日本協会のアメリカンフットボール医・科学研究会が20回の節目を迎えた。1997年に第1回を開催し、その後も継続的に活動。チーム関係者の努力もあり、練習や試合での重大事故は減少してきた。甲子園ボウルは日大と関学大の伝統校同士の対戦となり、日大が27年ぶりに勝利して関西勢の連勝を止めた。
2017.01.01
お知らせ
日大、27年ぶり甲子園ボウル制覇。関西勢の連勝止める
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 3月29日 | 英国、EU離脱通知 |
9月9日 | 陸上男子百メートルで桐生祥秀選手が日本人初の9秒台(9秒98)を記録 | |
11月30日 | ニューヨークのダウ平均株価、24,000ドル突破 | |
フットボール | 2月19日 | 第20回アメリカンフットボール医・科学研究会開催(兵庫医大) |
3月5日 | 日本協会特別講習会「安全なフットボールの最新指導」(大産大付高) | |
5月27〜28日 | 第2回IFAFアジアフラッグフットボール選手権。日本優勝(マニラ) | |
6月4日 | 早大-米イリノイ・ウェズリアン大。早大敗れる(アミノバイタルフィールド) | |
7月2日 | 第15回ニューエラボウル。この回で平成ボウルから数えて27回で休止 | |
翌年1月3日 | 第71回ライスボウル、富士通が日大を下し3回目の優勝 | |
翌年1月17日 | 第9回インターナショナルボウル、日本高校選抜-米U17選抜。日本が勝利 |
日本協会のアメリカンフットボール医・科学研究会が20回の節目を迎えた。1997年に第1回を開催し、その後も継続的に活動。チーム関係者の努力もあり、練習や試合での重大事故は減少してきた。甲子園ボウルは日大と関学大の伝統校同士の対戦となり、日大が27年ぶりに勝利して関西勢の連勝を止めた。
[1]主な出来事
●1997年5月17日に第1回を開催した日本協会の「アメリカンフットボール医・科学研究会」はその後も継続的に活動し、2月19日に節目の第20回研究会を兵庫医大で開催した。講演の内容は以下の通りで、併せて「第13回ドクターとトレーナーの集い」も開催した。
・熱中症とその対策
・現場での熱中症の実態と予防対策
・関節外傷と協議復帰
・重症外傷予防など13の報告とディスカッション
●日本協会は国吉誠氏が第6代会長に就任。2023年まで務めた。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
特になし
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第63回西日本社会人選手権
第63回西日本社会人選手権決勝・グリーンボウルは5月21日、王子スタジアムでパナソニックとエレコム神戸が対戦。パナソニックはQB大原隆史からWR高木広史へのロングパスでのTD、RB横田惇のTDランなどで得点を重ね、守備陣もDL梶原誠人のパントブロックやDB小原啓のパントリターンTDなど活躍し、55-3で圧勝した。
●第39回パールボウル
第39回パールボウルは3チームのブロックを4つ編成し、総当たりのリーグ戦を経て各ブロック1位の4チームが準決勝に進む方式とした。Aブロックはノジマ相模原が富士通を破って1位となり、他のブロック1位のIBM、LIXIL、オービックとともに準決勝に進んだ。
準決勝でLIXILを破ったオービックと、ノジマ相模原を破ったIBMが6月19日に東京ドーム行われた決勝で対戦。オービックが29-27で接戦を制した。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学リーグ1部はアミノバイタルフィールド、富士通スタジアム川崎、横浜スタジアムなどに加えて慶大日吉でも開催。関東中学生大会を同時に開催した日も2日あった。
●TOP8は日大が初戦で中大に最終プレーのFGで勝ち越して20-17で勝利。その後は若手が活躍し、立大、明大、日体大からいずれも6TDを奪う攻撃力を発揮して勝利し、第5節で早大との全勝対決を迎えた。
日大-早大は雨中での試合となり、ともに守備陣が耐える展開となったが、日大がラン攻撃で勝利し、最終戦を残して3年ぶりの優勝を決めた。日大はリーグトップの総得点213の攻撃力と勝負強い守備が光った。
日大は一年生で司令塔を務めたQB林大希が試合を重ねるごとに成長。シーズン途中から日大QBの伝統的なエース番号「10」を背負い、思い切りのよいパスや自らの力強いランで優勝の原動力となった。守備もDL山崎奨悟(四年)を中心に堅く、ともに米国出身で身体能力の高いLBモーゼス・ワイズマン(三年)とDBブロンソン・ビーティー(四年)の広い守備範囲で、相手の攻撃を1試合平均2TDに抑えた。
早大が2位となり、3連覇を逃した。法大は最終節で日大に勝利したものの、早大と中大に敗れて3位。前年2位の慶大は6位に終わった。
■関西(学生)
●関西学生リーグDiv.1はエキスポフラッシュフィールド、王子スタジアム、西京極陸上競技場、万博記念競技場などで開催。8月25日の金曜日、西京極陸上競技場でのナイトゲームの京大-関大で開幕した。
●前年に続いて関学大と立命大が最終節に全勝対決。立命大が1Q、RB立川玄明(一年)の3ヤードTDランとK多田羅翔吾(三年)のFGで10点をリード。3Qには多田羅のFGとRB西村七斗(四年)の20ヤードTDランで21-0と差を広げた。
関学大は4QにQB光藤航哉(三年)が飛び込んでTDを挙げたが、立命大が21-7で勝利し、2年ぶり11回目の優勝を飾った。関学大はファンブルで2回攻撃権を奪われたのが痛かった。
立命大は関大には15-7の辛勝だったが、他の試合は危なげなく勝利した。関学大が2位で、京大が4年ぶりに3位となった。4位は関大、5位に龍谷大と甲南大、7位に桃山学院大と同大が並んだ。
■各地区の活動/代表決定戦(学生)
【北海道】 北大が4戦目で優勝を決め、5戦全勝で5年連続25回目の優勝を遂げた。
【東北】 東北大が独走し、4戦全勝で6年連続31回目の優勝を決めた。
【東海】 名古屋大が5戦全勝で4年ぶり7回目の優勝。初めて全日本大学選手権に進んだ。
【北陸】 金沢大が最終戦で4連覇中の福井県立大を9-0で下し、4戦全勝で5年ぶり29回目の優勝を果たした。
【中四国】 創部38年で前年初優勝した島根大が優勝決定戦で広島大を14-13で破り、2年連続の優勝を果たした。
【九州】 西南学院大が5戦全勝で4年連続17回目の優勝。福岡大、九大、福岡教大が3勝2敗で同率2位。
●全日本大学選手権の東日本代表校決定戦準決勝は第30回パインボウルとして開催され、東北大が北大を14-3で破った。
●東日本代表決定戦は12月3日、アミノバイタルフィールドで行われ、日大が東北大を77-17の大差で破り、3年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた。東北大はランで146ヤード、パスで100ヤードを獲得したが及ばなかった。
●西日本代表校決定トーナメントは前年同様、勝利チームに次々と新しいチームが対戦する勝ち上がり方式で行われた。島根大を破った金沢大に西南学院大が勝利。名古屋大が西南学院大を38-21で破ったが、関学大が名古屋大に49-12で勝利した。
●西日本代表決定戦は12月3日、万博陸上競技場で行われ、関西1位の立命大と同2位の関学大が対戦。関学大が最初の攻撃でRB山口祐介(三年)の個人技によるロングランを足掛かりに先制TDを挙げると、さらに山口が2TDを追加。後半も得点を重ねて34-3でリーグ戦の雪辱を果たし、甲子園ボウル出場を決めた。
◆秋季試合(社会人)
■Xリーグ・第1、2ステージ(社会人)
●レギュラーシーズンはパナソニックが全勝で1位となったほか、ノジマ相模原、LIXIL、IBMの活躍が光った。
トーナメントのクオーターファイナルでは6位のオービックが3位のノジマ相模原に41-22で勝利し、2位の富士通は7位のエレコム神戸に34-7で勝利。5位のIBMは4位のLIXILを51-31で破り、1位のパナソニックはバトル9から勝ち上がったオール三菱に20-3で勝利した。
■プレーオフ(社会人)
●準決勝では遠征したIBMがパナソニックを31-24で破った。IBMは後半開始早々に同点とした後、オンサイドキックを成功させて攻撃権を奪って逆転。その後、パナソニックに追い付かれるが、QBケビン・クラフトからWR鈴木恵多へのTDパスで再びリードすると、相手のパスをDB寺中健悟とDB小林達真がインターセプトして勝利した。
富士通-オービックは立ち上がりに富士通がQBコービー・キャメロンのTDランで先制。その後は互いの守備陣が奮闘し、富士通が7-0で勝利した。オービックは前半のFG失敗や終了間際の被インターセプトなど、要所でのミスが痛かった。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第72回甲子園ボウル
●全日本大学選手権決勝、第72回甲子園ボウルは12月17日、甲子園球場に36,000人の観客を集め、日大と関学大が29度目の対戦。日大が23-17で勝利し、1990年の第45回大会以来27年ぶり21回目の優勝を果たし、関西勢の連続優勝を10で止めた。
関学大は開始3プレー目でQB西野航輝(三年)が自ら走り先制のTD。しかし、日大は一年生QB林大希が走力と強肩を生かし、同じ一年生のWR林裕嗣にTDパスを決めると、これまた一年生のRB川上理宇の活躍もあって13-10と逆転して後半へ。4Qに関学大のRB山口祐介(三年)のTDランで6点差に迫られたが、残り1分42秒でLB楠井涼(三年)がインターセプトし、勝利した。甲子園ボウルでの日大の関学大に対する勝利は29年ぶり。ミルズ杯と甲子園ボウルMVPはパスとランで計239ヤードを稼いだ林がダブル受賞した。いずれも一年生の受賞は初めての快挙だった。
◆第31回日本社会人選手権・ジャパンXボウル
●第31回日本社会人選手権・ジャパンXボウルは12月18日、東京ドームに22,953人の観客を集め、富士通とIBMが対戦。レギュラーシーズンで2位の富士通が同5位のIBMに63-23で圧勝し、史上6チーム目となる連覇で3度目の優勝を飾った。
富士通は試合開始のキックオフでのWR猪熊星也がリターンTDしたのを皮切りに、QBコービー・キャメロンがラン6回で81ヤード、2TD、パスを23回投げて17回成功、306ヤード、4TD獲得と大活躍。IBMは後半開始早々にRB末吉智一がTDを返したが、4つのターンオーバーもあって大差で敗れた。MVPはパスレシーブで203ヤードの大会記録を塗り替えた富士通のWR中村輝晃クラークが受賞した。
この試合では、際どいプレーに対するビデオによる検証システムの「インスタントリプレー」が国内公式戦で初めて採用された。インスタントリプレーの対象となる主なプレー、反則は次の通り。
【プレーの対象】
・タッチダウン、セーフティー、フィールドゴールなど得点に関わるプレー
・パスの成功、不成功またはインターセプトの判定
・デッドボールかルースボールかの判定
【反則の対象】
・不正なフォワードパスまたは前方への手渡し、不正なキック
・オンサイドキックでのキックチームによる不正なブロック
・ライブボール中のフィールド・オブ・プレー上のプレーヤーの人数
・フォワードパスへの不正なタッチ
・フリーキックのアウト・オブ・バウンズ
・ターゲティング
◆第71回ライスボウル
●「第71回ライスボウル」は翌2018年1月3日、東京ドームに35,002人の観客を集め、富士通と27年ぶり5回目出場の日大が対戦。両チームは過去に出場したライスボウルで日大が4戦全勝、富士通も2戦2勝と、無敗同士の対戦ということも注目された。
富士通は1Q、QBコービー・キャメロンからRBジーノ・ゴードンへ、2QにはWR中村輝晃クラークへのTDパスで先行し、K西村豪哲が41ヤードのFGを決めてリードを広げた。日大はK篠原歩夢(四年)が35ヤードのFGを決め、前半は富士通が17-3として折り返した。
後半、富士通はさらに得点を重ね、日大の反撃を1TDに抑えて37-9で2年連続3回目の優勝を飾った。日大は甲子園ボウルで活躍した一年生QB林大希やこの試合唯一のTDパスキャッチを見せたWR小倉豪(二年)らが奮闘したが、及ばなかった。
日大はライスボウル出場5回目で初黒星。MVPのポール・ラッシュ杯は富士通のQBコービー・キャメロンが2年連続で受賞した。この試合で、ライスボウルでは初めてインスタントリプレー(ビデオによるプレーの検証)が採用された。
[6]高校フットボールの活動
◆第48回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第48回クリスマスボウル」は富士通スタジアム川崎で開催され、19年ぶり4度目の優勝を目指す関大一高と前年に続く2度目の優勝を目指す佼成学園高が対戦した。
佼成学園高は1Q、TE大島則也(三年)への27ヤードTDパスで先制。2QにもQB野沢研(三年)からWR高野一馬(二年)へのTDパスで15-0とリードを広げ、後半も得点を重ねて36-16で勝利した。最優秀ラインマン(安藤杯)は佼成学園高のDL窪田弦太郎(三年)が、最優秀バックス(三隅杯)は野沢がそれぞれ選ばれた。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●第5回日本中学生選手権は初出場同士の対戦となり、川崎グリーンライズ相模原が啓明学院中学校セインツを10-7で破り、優勝した。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(海外開催)
●国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)が主催する第2回IFAFアジアフラッグフットボール選手権は5月27、28日にフィリピン・マニラで6か国が参加して開催された。男子で日本代表のリバーサイドギャンブラーズ市川は3チームによる1次リーグを1位で通過し、準決勝でフィリピンを49-19で、決勝で前回優勝のタイを32-20で破って初優勝した。
●若年層の米国選抜、世界選抜、日本選抜で争われるインターナショナルボウルが翌2018年1月に行われ、日本高校選抜は米国のストライプス(ナショナルチームに次ぐ実力のチーム)を21-6で破った。日本は2Q、米国のパント崩れからのパスをLB大沢海生(大産大付高三年)がインターセプトリターンTDで先制。さらにQB平尾渉太(啓明学院高三年)からWR大谷空渡(駒場学園高三年)への13ヤードのTDパスで14-0として後半へ。後半もRB平浩希(立命館宇治高三年)がTDを挙げた。