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INFORMATION ニュース

2022.01.01

2022年(令和4年) 活動89年目

お知らせ

新型コロナ対応3年目。9年ぶり国内開催の日本代表国際試合

日 付 主な出来事
社  会 2月24日 ロシア、ウクライナに侵攻。25日ウクライナ首都キーウへ迫る
7月8日 安倍晋三元首相、演説中に狙撃され死亡
9月8日 英国と英連邦王国の女王エリザベス2世が崩御
9月22日 円安が進み、日本政府24年ぶりの為替介入(10月20日:1ドル150円台に)
12月17日 中国政府、これまでの「ゼロコロナ政策」を大幅緩和へ
フットボール 3~5月 ワールドゲームズ参加のフラッグ女子日本代表を支援するクラウドファンディング実施
7月13日 ワールドゲームズのフラッグフットボールで女子日本代表が5位
12月18日 第77回甲子園ボウルで関学大が早大を破り33回目の優勝、5連覇を達成
翌年1月3日 第76回ライスボウル、富士通が2連覇
翌年1月22日 27年ぶりアイビーリーグとの対戦、Dream Bowl。日本選抜は惜敗

2020年からわが国で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は春に比較的落ち着いたが、夏に向けて状況は厳しくなり、活動制限が強まった。秋にかけては感染が減少し、リーグ戦を行うことができた地区も多かった。高校と大学は2020年の最初の行動制限の年に入部した選手が三年生となり、チームの主力となって活躍した。

[1]主な出来事

●新型コロナウイルス感染症は、春季は比較的落ち着いてきたこともあり、交流戦や定期戦は予定通り行われたが、7月から8月にかけて感染の第7波となり、競技活動に大きな影響を与えた。しかし、9月ごろから状況は好転し、従来通りの大会方式で開催できた地区が多かった。また、条件付きで有観客とした試合も多かった。部員不足によるリーグ戦棄権やけが人多数による不戦敗もあったが、全国で以前の活況を取り戻しつつあることが実感できるシーズンだった。ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大前に開催されていた春のパールボウルや神戸ボウルなど開催できない試合もあった。

●前年、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催とした「日本アメリカンフットボール医・科学研究会」は、第24回として2月20日に対面(神戸大楠キャンパス)とオンラインのハイブリッドで開催した。講演や発表のテーマは以下の通り。
(1)新型コロナウイルス禍におけるチーム運営
(2)受傷アスリートの心理的問題および競技復帰に向けた心理・社会的支援
(3)頭部外傷、・緊急時の防具の外し方
(4)現場での応急処置について

●アメリカンフットボールは競技の特性上、若年時からの経験は特に不要で、個人の多様性を生かして大学生となってからでも取り組むことができる「後期の専門化」スポーツとして位置付けられている。日本協会ではこのことから、若手アスリートを発掘するために高校生を対象とした「クロスオーバーアスリート測定会」を行うこととし、7~9月に全国6か所(東京、愛知、金沢、大阪、広島、福岡)で開催した。この活動は、翌年以降も継続して行われた。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆公式規則

【この年の日本の主な規則変更】

特になし

 

[3]春季試合

◆春季試合(社会人)

●社会人は過去2年間、新型コロナウイルス感染症の影響で春季の公式戦を開催することはできなかったが、東日本ではX1スーパー、X1エリアの交流戦計9試合、西日本ではグリーンボウルとグリーンボウルチャレンジの計7試合を開催した。春季の東日本社会人王座決定戦・パールボウルは開催できなかった。

 

◆春のボウルゲーム

●グリーンボウル
グリーンボウル2022は、準決勝でアズワンを69-0で破ったパナソニックと、同じくアサヒ飲料を27-20で破ったエレコム神戸の決勝となり、5月21日にMKタクシーフィールドエキスポで行われた。

2Q、パナソニックはQB荒木裕也からWRアルフォンゾ・オヌワーへのTDパスで先制。エレコム神戸はDL井上大貴のファンブルリカバーでTDを挙げたものの、パナソニックが得点を重ねて28-7で勝利し、優勝した。

 

[4]秋季試合

◆秋季試合(学生)

■関東(学生)

●関東大学リーグ1部は開幕日の9月3日、リーグ戦としては30年ぶりに東京ドームを使用(関東大学選手権を含めると27年ぶり)。以降はアミノバイタルフィールドと横浜スタジアムで開催した。

●TOP8は前年の8校に自動昇格の慶大と横国大を加えて10校で構成。各ブロック5チームの2ブロック制として総当たりの1次リーグを実施。2次リーグは各ブロック上位3チームと下位2チームによるリーグに分け、上位リーグは1次リーグで反対のブロックだった3チームと対戦。下位リーグ(チャレンジリーグ)はリーグ内の全チームと対戦し、1、2次リーグの成績を合わせて順位を決定する方式とした。

TOP8は翌年に本来の8チーム編成に戻すため、9、10位はBIG8に自動降格とし、7、8位がBIG8との入れ替え戦(チャレンジマッチ)に出場することとした。BIG8もTOP8と同様の大会方式とし、1、2位がTOP8とのチャレンジマッチへ進み、9、10位が2部に自動降格。5~8位が2部との入れ替え戦に回り、翌年も10チームで行うこととした。

9月3日、開幕戦の東京ドームでは中大-東大、早大-横国大、法大-慶大、明大-日大の4試合が行われた。

1次リーグの結果、上位リーグ進出はAブロックが早大、中大、東大、Bブロックが法大、明大、立大で、チャレンジリーグへはAブロックから桜美林大と横国大が、Bブロックからは慶大と日大が回った。

上位リーグでは早大と法大が無敗で対戦。激しい雨の影響で互いにパスミスが目立つ展開となり、法大が前半をリードしたが、早大が堅実な守備と持ち味のラン攻撃で後半に逆転。早大が30-18で勝利し、3年ぶりの優勝を遂げた。

・チャレンジマッチでは7位の日大が駒大に、8位の慶大が明治学院大に勝利し、残留を決めた。9位の桜美林大と10位横国大がBIG8に自動降格した。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグDiv.1は9月1日にたけびしスタジアム京都で開幕。MKタクシーフィールドエキスポ、万博記念競技場、王子スタジアムなどを使用した。

●3年ぶりに従来通りの8校総当たりのリーグ戦を実施。全日本大学選手権に進出できるのは優勝校だけとなった。2009年以来の甲子園ボウル出場を目指す関大が、第5節で立命大を破って混戦に。第6節の関学大-関大は前半を10-10で折り返して迎えた3Q、関学大のDB中野遼司(二年)がインターセプトから38ヤードをリターンしてTD。これが決勝点となり、関学大が関大を17-10で破って全勝を守った。

最終節の関学大-立命大は2Qに関学大がTDパスで先制。3Qに立命大がTDランを挙げるが、TFPの2点トライに失敗し、関学大が1点リードの7-6で4Qへ。すると関学大はK福井柊羽(四年)が27ヤードのFGを決め、10-6で勝利して59回目の優勝を遂げた。

関学大でリーグ戦終盤に急成長したのは三年生のDLトゥロター・ショーン礼。188センチの長身とスピードが武器で、関大戦でファンブルリカバーを2回、立命大戦でQBサックを2回決めるなど活躍し、リーグ最優秀選手(松葉杯)に選ばれた。2位は6勝1敗の関大で、以下立命大、京大、近大、神戸大、甲南大となった。

同大は第1節後に部員4人が性的暴行容疑で逮捕され、大学から無期限活動停止処分に。関西学連理事会で残り試合を全敗扱いで最下位とすることが決まり、2部に自動降格した。

 

■各地区の活動/代表決定戦(学生)

【北海道】 6校総当たりのリーグ戦を行い、北大が27回目の優勝。
【東北】 各ブロック1位の東北大と岩手大が対戦。東北大が31-7で勝って11連覇を果たし、自ら持つ連続優勝記録を更新した。
【東海】 1部6校の総当たりのリーグ戦を開催。中京大が名古屋大と名城大を破って21回目の優勝を果たした。
【北陸】 3校でリーグ戦を開催。金沢大が福井県立大と富山大を破って30回目の優勝を遂げた。
【中四国】 4校でのリーグ戦と、その結果による後半のトーナメントを開催。山口大が25年ぶりに優勝し、初めての全日本大学選手権に進出した。
【九州】 各ブロック1位の西南学院大と福岡大が対戦。福岡大が21回目の優勝を果たした。

 

●全日本大学選手権は全国8地区から代表1校のみ、計8チームによるトーナメントとなった。従来の東日本、西日本の枠組みを撤廃。東海代表が北海道、東北、関東の代表のブロックに入ってトーナメント方式で争い、関西、北陸、中四国、九州の各代表によるトーナメントを勝ち抜いたチームと甲子園ボウルで対戦する形式とした。

●北海道、東北、関東、東海代表のブロックでは、東北大が1回戦で北大を17-7で、2回戦で中京大を破26-20で破って準決勝に進出。準決勝は早大が東北大を31-0で破り、甲子園ボウルに進んだ。

●関西、北陸、中四国、九州のブロックでは、1回戦で金沢大が山口大に42-21で勝利2回戦では西南学院大が金沢大を27-7で破った。準決勝では関学大が西南学院大を49-0で破り、甲子園ボウルに進んだ。

 

◆秋季試合(社会人)

■Xリーグ・第1、2ステージ(社会人)

●会場は富士通スタジアム川崎、横浜スタジアム、MKタクシーフィールドエキスポ、王子スタジアム、久留米総合スポーツセンター陸上競技場などを使用した。

●1部リーグ相当のX1スーパーは8チームから2ディビジョン、12チームに拡大。各ディビジョンで総当たりのリーグ戦を行い、各上位4チームによる8チームのライスボウルトーナメントを行うこととした。

Div.Aはパナソニック、IBM、ノジマ相模原、アサヒビール、ディアーズ、オール三菱、Div.Bは富士通、オービック、エレコム神戸、アサヒ飲料、東京ガス、otonari福岡となった。

各チーム5試合のリーグ戦の結果、各ディビジョン上位4チームがライスボウルトーナメントに進み、トーナメント1回戦はパナソニックがアサヒ飲料を38-28で、オービックがノジマ相模原を21-9で、エレコム神戸がIBMを35-25で、富士通がアサヒビールを53-3でそれぞれ破った。

 

■プレーオフ(社会人)

●準決勝のパナソニック-オービックは前半ともに1TD、1FGで10点ずつを挙げて後半へ。すると、パナソニックはRBミッチェル・ビクタージャモーのTDランで勝ち越し。さらにK佐伯眞太郎が2つのFGを決めるなどして30-10で勝利した。

富士通-エレコム神戸は1Q、富士通がQB高木翼からWRサマジー・グラントへのTDパスで先制すると、2QもRBトラショーン・ニクソンのTDランと高木からWR松井理己へのTDパスなどで得点を重ね、前半を26-0で折り返した。後半はエレコム神戸が3TDを挙げて追い上げるが、富士通が39-21で勝利した。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第77回甲子園ボウル

●全日本大学選手権決勝、第77回甲子園ボウルは12月18日、甲子園球場に16,000人の観客を集め、7年連続56回目出場の関学大と3年ぶり7回目出場の早大の4回目の対戦で行われた。

前半はFGの応酬で、関学大が6-3とリードして折り返した。後半、関学大はQB鎌田陽太(三年)が出場してから流れが変わり、3QにRB伊丹翔栄(二年)が両チーム通じて初めてのTDを挙げて13-3とリード。4QにはRB前島仁(三年)の3つのTDランで加点し、早大の反撃をRB花宮圭一郎の2つのTDランだけに抑えて34-17で勝利。5年連続33回目の優勝を遂げた。

5連覇は1972年から77年の関学大、78年から82年の日大に次いで3回目の偉業。ミルズ杯はこの試合2回のQBサックを決めた関学大のDLトゥロター・ショーン礼(三年)で、守備選手の受賞は6年ぶり5人目で、DLでは4人目となった。

 

◆第76回ライスボウル

●第76回ライスボウルは翌2023年1月3日、東京ドームに16,796人の観客を集め、富士通と松下電工が2年連続で対戦した。

パナソニックは2Q序盤までにRBミッチェル・ビクタージャモーの2つのTDランで14-0とリード。しかし、富士通はRBトラショーン・ニクソンのTDランなどで10-14として前半を折り返すと、3QにニクソンのTDランとQB高木翼からWR小梶恭平へのTDパスで22-21と逆転。4Qにも加点し29-21で2年連続7度目の優勝を果たした。MVPのポール・ラッシュ杯はラン28回で188ヤード、3TDを挙げた富士通のニクソンが4年ぶり2度目の受賞。

 

[6]高校フットボールの活動

◆秋季大会(高校)

■関東地区(高校)

●「全国高校選手権関東地区」決勝は11月23日、駒沢第二球技場で行われ、佼成学園高が慶応高に得点を許さず、20-0でクリスマスボウル出場を決めた。佼成学園高は2回目の攻撃機会にRB蓑部雄望(三年)が73ヤードを独走するTDで先制したが、慶応高守備フロントの激しいプレッシャーで前半の得点はこれだけ。佼成学園高は4Q序盤に蓑部のTDランでようやく加点し、さらにLB関拓真(二年)のインターセプトからの攻撃で蓑部が44ヤード独走のTDを挙げて勝利した。

 

■関西地区(高校)

●「全国高校選手権関西地区」決勝は12月11日、王子スタジアムで行われ、箕面自由学園高(大阪1位)と大産大付高(大阪2位)が対戦した。1Q、大産大付高は相手のパントからWR片桐太陽(二年)が69ヤードのリターンTDを挙げて先制。2QにもRB吉田優太(三年)の3ヤードTDランで加点した。箕面自由学園高は4Q序盤、RB小峯貴斗(三年)の12ヤードTDランで7点差に迫ったが、大産大付高は1TDを追加して21-14で勝利し、11年ぶり12回目のクリスマスボウル進出を決めた。

 

◆第53回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

●第53回クリスマスボウルは12月25日、王子スタジアムで行われ、7年連続出場の佼成学園高と11年ぶり12回目出場の大産大付高が激しく競り合った。

大産大付高は20-20で迎えた3Q終盤、ファンブルリカバーから相手ゴール前8ヤードで攻撃権を獲得。このチャンスを4Q早々、QB小林洋也(三年)からWR小段天響(三年)へのTDパスにつなげて7点をリードした。

佼成学園高はここから徹底したランで反撃。RB蓑部雄望(三年)、宮本樹音(二年)に加えてQB小林伸光(三年)のランで前進し、4Q4分に蓑部の4ヤードTDランで同点に。さらにK吉川大紀(三年)が43ヤードの勝ち越しFGを決め、30-27で2年ぶり5回目の全国制覇を果たした。

 

[7]フットボール・ファミリーの活動

◆小・中学生フットボール

●第9回日本中学生選手権は翌2023年1月9日、富士通スタジアム川崎で行われ、関学中学部ジュニアファイターズが世田谷ブルーサンダースを21-0で破り、3大会連続4回目の優勝を遂げた。

 

◆タッチフットボール

●第31回タッチフットボール学生女子東西王座決定戦・プリンセスボウルは12月10日、王子スタジアムで行われ、成城大ブルックスが京都府立大アグリスを13-8で破り、関東勢として初優勝を遂げた。成城大は翌2023年1月3日に東京ドームで行われた第28回さくらボウルに学生代表として初出場。一般女子代表の虹翔∞(にじかけるえいと)を19-13で破り、こちらでも初優勝した。

 

[8]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(国内開催)

●翌2023年1月22日、国立競技場で国際親善試合の「JAPAN U.S. DREAM BOWL 2023」が開催された。日本選抜はXリーグで活躍する米国人選手も含めた社会人選手と学生選手で編成し、米国はアイビーリーグの選抜チームだった。

新型コロナウイルス感染症の影響もあって、日本で開催された日本選抜(日本代表を含む)の国際試合は2014年の「ジャーマン・ジャパンボウルⅡ」以来9年ぶり。海外における国際試合を含めても20年3月の米テキサス州でのTSL選抜との一戦以来3年ぶりで、アイビーリーグ選抜の来日は1996年1月以来27年ぶり、そして東京オリンピックのために新たに建設された国立競技場でのフットボール初使用と、話題満載の試合となった。

天候は晴れ。空気が冷たいながらも風は弱く、絶好のフットボール日和となった。1Q、日本は最初の攻撃でK佐伯眞太郎(パナソニック)が30ヤードのFGを決めて先制。アイビーリーグ選抜が2度目の攻撃シリーズで53ヤードのドライブでTDを挙げると、2Qに日本が佐伯の2つ目のFGで前半を6-7として折り返した。

3Qにアイビーリーグ選抜がTDでリードを広げるが、日本もQB高木翼(富士通)からRBミッチェル・ビクタージャモー(パナソニック)に39ヤードのTDパスを決めると、RBトラショーン・ニクソン(富士通)の1ヤードTDランで20-17と逆転。しかし、4Qにアイビーリーグ選抜にTDを奪われて20-24と逆転されると、アイビーリーグ選抜に巧みに時間を使われ、そのままアイビーリーグ選抜が勝利した。日本は敗れたとはいえ、LB趙翔来(富士通)を中心とした守備陣の健闘が光った。

 

◆日本チームの活動(海外開催)

●フラッグフットボールの女子日本代表(兼安祥二監督)が7月に米アラバマ州バーミングハムで開催されたワールドゲームズに出場。グループリーグを経て迎えた準々決勝で強豪オーストリアに32-39で惜敗。順位決定戦でブラジルとイタリアを破り、参加8か国中5位となった。

日本協会では、女子日本代表の大会参加などのため、広く一般からの支援を募るクラウドファンディング『アメフト界がひとつになって、日本のアメフトの未来をつくろう』を初めて実施。多くの支援者を集め、目標額を大きく上回って達成した。