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2021.01.01

2021年(令和3年) 活動88年目

お知らせ

新型コロナ収束せず、対応2年目の活動。ライスボウルが社会人同士の対戦に

日 付 主な出来事
社  会 1月6日 米大統領選でトランプ候補支持者が合衆国議事堂襲撃事件
2月17日 新型コロナワクチン、国内で接種開始。夏:重症化しやすいデルタ株、国内第5波の感染
7月23日 東京オリンピック開幕(原則無観客)。8月24日:東京パラリンピック開幕(無観客)
8月 アフガニスタン駐留米軍、完全撤収
11月初旬 新型コロナウイルス、世界の死者500万人超
11月13日 将棋・藤井聡太氏、竜王を獲得し最年少4冠達成
11月18日 米MLB、大谷翔平選手、投打の二刀流でMVPに満票で選出
12月~ 新型コロナウイルス、感染力の強いオミクロン株、国内で市中感染
フットボール 新型コロナウイルス流行、競技活動に制約(2年目)
2月3日 日本協会、「2021年度コロナ禍におけるアメリカンフットボール活動について」発表
1月30日 日本協会、ライスボウル対戦を社会人の優勝決定戦に決定
8月23日 日本協会「2021年秋のシーズンの感染対策について」公表
2年目となる新型コロナウイルスの対応、各地区で工夫を凝らしシーズン開催
12月6~8日 IFAF第11回フラッグフットボール世界選手権、日本女子6位入賞、同男子11位
翌年1月3日 新たに社会人選手権となった第75回ライスボウル、富士通が初代王者に

新型コロナウイルス感染症は年初にやや落ち着いてきたが、その後また厳しい状態になった。当初は早く収束するものと思われていたが、先が見通せないことがはっきりしてきた。フットボールの各組織は、さまざまな制限がある中で競技活動を行った。関係者やチーム、選手の努力により、従来通り各リーグの優勝チームが決定し、ボウルゲームも開催され、日本フットボールの歴史が途切れることはなかった。

[1]主な出来事

●前年2月ごろから日本でも感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、この年の初めにはやや落ち着いた状態になり、春のオープン戦や交流戦の開催が予定された。しかし、政府が発した東京、大阪などを対象とした5月11日までの緊急事態宣言が5月末まで延長され、その期間の試合は中止や条件付き(無観客、検温、消毒、マウスシールド着用など)での開催となった。

その後も、波がありながら新型コロナウイルス感染症は流行し、スポーツ界全体に大きな影響を与えた。前年の開催予定を1年延期した東京でのオリンピックとパラリンピックは開催されたものの、ほぼすべての競技が無観客となった。

フットボールも秋季は前年とほぼ同様のリーグ内を分割したブロック形式での開催や観客を制限しての試合となり、大きな影響を受けた。

特に、高校と大学のフットボールを中心に、部員の育成機会の減少や若手選手の経験不足、部員減少などによる部の存続や、競技レベル低下による安全性の確保などの課題も生じ、部や競技の存続にまで影響を及ぼしかねない深刻な事態となった。しかし、各組織やチームの努力、工夫によりそれぞれの選手権試合を開催し、長い歴史をつないだ。

●シーズン最後を飾る日本選手権・ライスボウルは社会人同士の対戦となり、限定した条件の下で有観客試合として開催した。

●前年、新型コロナウイルス感染症の発生により中止した「日本アメリカンフットボール医・科学研究会」が2月21日にオンラインで開催された。講演は海外派遣チームの日本代表帯同報告や新型コロナウイルス感染症対策、頭部外傷など7つが行われた。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆公式規則

【この年の日本の主な規則変更】

●チームエリアが両25ヤードライン間から両20ヤードライン間となった。
●超過節は、2回目までは25ヤードラインから開始し、3回目からはTD時のTFPは、3ヤードラインからの2点のトライだけの得点が有効となった。

 

[3]春季試合

◆春のボウルゲーム

●日本社会人協会は東日本の「パールボウル」、西日本の「グリーンボウルトーナメント2021」を含めてすべての春の公式試合を中止した。

 

[4]秋季試合

◆秋季試合(学生)

■関東(学生)

●関東大学リーグは当初、通常のリーグ戦を9月4日に開幕するとしていたが、新型コロナウイルス感染症の状況から、公式戦の開始を約1か月延期した。また、開催期間が短くなることから、1部リーグTOP8とBIG8は、各8チームを2ブロックに分けてリーグ戦を行い、その後順位決定戦を行う前年と同じ大会方式とした。TOP8はAブロックが桜美林大、明大、早大、東大で、Bブロックが日大、法大、立大、中大となった。会場はアミノバイタルフィールドを使用した。

・Aブロックは開幕試合で前年ブロック覇者の桜美林大が早大と対戦。桜美林大は1Q、前年QBサック1位のLB清水友哉(四年)がセーフティーを奪って先制したが、早大は2QにQB國元孝凱(二年)からWR上野陸(二年)への52ヤードTDパスで逆転。早大が17-5で勝利し、明大との最終戦も14-7で勝利して1位となった。

・Bブロックでは法大が日大に35-28で逆転勝利して勢い付き、一気にブロックを制覇した。日大は3戦3敗と明暗が分かれた。法大は日大戦で、RB星野凌太朗(三年)がラン、パス、レシーブ、キックオフリターンの4種のプレーでTDを挙げ、計365ヤードを獲得する活躍を見せた。立大は日大に35-27で勝ち、日大から18年ぶりに勝利した。

・両ブロック1位同士、早大と法大の1位決定戦では、法大が早大の堅守を破って前半を17-0とリード。後半、早大も1TD、1FGを返して追い上げたが、法大は終盤にTDを挙げて24-10で勝利し、9年ぶりに関東を制した。

シーズン前半は無観客試合としたが、10月23日から有観客試合とした。各リーグの入れ替え戦は行わず、1位校などを上位リーグに自動昇格させた。BIG8からは横国大と慶大が翌年のTOP8に昇格した。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグDiv.1は、新型コロナウイルス感染症対策として、当初予定していた9月3日の開幕を10月2日に延期し、リーグを分割してリーグ戦の結果で順位決定戦を行う方式として合計16試合を無観客試合として実施した。王子スタジアム、エキスポフラッシュフィールド、ヤンマースタジアム長居などを使用した。

●分割ブロック内のリーグ戦と順位決定戦を初めて採用。関学大は関大、同大、京大と同ブロック、立命大は近大、神戸大、桃山学院大と同ブロックとなり、関学大、立命大ともに3戦全勝で優勝決定戦に臨んだ。

・優勝決定戦は関学大が先制したが、3Qに立命大が逆転。しかし、関学大は4Q、ショベルパスを受けたRB前田公昭(四年)がTDして再逆転し、さらにRB斉藤陸(四年)がダメ押しのTD。守備陣もDB竹原虎ノ助(四年)が2インターセプトを奪うなどピンチをしのぎ、関学大が28-25で接戦を制して58回目のリーグ優勝とした。

関大が近大に快勝して3位となり、3校が出場する全日本大学選手権には関学大、立命大、関大が進出した。7位の京大と8位の桃山学院大が入れ替え戦に回り、京大は神戸学院大に勝利して残留したが、桃山学院大は甲南大に敗れて降格した。

 

■各地区の活動/代表決定戦(学生)

【北海道】 1部6大学でトーナメントを無観客で実施。北海学園大が北大を21-14で破って2年連続8回目の優勝を果たした。
【東北】 9大学によるトーナメントを無観客で開催。東北大が岩手大を31-0で破り、孤高の10連勝を遂げた。
【東海】 1部は6大学によるリーグ戦を行ったが、途中で棄権があり15試合中9試合を実施。中京大が名城大との全勝対決を制して20回目の優勝を果たした。
【北陸】 所属5大学のうち3大学でリーグ戦を予定していたが、1校が棄権して1試合のみに。福井県立大が金沢大に28-11で快勝し、3連覇を遂げた。
【中四国】 4大学のトーナメントを予定したが、1校が棄権して3校で開催。決勝は広島大が愛媛大を66-6で破り、2連覇を遂げた。
【九州】 3チームからなるブロックを2ブロック編成。1位決定戦は西南学院大が九大を13-2で破り、2年ぶり20回目の優勝を果たした。

 

●2年ぶりに行われた全日本大学選手権。西日本代表校決定戦の1回戦は中京大が福井県立大に48-11で、西南学院大が広島大に24-7でそれぞれ勝利した。2回戦は立命大が中京大を49-7で、関大は西南学院大を72-7でそれぞれ破り、準決勝に進んだ。

●東日本代表校決定戦の準決勝は「パインボウル」として開催され、東北大が北海学園大を39-18で破った。

●西日本代表校決定戦の準決勝は関西2位の立命大と3位の関大が対戦。立命大は前半、11-14とリードされたが、後半にランで逆転。関大の追撃を振り切り、18-17で勝利して西日本決勝に進んだ。

●東日本代表校決定戦は法大が東北大を56-13で破り、9年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた。

●西日本代表校決定戦はウエスタンボウルとして開催。関学大が立命大を前半で17-3とリードし、後半の立命大の反撃を抑えて34-24で勝利。6年連続55回目の甲子園ボウル出場を決めた。

 

◆秋季試合(社会人)

■Xリーグ・第1、2ステージ(社会人)

●会場は富士通スタジアム川崎、MKタクシーフィールドエキスポ、王子スタジアムなどを使用した。

●前年はコロナ禍による対応で当初予定した試合が実施できず、またシーズンの参加を辞退するチームもあったが、この年はシーズン後半から出場したチームがありながらも、前年のようなリーグ分割や東西個別リーグ戦などは行わず、本来の方式で実施した。

・X1スーパー(8チーム総当たりのリーグ戦)はライスボウル優勝経験のあるパナソニック、富士通、オービックが順調にシーズンを戦った。この3者の対戦ではパナソニックが2勝し、富士通がオービックを破って1勝1敗で、オービックが2敗。IBMは4勝3敗で準決勝に進むことができる4位を確保した。

 

■プレーオフ(社会人)

●準決勝のパナソニック(リーグ戦1位)-IBM(同4位)はヤンマースタジアム長居で行われた。パナソニックは1Q、QBアンソニー・ローレンスのパスで2TDを先行する理想的な展開。IBMも反撃し、前半を24-24で終えると、3Qには先にIBMがTDを挙げて31-24とリードした。パナソニックは4Q、ローレンスがWR木戸崇斗に2つのTDパスを決めて逆転。最後は新人LB青根奨太が相手のパスをインターセプトし、38-31で激戦を制した。

富士通(リーグ戦2位)-オービック(同3位)も接戦となった。オービックがFGで先制すると、富士通はRBトラショーン・ニクソンのTDとFGで逆転し、その後オービックがTDを挙げて前半は10-10で終了。富士通は3Q、QB高木翼からWR松井理己にTDパスが決まって17-10とリードすると、試合終了2秒前のオービックのパスをDB藤田篤がインターセプトして逃げ切った。

X1エリアは、X1スーパーが翌年から12チームに増加することに伴い、この年の上位4チームが昇格。アサヒビール、アサヒ飲料、イコールワン福岡、ディアーズが翌年の昇格となった。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第76回甲子園ボウル

●第76回甲子園ボウル2年ぶりに全日本大学選手権決勝として、12月19日に甲子園球場で開催。関学大が9年ぶりに出場した法大を47-7で破り、4連覇を遂げた。

関学大は立ち上がりの攻撃をRB齋藤陸(四年)のTDランに結び付け、2QにK永田祥太郎(四年)が2つのFGを決めて13-0で折り返し。後半早々、法大はRB星野凌太朗(三年)のTDランで6点差に迫ったが、インターセプトで奪った攻撃で得たFGの好機を失敗し、流れを失った。

すると、関学大はRB前島仁(二年)のビッグランでTDを奪い、K永田が2つのFGを追加。QB鎌田陽大(二年)も2つのTDパスを決めるなど、3ターンオーバーを奪われながらも守備陣の奮闘もあり、得点を重ねた。追い掛ける法大は第4ダウンのギャンブルを5回失敗してフィールドポジションを失い、得点差が開く一方となった。ミルズ杯は関学大のRB前田公昭(四年)が受賞した。

 

◆第75回ライスボウル

●前年までの社会人代表と学生代表による日本選手権から、社会人Xリーグの優勝を決める大会となった「第75回ライスボウル」は、富士通(山本洋ヘッドコーチ)とパナソニック(荒木延祥ヘッドコーチ)が対戦した。新型コロナウイルス感染症はまだ収まってはいなかったが、さまざまな対策を施し、人数限定の有観客試合として開催し、14,610人の観客が集まった。

富士通は2Q、パナソニックに先制を許したが、QB高木翼のTDランとWR松井理己のTDパス捕球で逆転。3QにはパナソニックのWR木戸崇斗のTDパス捕球で逆転されたが、4点を追う4Qに高木のTDランなどで10点を挙げて24-18で勝利した。パナソニックは総獲得距離と第1ダウン更新数ともに富士通を上回ったが、及ばなかった。MVPのポール・ラッシュ杯は富士通の松井が受賞した。

 

[6]高校フットボールの活動

◆秋季大会(高校)

■関東地区(高校)

●「全国高校選手権関東地区」決勝は12月12日、富士通スタジアム川崎で佼成学園高(東京)と早大学院(東京)が対戦。佼成学園高が31-0で勝利し、6年連続6回目のクリスマスボウル出場を決めた。佼成学園高は1Q、QB小林伸光(二年)からWR高津佐隼世(三年)への35ヤードTDパスで先制すると、前半終了間際にK吉川大紀(二年)のFGで加点。守備は早大学院のパスを計5インターセプトに仕留め、反撃を許さず勝利した。

 

■関西地区(高校)

●「全国高校選手権関西地区」決勝は12月12日、エキスポフラッシュフィールドで行われ、立命館宇治高(京都)が関学高(兵庫)を10-0で破って2年ぶり5回目のクリスマスボウル進出を決めた。立命館宇治高は3Q、敵陣27ヤードで攻撃権を得ると、QB川久保和翔(三年)がWR大槻真聖(二年)にTDパスを決めて先制。4Q終盤にはK西岡真大(二年)の20ヤードFGで加点した。

 

◆第52回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

●第52回クリスマスボウルは12月26日、横浜スタジアムで6年連続出場の佼成学園高と2年ぶり5回目出場の立命館宇治高が対戦。佼成学園高が序盤に2TDを先取し、それを立命館宇治高が追う展開。4Q、立命館宇治高はTDパスで17-17とすると、さらにパントをレシーブした相手選手からDE梅田諒真(三年、主将)がボールを奪って攻撃権を獲得。最後は終了2秒前にK宮崎利功(三年)が36ヤードのFGを決めて24-21で勝利し、2年ぶり2度目の全国制覇を遂げた。

 

[7]フットボール・ファミリーの活動

◆小・中学生フットボール

●前年、開催中止となった第8回日本中学生選手権は翌2022年1月10日に開催され、関学中学部ジュニアファイターズが6年ぶり出場の世田谷ブルーサンダースを21-0で破り、2年前に続いて優勝した。

 

◆フラッグフットボール

●関東学生連盟(KCFA)では2028年のロサンゼルスオリンピックでフラッグフットボールが追加競技となる可能性があることから、初めて現役大学生のチームによる「KCFAフラッグボウル2021」を6月に開催した。新型コロナウイルス感染症の影響で男子のみ7チームの参加となり、決勝は慶大が早大を破って優勝した。

 

[8]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(海外開催)

●新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、日本国内での国際試合の開催や、海外開催の国際試合の日本からの派遣が中断されていたが、12月6日から8日にかけてイスラエル・エルサレムで行われた国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)主催の第11回フラッグフットボール世界選手権に男女の日本代表が出場した。日本は女子が参加18チーム中6位入賞で、男子は参加21チーム中11位。この結果、女子は翌2022年7月に米アラバマ州で開催されるワールドゲームズの出場権を得た。

●カナダのプロフットボール、CFLのモントリオール・アルエッツに所属するRB李卓(オービック)がレギュラーシーズン第7節のBCライオンズ戦に出場。2回のキックオフリターンで計48ヤードを記録した。日本の選手がCFLの公式戦に出場するのは、ウィニペグ・ブルーボマーズのLB丸尾玲寿里(アサヒ飲料)、BCライオンズのK山﨑丈路(オービック)に続いて3人目だが、ボールを持って走ったのは李が初めて。李はキッキングのカバーチームの一員としても出場し、1タックルを記録した。

●翌2022年1月に開催が予定されていた「インターナショナルボウル」は前年に続いて新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。