3月11日14時46分、東日本大震災が発生。東北地方はもとより全国に大きな被害をもたらした。フットボール界も、春季に予定していた試合の中止や春の部活動の制限など大きな影響を受けた。しかし、最も被害が大きかった東北地区はじめ各組織の努力や支援でシーズンを無事に乗り切ることができた。
2011.01.01
お知らせ
東日本大震災、春季行事や試合など中止に。早大学院と大産大付高、28年ぶり両校優勝
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 1月26日 | インターネット利用者20億人、携帯電話50億件を超えたとITU発表 |
3月11日 | 東日本大震災(M9.0)、福島原発事故、14日:計画停電開始 | |
7月18日 | サッカー、なでしこジャパン、女子ワールドカップで優勝 | |
8月24日 | スポーツ基本法施行 | |
10月31日 | 1ドル75円31銭の円最高値を記録 | |
フットボール | 2月26日 | 第1回IFAFアジア選手権、日本-韓国。日本代表勝利(川崎球場) |
春 | 東日本大震災の発生で春季試合の中止や延期が多く発生 | |
6月18日 | トモダチ2011ハーバーボウル、アサヒビール-在日米軍横須賀(川崎球場) | |
6月19日 | 世界選手権(ワールドカップ)壮行試合、日本代表-全法大・全日大(川崎球場) | |
7月8~16日 | IFAF第4回世界選手権、日本3位(ウィーン) | |
10月 | 日本協会、第1期公認指導者(前年受講)誕生 | |
翌年1月3日 | 第65回ライスボウル、オービックが関学大を下し5回目の優勝 | |
翌年1月8日 | 高校、関東・関西選抜戦、第1回ニューイヤーボウル(川崎球場) |
3月11日14時46分、東日本大震災が発生。東北地方はもとより全国に大きな被害をもたらした。フットボール界も、春季に予定していた試合の中止や春の部活動の制限など大きな影響を受けた。しかし、最も被害が大きかった東北地区はじめ各組織の努力や支援でシーズンを無事に乗り切ることができた。
[1]主な出来事
◆東日本大震災関連
●3月11日14時46分、マグニチュード9.0の巨大地震が東北地方を襲った。大津波も発生し、東北地方を中心に多くの犠牲者や被災者が出て、家屋などの損壊が生じた。フットボール関係者や家族にも被害をもたらし、グラウンドや各施設などにも大きな影響が生じた。震源地から遠く離れた千葉県習志野市のオービックのグラウンドや千葉市の神田外語大グラウンドでも液状化現象でグラウンドが使用不可となるなど大きな被害を受けた。
地震発生時、多くのチームは新年度に向けてチーム体制の構築や新体制での春季練習、新入部員の受け入れ準備の時期だったが、特に東北地方を中心にチーム活動の一時中断や練習内容の変更を強いられた。しかしながら、この日本の歴史上最大級の自然災害に対して、被災地の東北地区のチームは、日常の生活基盤の復旧とともにチーム活動の再開を目指して徐々に動き始め、また全国のフットボール関係者が、地元の被害個所の復旧支援や東北地区の日常生活復帰への支援、東北のチームの活動再開のための支援を行った。以下はその活動のごく一部である。
・東北地区の各チームは、支援インフラが整備され始めた3月下旬ごろから、津波被害のあった沿岸部での泥出しや清掃、避難所での作業などボランティア活動を開始した。
・日本協会はじめ各組織やチームは義援金活動を始めた。口座振り込みや試合会場での募金など、さまざまな工夫を凝らして活動した。
・日本社会人協会は日本トップリーグ連携機構の活動の一環として、加盟各チームからスポーツシャツやトレーナーなどの支援物資を集め、同機構に提供した。
・IBMは同社ラグビー部とともに5、6月に総勢80人を7班に分け、それぞれ4日間、現地で復旧作業(側溝のヘドロ除去や土のうの撤去、家屋内清掃など)を行った。
・オービックは5月1日、東北学生連盟所属の東北大、仙台大、東北学院大の選手50人に対してフットボールクリニックを開催した。
・明治安田生命はさまざまな復興支援活動の一つとして岩手県や気仙沼市などに学用品を寄付。現地の子供たちを元気付けるためにフラッグフットボール教室を開催した。
・6月12日、川崎球場で東日本大震災復興支援チャリティーゲームとして、アサヒビールとアサヒ飲料が試合を行い、入場料の全額を日本赤十字社に寄付した。また同19日、同じ川崎球場で開催された第4回世界選手権の日本代表壮行試合(日本代表-全法大・全日大)でも入場料の全額を日本赤十字社に寄付した。
・関東学生連盟では秋季、被災地の宮城県亘理町や山元町で津波によって家族や友達、家を失い、仮設住宅で生活している人々が制作しているミサンガ、「杜のミサンガ青葉」を試合会場で販売した。また逆に、被災地の岩手県岩泉町から「第65回ライスボウル」の来場者に米や牛肉がプレゼントされたこともあった。
●東北地区の各チームは大学や身辺地域の復旧作業を行いながら、4月から5月にかけて順次、部活動を再開。秋は例年通り、公式戦を開催した。
◆その他の出来事
●文部科学省の「学習指導要領」の解説書にフラッグフットボールが掲載された。
●日本協会では、前年開始した「公認アメリカンフットボール指導者育成制度」の一環として、1月23日から5回、味の素スタジアム会議室で指導員専門講座を開催した。
●7月14日、第4回世界選手権に合わせて、国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)の年次総会が開催され、モンゴル、ナイジェリア、エルサルバドルの加盟が承認された。加盟国はこれで62か国となった。また翌2012年に第2回世界ジュニア選手権(U19)を7月に開催すること(開催地未定)と第5回フラッグフットボール世界選手権を8月にストックホルムで開催することを決定した。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
特になし
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第57回西日本選手権
西日本社会人4チームによる「グリーンボウル」決勝は、準決勝でアズワンを27-0で破ったパナソニックと、エレコム神戸を20-3で破ったアサヒ飲料が5月15日に王子スタジアムで対戦。パナソニックが前半にK佐伯栄太の3FGとQB河野順から脇坂康生への4ヤードTDパスで16-0とリードし、後半のアサヒ飲料の猛追を16-14で振り切って優勝した。
●パールボウル
初夏の風物詩となっていたパールボウルは、第4回世界選手権の開催時期と重なることから、開催は見送られた。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学リーグは「とどけようスポーツの力を東北へ!」のスローガンを定めて開催。1部はアミノバイタルフィールドを主会場に行い、2部もアミノバイタルフィールドや川崎球場など公共会場の試合が半数ほどになった。
●1部Aブロックは早大、日大、明大の争いと見られたが、日大が早大と明大を破り、全勝で1位となった。2位は明大で、早大は2敗を喫して3位となった。日大と明大は第5週に全勝で対決。1Q、明大がRB川上裕輔(四年)の6ヤードTDランで先制。日大は2Q、DL江頭玲王(二年)のタックルでセーフティーを奪い、4QにはQB安藤和馬(三年)の2つのTDで逆転し、15-7で勝利した。日大は最終戦で、既に明大に敗れていた早大と対戦。前半、早大が1TD、1FGで10点をリードしたが、日大は後半、安藤の2つのTDランで逆転し、14-10で勝利した。
Bブロックは法大と中大が横浜スタジアムでの最終戦で全勝対決。2Qに中大がRB近藤紀(三年)の46ヤードTDランとK松永省吾(一年)の24ヤードFGで16-14とリードして折り返したが、法大は3Q終盤、RB鈴木康裕(三年)の34ヤードTDランで逆転し、21-16で勝利した。
●前年まで関東地区からの甲子園ボウル出場の道はAブロック1位とBブロック1位が北海道学生リーグ1位、東北学生リーグ1位と対戦し、その2試合の勝者による東日本代表校決定戦の勝者が甲子園ボウルに出場していた。しかし、この年から関東大学リーグの両ブロックの1位が関東大学選手権・あずまボウルで対戦し、その勝者が北海道と東北勝者と甲子園ボウル出場を懸けて対戦する方式となった。
その第40回関東大学選手権・あずまボウルは11月27日、横浜スタジアムでAブロック1位の日大とBブロック1位の法大が対戦した。
両者の過去10年間の対戦成績は法大の8勝1敗1分。1Q、日大は最初の攻撃で11プレー目にK井ノ口悠剛(三年)のFGで先制。さらに法大のパントをLB森田健斗(三年)がブロックして得た攻撃から、RB山本啓祐(三年)がTDを挙げて10点をリードした。その後も日大が押し気味に進め、27-17で勝利。日大は法大と引き分けで両校優勝となった2008年以来3年ぶり32回目の優勝で、単独制覇は4年ぶりだった。
■関西(学生)
●関西学生リーグDiv.1は王子スタジアムとエキスポフラッシュフィールドを主会場として、公共施設8会場で開催した。
●ここ2年は関学大、立命大、関大の3校による争いだったが、この年は関大が第5週で関学大に3-17で、続く立命大戦に6-10で敗れて後退。さらに京大に20-44で敗れた。優勝争いは、最終第7週の立命大-関学大の全勝対決となり、11月27日に長居陸上競技場に15,000人の観客を集めて開催された。攻・守・蹴で威力を発揮した部員200人の関学大が、前年学生王者の立命大を37-7で破り、4年ぶりに全勝優勝した。
関学大は関大を17-3で、京大を12-3で際どく破ると、立命大戦はQB畑卓志郎(三年)のパスとRB松岡正樹(四年、主将)らのランがかみ合い、守備はDL梶原誠人(三年)、DL池永健人(二年)、LB池田雄紀(二年)らが中心となって相手の攻撃を封じた。中位以下は全敗チームがない混戦で、3位関大、以下京大、龍谷大、神戸大、7位が同大と甲南大となった。
京大はシーズン後、監督が長く率いた水野彌一氏から西村大介ヘッドコーチに交代した。水野氏は1965年に京大のコーチに、80年に監督に就任。戦後関西フットボールをけん引してきた関学大と互角に張り合うまでに京大を育てた。
■各地区の活動/代表決定戦(学生)
●全日本大学選手権の東日本代表校決定戦は、関東A、Bブロック1位の対戦(あずまボウル)の勝者と、北海道と東北の勝者による対戦となった。
【北海道】 1敗同士の小樽商大と北星学園大が最終戦で対戦し、小樽商大が14-13で接戦を制して優勝した。
【東北】 前年覇者の東北大と仙台大が最終戦で全勝対決。仙台大が2Qから終始リードして44-10で快勝し、2年ぶりに優勝した。
【東海】 1敗で並んだ名城大、名古屋大、中京大が同率優勝。抽選で中京大が全日本大学選手権に出場した。
【北陸】 リーグ17連覇中の金沢大に福井県立大が全勝で挑んだが、金沢大が2Qの大量得点で突き放し、45-13で勝利した。
【中四国】 この年から第1ステージ、第2ステージとする新方式を採用。第1ステージで2敗した広島大が、最終戦で愛媛大を破って連覇した。
【九州】 西南学院大が全勝で3年ぶりの優勝。単独優勝は1997年以来14年ぶりとなった。
●全日本大学選手権の東日本代表校決定戦準決勝・第24回パインボウルは11月26日、札幌ドームで小樽商大と仙台大が対戦、3Qまで拮抗した展開だったが、仙台大が4Qに3TDを挙げて31-8で勝利した。
●日大と仙台大の東日本代表校決定戦は前半、仙台大が0-7と健闘したが、日大が後半に得点を重ねて42-0で勝利し、4年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた。
●西日本代表校決定トーナメントは1回戦で中京大が金沢大を38-0で、西南学院大が広島大を33-0でそれぞれ破り、2回戦は中京大が西南学院大を38-14で破って西日本代表校決定戦に進んだ。
●西日本代表決定戦は関学大が中京大を55-6で破り、甲子園ボウルに進んだ。
◆秋季試合(社会人)
■Xリーグ・第1、2ステージ(社会人)
●Xリーグの第1ステージは、東日本は東京ドームを平日夜間に4日間使用し、それ以外の多くは川崎球場で開催した。西日本は王子スタジアム、キンチョウスタジアムなどで開催。第2ステージは川崎球場、エキスポフラッシュフィールドなどを使用した。
●イースト、セントラル、ウエストの第1ステージを勝ち抜いて第2ステージに進んだのは、Aブロックがパナソニック、富士通、アサヒビール、Bブロックが鹿島、ノジマ相模原、アズワン、Cブロックがオービック、アサヒ飲料、オール三菱となった。
Aブロックはパナソニックと富士通の争いとなり、先行された富士通が3QにQB吉田元紀からWR強盛へのTDパスで追い付くと、さらに2TDを加えて24-10で勝利して1位となった。
Bブロックの1位を懸けたノジマ相模原と鹿島の対戦は、鹿島が4Q終了間際にFGで追い付いてタイブレーク方式の延長戦へ。先攻のノジマ相模原はRB杉原雅俊がTDを挙げると、その裏の鹿島の攻撃をDB北村雅史がインターセプトで断ち切り、27-20で勝利した。
Cブロックはオービックがアサヒ飲料戦の残り1分、QB菅原俊からWR清水謙への18ヤードTDパスが決まり、17-10で勝利して1位となった。
ファイナルステージのワイルドカードは鹿島となった。
■プレーオフ(社会人)
●ファイナルステージはオービック-鹿島、富士通-ノジマ相模原という関東勢同士の対戦となった。
オービック-鹿島はオービックが攻守に圧倒。4QにはDB矢野川源、DB中西類、LB坂田仁志が3シリーズ連続でインターセプトするなどし、45-20で勝利した。
富士通-ノジマ相模原は富士通が前半、ノーハドルからのラン攻撃を展開。14-3で後半に折り返すと、DLの平井基之、木村篤允が各2QBサックの活躍などで38-3で勝利した。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第66回甲子園ボウル
●全日本大学選手権決勝、第66回甲子園ボウルは12月18日、甲子園球場で関学大と日大が4年ぶり26回目の対戦を迎えた。
関学大は1Q13分、RB望月麻樹(三年)が持ち味の突破力で12ヤードの先制TD。さらに2Q2分、K大西志宜(四年)がフィールド中央から蹴ったパントを日大がキャッチミスし、それをDB大竹翔平(四年)が押さえて敵陣2ヤードから攻撃すると、RB松岡正樹(四年、主将)がTDを挙げて14-0とリードした。日大はK井ノ口悠剛(三年)が36ヤードのFGを決めて3点を返すが、これが日大唯一の得点となった。
関学大は3QにLB池田雄紀(二年)がインターセプトして日大の攻撃を断ち切ると、4Q10分にはQB畑卓志郎(三年)がRB松岡に2ヤードのTDパスを決め、24-3で勝利し、4年ぶり24回目の優勝を果たした。
ミルズ杯は関学大のK大西が受賞した。大西はこの秋季のTFPのキック48回をすべて成功。FGも32回中28回成功し、パントも絶妙なキックで相手リターナーにゴール前でファンブルさせるなど活躍し、史上初めてキッカーとしてミルズ杯を受賞した。大西はこの日の甲子園ボウルでも9回のパントで日大を356ヤード押し返した。
◆第25回日本社会人選手権・ジャパンXボウル
●「第25回日本社会人選手権・ジャパンXボウル」は12月19日、東京ドームに23,126人の観客を集め、オービックと富士通が対戦した。
7点を追うオービックは3Q10分、WR木下典明の98ヤードのキックオフリターンTDで同点に追い付くと、4QにはQB菅原俊から木下に2つのTDパスが決まり、24-10と差を広げた。富士通はQB出原章洋のTDランで追い上げたが、試合終了間際にゴール前で投じたパスがオービックのLB塚田昌克にインターセプトされて万事休す。オービックが2年連続6回目の優勝を果たした。MVPはオービックの木下が受賞した。
◆第65回ライスボウル
●「第65回ライスボウル」は翌2012年1月3日、東京ドームに25,059人の観客を集め、オービック(大橋誠ヘッドコーチ)と関学大(鳥内秀晃監督)が対戦した。
関学大は試合開始のキックオフでオンサイドキックを見せ、これをK大西志宜(四年)が自らがリカバーして攻撃権を獲得。その勢いもあり、関学大は前半、RB望月麻樹(三年)の4ヤードTDランとQB畑卓志郎(三年)の15ヤードTDランで14-3とリードして折り返した。
オービックは3QにTDを挙げるが、すぐに関学大がFGで突き放し、関学大が17-11とリードして4Qへ。すると、点の取り合いとなり、オービックはQB菅原俊の2つのTDランと、WR阿南孝仁、WR木下典明へのTDパスで関学大を逆転し、38-28で2年連続5回目の優勝を果たした。MVPのポール・ラッシュ杯は、菅原が2年連続で受賞した。
オービックは3月の東日本大震災ではグラウンドが液状化現象で8月まで使用不可となったが、ライスボウルでは日大と京大の優勝4回を抜く最多記録を樹立してシーズンを締めくくった。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「第37回春季関東高校選手権」は、準決勝で立教新座高(SIC2位)を35-0で破った早大学院(東京1位)と、埼玉栄高(SIC1位)を34-7で下した慶応高(神奈川1位)が決勝で対戦し、早大学院が35-7で勝って2年連続優勝を遂げた。
●「第41回春季関西高校選手権」は、準決勝で海陽学園(東海1位)を35-28で破った関学高(兵庫1位)と、立命館宇治高(京都1位)を28-10で破った大産大付高(大阪1位)が決勝で対戦し、大産大付高が3Qに一気に22点を挙げて逆転し、28-21で勝って3年ぶり7回目の優勝を飾った。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月23日、駒沢第二球技場で早大学院と慶応高の間で行われ、早大学院は慶応高に先制を許したものの、すぐに逆転。その後も攻撃の手を緩めず、45-3で圧勝した。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月23日、王子スタジアムで大産大付高と関学高の間で行われ、大産大付高が前半の3TD、1FGで挙げた24点を守り、24-21の接戦を制した。
◆第42回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第42回クリスマスボウル」は12月23日、横浜スタジアムで創部30周年に8回目の優勝を目指す大産大付高と、2009年春から公式戦無敗の早大学院が対戦した。早大学院はLBゴクラン・ケビン(三年)、大産大付高は島野堅三(三年)を中心に互いの守備陣が奮闘し、前半の得点は大産大付高のFGのみ。後半も息詰まる守備戦は続き、4Qに早大学院がQB笹木雄太(二年)からWR五十嵐健太(三年)への81ヤードTDパスが決まって逆転。大産大付高はQB岸村恭吾(三年)からWR高尾祐樹(三年)へのTDパスで再逆転したが、最後は早大学院のK佐藤敏基(三年)が同点FGを決め、10-10で両校優勝となった。両校優勝は1983年の第14回大会の慶応高と関学高以来28年ぶりだった。
●東西の高校オールスター戦、ニューイヤーボウルが翌2012年1月8日、川崎球場で各地区代表による3試合が開催された。広島・兵庫選抜が神奈川・静岡選抜を54-29で、京都・滋賀・東海選抜が埼玉・千葉・茨城選抜を35-7で、大阪選抜が東京選抜を20-13でそれぞれ破った。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆タッチフットボール
●第20回を迎えた「シュガーボウル(6人制タッチフットボール日本選手権)」は5月21日、横浜スタジアムで開催された。レディース決勝は、関西アウィリーズがヘイルメリーを16-0で破り、2年連続4回目の優勝を果たした。MVPには関西アウィリーズの主将のWR合田有希が選ばれた。オープン決勝はライズ2003がラファーガに27-26で逆転勝ちし、初優勝を飾った。MVPはライズ2003の岸本亮だった。
●女子タッチフットボールの「第20回東西大学王座決定戦・プリンセスボウル」は11月26日、快晴の王子スタジアムで東西各2チームが参加して開催された。準決勝は、神戸大が文京学院大に26-12で、武庫川女大が慶大に21-13でそれぞれ勝利。決勝は武庫川女大が神戸大に15-12で逆転勝ちし、優勝した。関西勢は20年連続の優勝。MVPには武庫川女大のWR大本亜美(3年)が選ばれた。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●第2回日米高校親善試合カメリアボウルを3月12日に日大付属高校連合-オールアメリカンスクールで開催する予定だったが、前日に東日本大震災が発生したため中止となった。
●2月26日、川崎球場で第4回世界選手権のアジア予選を兼ねた第1回アジア選手権が行われ、日本と韓国が対戦した。日本は76-0で勝利し、世界選手権出場を決めた。日本は世界選手権出場8か国の中で唯一の4大会連続出場となった。
●関西学生の「ニューエラボウル2011」は7月10日、京セラドーム大阪で開催された。関学大、関大、神戸大、甲南大を中心としたチームにハワイ大が加わったチームと、立命大、京大、同大、龍谷大を中心としたチームにネバダ大ラスベガスが参加したチームが対戦した。
◆日本チームの活動(海外開催)
●5月6、7日、タイ・バンコクで国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)が主催する「第1回アジアフラッグフットボールクラブ選手権」が参加4か国、8チームで開催された。日本を代表して出場した中野バグースが5位、所沢Wild359ersが7位となった。
●IFAF主催のアメリカンフットボールの第4回世界選手権(ワールドカップから名称を変更)が7月、オーストリアのインスブルック、グラーツ、ウィーンで過去最多の8か国が参加して開催された。
日本のヘッドコーチは過去3大会率いた阿部敏彰氏(アサヒビール)から森清之氏(鹿島)に代わり、主将はLB古庄直樹(オービック)が務めた。
第1ラウンドは2つのグループに分かれ、日本は初参加のカナダ、フランス、開催国オーストリアと同組となり、もう一つのグループは米国、ドイツ、メキシコ、豪州で、総当たりで対戦した。
日本の第1ラウンド初戦は7月9日、オーストリアと対戦し、2QにFGで先制を許したが、直後のキックオフをWR前田直輝(鹿島)が敵陣48ヤードまでリターンすると、最後はRB末吉智一(早大四年)が逆転のTD。さらにCB加藤公基(鹿島)のインターセプトで得た攻撃をキッカーに入ったRB丸田泰裕(鹿島)が走ってTDを挙げてリードするなどし、24-6で勝利した。
2戦目は7月11日にフランスと対戦。日本は攻撃の2シリーズ目に第3ダウンを3度突破し、最後はRB丸田泰裕(鹿島)が5ヤードを走って先制のTD。2QにはDE山中正喜(パナソニック)がファンブルフォースし、それをLB鈴木將一郎(富士通)が押さえて得た攻撃からQB高田鉄男(パナソニック)がWR小川道洋(IBM)にTDパスを決めて前半を21-0でリードした。日本は後半も押し気味に進め、35-10で勝利し、2勝目とした。ゲームMVPには4大会連続出場のDL脇坂康生(パナソニック)が選ばれた。
3戦目は7月13日、米国に次ぐ競技人口40万人を誇る強豪・カナダと対戦。前半はカナダが先行し、日本が追い掛ける展開。2Qカナダが32ヤードのFGを決め、カナダが17-14とリードして折り返した。後半、日本は最初の攻撃でK青木大介(鹿島)の23ヤードFGで同点とすると、直後のカナダの攻撃でCB加藤公基(鹿島)がインターセプトして得た攻撃権から、最後は青木が29ヤードのFGを決めて20-17と初めてリードを奪った。その後、カナダがTDで逆転し、日本もRB末吉智一(早大四年)の2ヤードTDランで再々逆転したが、その後カナダに逆転を許し、27-31で敗れた。日本は4大会目で初めて決勝に進むことができなかった。
3位決定戦に回った日本は7月15日にメキシコと対戦。日本は宿舎から会場のウィーンまでバスで3時間移動して試合に臨んだ。日本はQB高田鉄男(パナソニック)のQBドローで先制のTD。しかし、その直後にメキシコに82ヤードのキックオフリターンTDを決められて同点。その後、DB三宅剛司(オービック)のインターセプトで得た攻撃で、K青木大介(鹿島)が23ヤードのFGを決め、日本が10-7とリードして前半を折り返した。日本は3Q8分、高田からWR前田直輝(鹿島)への19ヤードTDパスでリードを広げ、メキシコが最後に同点を狙ったFGをDL紀平充則(オービック)がブロックし、17-14で勝利して銅メダルを獲得した。
優勝は米国で、以下カナダ、日本、メキシコ、ドイツ、フランス、オーストリア、豪州となった。
●「U19米国代表-U19世界選抜」は名称を「第3回USA Football インターナショナルボウル」とし、翌2012年2月1日に米テキサス州オースティンで開催された。前回から参加した日本は、世界選抜50人の一員としてRB前田眞郷(関大二年)が参加した。前田は27ヤードのパントリターン、5回のランなど活躍した。