜と、世田谷ブルーサンダース、ジュニアシーガルズのクラブチーム選抜の対戦だった。

 

◆フラッグフットボール

●アメリカンフットボールの「第3回ワールドカップ川崎大会」の期間中、会場の等々力陸上競技場などを使用し、12歳から14歳の選手による「第8回NFLフラッグフットボール日本大会」が開催された。8チームが参加し、準決勝では足立学園中が33-31で立命館宇治中を、マッスル長糸(福岡県前原市=現・糸島市)が19-13で佼成学園中をそれぞれ破って決勝に進出。決勝は足立学園中がマッスル長糸を31-27で破り、8月の世界大会出場を決めた。

 

[8]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(国内開催)

●関西学生リーグの所属校58校を二分し、米国からの選手も参加した「第6回ニューエラボウル」は7月8日、京セラドーム大阪で開催。立命大と京大を中心としたチームにハワイ大のチームが参加し、関学大と関大を中心としたチームにカリフォルニア大バークレー校が参加したチームが対戦した。

●国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)が主催する第3回ワールドカップ(W杯)は念願の日本開催となった。7月7日から15日まで、川崎球場と等々力陸上競技場を使用し、ブロック1はスウェーデン、フランス、日本が、ブロック2には米国、ドイツ、韓国が入った。過去2大会ともに参加していなかった米国は、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョンⅠからNAIA(全米大学対抗体育協会)までの各層の選手を集めての初参加だった。

日本は、監督にW杯3大会連続となる阿部敏彰氏(アサヒビール)、選手はこちらも3大会連続出場となるDE脇坂康生(松下電工)を主将に45人で編成。3回連続出場はCB野村昌弘(オービック)もおり、大学生ではWR戸倉和哉(法大四年)とWR前田直輝(立命大四年)が選ばれた。

日本は7月7日にフランスと対戦。前回大会は前半0-0と苦しめられた相手だったが、開始早々に相手QBをDLの山中正喜(松下電工)と紀平充則(オービック)が急襲して相手エンドゾーンで止め、セーフティーを挙げて先制した。その後も先発QB富澤優一(オンワードスカイラークス)がWR米山晃嗣(富士通)へのロングパスからRB石野仁大(松下電工)の2ヤードTDランで加点し、さらに米山への18ヤードTDパスで差を広げた。守備陣も相手に得点を許さず、日本が48-0で勝利した。

日本の第2戦は7月12日、日本より圧倒的にサイズが大きいスウェーデンと8年前の第1回大会以来の対戦。スウェーデンは最初のプレーでファンブルし、これをS寺田隆将(オービック)が敵陣20ヤードでリカバー。するとQB富澤優一(オンワードスカイラークス)がブーツレッグでキープして先制のTD。これを皮切りに、WR前田直輝(立命大四年)の12ヤードTDラン、WR清水謙(オービック)の55ヤードのパントリターンTDで1Qに21点をリード。その後も守備陣が確実なタックルで相手の得点を許さず、48-0で勝利し、ブロック1位となった。2位はスウェーデン、3位はフランスとなった。

ブロック2は米国が連勝でブロック1位となり、2位はドイツ、3位は韓国だった。

両ブロック1位同士による決勝は、大型台風4号の接近で開催が心配され、開催決定は当日朝8時からの会議で判断されるという状況だったが、天候は大きな影響なく、無事に等々力陸上競技場で開催された。

両チームの先発選手の平均身長は日本の180.2センチに対して米国は185.0センチ、体重は日本が92.6キロで米国が105.4キロ。1Q、日本の最初のプレーのロングパスをインターセプトした米国がその後の攻撃でTDを挙げて先制。日本も1Q終盤、QB富澤優一(オンワードスカイラークス)からWR中島佑(アサヒビール)へのパス、RB古谷拓也(オービック)のランとショベルパス、さらに2Qに入りQB高田鉄男(パナソニック)のスクランブルで相手ゴール前2ヤードに迫る。最後は富澤からTEに入った紀平充則(オービック)に絶妙のパスが投げられると、紀平が体を目いっぱい伸ばしてキャッチし、同点に追い付いた。

守備陣はDL佐岡真弐(アサヒビール)とCB渡辺雄一(オービック)のファンブルフォースの好プレーで相手に得点を許さず、その後、K金親洋介(オービック)の49ヤードFGが成功し、日本が前半を10-7とリードして折り返した。

3Qに米国のFGで追い付かれたが、日本は3Q終盤、S寺田隆将(オービック)がインターセプトして攻撃権を奪取。4Q、敵陣40ヤードからの攻撃で1回のシリーズ更新後にFGを狙い、米国にブロックからリターンされたが、このボールをDL山中正喜(松下電工)が叩き出し、TE黛拓郎(アサヒビール)がリカバー。そこからの攻撃でQB富澤優一(オンワードスカイラークス)から黛へのTDパスが決まり、17-10と勝ち越した。

しかし、米国も4Q9分、5ヤードのTDランで17-17に追い付き、そのまま4Q終了となった。タイブレーク方式の延長戦に入り、1回目の攻撃はともにFGを成功。2回目の攻撃で米国がFGを決めたのに対し、日本は得点できずに試合終了。米国が23-20で優勝した。3位決定戦はドイツがスウェーデンを7-0で、5位決定戦は韓国がフランスを3-0で破った。

大会は半数の試合が雨となり、決勝も台風の影響があったが、多くの観客が観戦した。全試合のチケット販売実数は35,438枚で、当初の目標に掲げていた売り上げ目標を4割ほど上回った。スポンサー招待以外の招待券はなかった。アメリカンフットボールの現状を正しく理解してもらうため、9試合すべての観客数を実数で発表した組織委員会(浅田豊久委員長)の方針だった。日本は試合で得た経験だけでなく、大会運営やホスト国としての海外チーム接遇の経験など大きな収穫があった。

大会終了後、IFAFからベストメンバーが発表され、スペシャリスト、守備、攻撃の24人中、次の7人の日本人選手が選出された。

位 置 氏 名 所 属
DT 脇坂 康生 松下電工
DT 米田 隆之 アサヒビール
LB 東 健太郎 松下電工
QB 富澤 優一 オンワードスカイラークス
WR 長谷川 昌泳 松下電工
OT 平本 晴久 アサヒ飲料
OG 井澤 健 鹿 島

なお、コーチとして韓国チームを率いた茨木克治氏(大産大監督)が選出された。

 

◆日本チームの活動(海外開催)

●NFLヨーロッパには日本から5選手が参加。アムステルダム・アドミラルズにはWR木下典明(立命大OB)が、ライン・ファイヤーにはWR小川道洋(オンワードスカイラークス)が、ハンブルク・シーデビルズにはS堀龍太(オンワードスカイラークス)が、フランクフルト・ギャラクシーにはLB石田力哉(関学大OB)とWR大滝裕史(オンワードスカイラークス)が所属した。木下は2年連続でオールNFLヨーロッパに選出された。

しかし、NFLヨーロッパ6月29日に活動中止を発表し、日本人選手の活躍もこの年が最後となった。

●WR木下典明(立命大OB)はNFLヨーロッパ参戦後、NFLのアトランタ・ファルコンズとルーキーフリーエージェント(FA)契約を結んだ。

●関西高校選抜と米オレゴン州アシュランド高が隔年で対戦するパシフィック・リムボウルが第10回を迎え、アシュランド高スタジアムで開催。関西高校選抜が4Q、QB谷口翔真(立命館宇治高三年)からWR和田俊亮(関学二年)への77ヤード決勝TDパスで28-21で勝利し、4連勝とともに対戦成績を5勝5敗の五分とした。

●国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)主催の中学生のフラッグフットボール世界大会「ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ2007」が9月21日から24日にオランダのレリーシュタットで開催された。日本からは1月3日の第7回日本選手権ジュニア・カテゴリーで優勝した富士通ジュニア・フロンティアーズが参加した。

 

★★★★★★★★★★★

第1、2回のワールドカップで連覇した日本が第3回大会のホスト国となり、6か国が参加した大会を見事に成功させた。米国が初参加した大会で、決勝の延長戦までもつれて2位となった実績も選手やコーチ、関係者の努力の成果だった。