活動の再開に向けたGuideline (7/23更新)

【はじめに】

 政府の緊急事態宣言により社会経済活動が規制され、スポーツ施設使用も禁止されたため、スポーツ活動も自粛せざるを得なかった。5月25日に緊急事態宣言が解除され、社会経済活動が徐々に再開されることになった。政府、自治体は社会経済活動の制限を段階的に緩和する目安を示しており、スポーツ施設の使用が許可されるに伴い、スポーツ活動も感染症対策を十分に行った上で、徐々に再開できることになる。
 競技団体のスポーツ活動全般については、日本スポーツ振興センター、日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会の3者が合同で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 対策としての スポーツ活動再開ガイドライン (国際競技力強化版)」を示している。
 この「JAFA アメリカンフットボール活動の再開に向けたガイドライン」は上記3者合同のガイドラインを参考にして日本アメリカンフットボール協会が作成したものである。

・アメリカンフットボールは濃厚な接触を伴うコンタクトスポーツであることから、十分な感染症対策が求められる。本競技の全ての関係者は、社会全般に対して「安全」を何よりも最優先する認識を持つことが必要である。
・本ガイドラインは、所属する自治体、学校、企業などの指針に従った上で実施される。
・今後の政府、各自治体、その他の指針の変更等に応じて、この内容は見直されることがある。

1.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

 現時点では、新型コロナウイルス感染症については未だ不明な点が多い。
1) 感染経路
 目、鼻、のど、そして気管支の粘膜からウイルスは侵入する。ヒトからヒトへの感染様式は主に、①飛沫感染(くしゃみ、咳、会話などで唾が飛ぶ)、と②接触感染(ウイルスが付着した手で、目、鼻、口等を触れる)がある。

2) 症状
 発熱、咳、のどの痛み、強い倦怠感、息苦しさ、臭覚や味覚の低下、頭痛等がみられ、潜伏期間は1~14日と考えられている。約20%が重症化するとされるが、肺炎を引き起こすことが多く、また血栓症の報告もみられている。糖尿病、心血管疾患、慢性肺疾患などの基礎疾患がある場合は、重症化するケースが多い。季節性インフルエンザに比べると死亡リスクは高いとされている。

3) 診断
 諸症状、行動歴等からみて疑わしいケースは、鼻の奥やのどの奥の粘液を採取してPCR検査を行い、陽性となればCOVID-19と診断されるが、偽陰性、擬陽性の問題もある。その他、抗原検査、抗体検査等もあるが信頼性については課題もある。

4) 治療
 現在のところ根本的な治療法は無く、対症療法での経過観察となることが多い。重症例に対しては各種投薬治療も行われているが、副作用の問題等から安心して投与できる特効薬はまだ存在しない。今後、新薬、およびワクチンの開発が待望される。

5) 予防対策
 一般社会生活における予防の基本的対策として、下記が挙げられる。
・人との身体的距離 (social distance:2m)を確保する。
・マスクの着用(熱中症のリスクがある場合は人との身体距離を確保した上で適宜外す)。
・こまめな手指の消毒をする(流水や石鹸・中性洗剤での30秒以上の手洗い、あるいは消毒用アルコール(70%以上)の使用)。
・3密(密集、密接、密閉)を避ける(クラスターの発生を抑制)。
   ■密集:多くの人が集まる状況
   ■密接:近距離での会話、発声等
   ■密閉:換気の悪い密閉空間
・感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
・十分な睡眠とバランス良い食事をとり免疫力を高める。

 政府は新型コロナウイルス感染症対策として「新しい生活様式」を提唱している。

2.活動再開のプロトコール

チームの活動の再開は、所属する自治体や学校、企業などからスポーツ施設の使用が許可され、チーム活動が許可されることが前提になる。今後、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、政府、自治体の方針が変更される可能性があり、それに伴って本再開プロトコールも変更される可能性がある。

1) 感染症対策と十分にとり、選手のケガのリスクを最小限にするため、段階的再開のプロトコール(下表)に則って活動を再開する。

2) 各段階の説明
・フェーズ1は、緊急事態宣言下であり、自宅等での個人トレーニングが中心となる。
・フェーズ2は、緊急事態宣言が解除され、スポーツ施設の使用が許可され、チーム活動が許可された段階で、チームとして少人数グループ単位で、コンタクトなしにて、身体的距離をとった練習を行う。
・フェーズ3から4へは、集合する人数や練習の人数が増やされ、フェーズ4では部分コンタクトの練習が許容される。部分コンタクトとは、いわゆる衝突ではない身体接触、を意味する(例:WR、DBが競り合い接触するようなパスのマンツーマン練習、OLの手を張ったブロック、フォームタックル等)。部分コンタクトの練習時間は、徐々に増やすよう周到に管理する。
・フェーズ5では、人数制限なしの対人のフルコンタクトが許可される。

・フェーズの進行は政府、自治体の社会経済活動の規制が順調に緩和された場合であり、感染が拡大して規制が強化された場合には、変更される。
・フェーズ4から5に移行する時期は、慎重に判断する必要がある。今後、新型コロナウイルス感染症の状況によっては変更することもある。

3)練習時の注意
・グラウンドにおいても密にならないように注意する。
・コンタクト練習以外の練習においてはなるべく身体的距離をとる。
・大声や発声は控える。
・つばを吐くのは控える。
・飲水用のボトルを回し飲みしない。
・練習前後はマスクを着用する。熱中症のリスクがある場合は身体的距離をとった上で外す。

4)再開に向けた注意
・長期の自粛生活により選手の基礎体力(筋力、スピード、パワー、柔軟性、持久力、スキル等)は確実に低下している。したがって、特にフルコンタクトに進む前の段階で、例年以上に時間をかけた基礎トレーニングを実施する必要がある。
・練習・試合再開時におけるケガの増加が危惧される。米国NATAでは、新しいコンディションサイクルの最初の7日間は壊滅的に外傷発生リスクが高くなるとしている。また2011年、NFLでは春のロックアウトによる練習不足の影響で、8月の練習開始時に、アキレス腱断裂が例年の6倍発生したとの報告があり、筋バランスの改善、神経筋トレーニング等がその対策として挙げられている。
・体重が増加した選手は、筋量低下を伴った脂肪増加の可能性もあり、注意して是正する。
・今年度の新入生(新人)には、十分な体力トレーニングの期間が無かったため、特別な配慮が必要である。
・暑熱耐性の低下による熱中症増加の危険性があり、暑熱順化(期間は7~10日必要)と各種熱中症対策を積極的に行う。

3.チームで実施すべきこと

1)チーム内に、感染対策担当者を置く。

2)選手、スタッフへの感染症対策の教育を行う。特に、練習以外の社会活動における感染症対策を徹底させる。

3)チーム活動に参加する選手・スタッフは下記の項目について毎日記録を残しておく。
・体温(起床直後・就寝前等の決まった時間での記録)
・体調(咳、のどの痛み、強い倦怠感、息苦しさなどの有無、睡眠時間等)
・行動記録(出かけた場所、同行者等)

4)体温の高い者、体調に問題のある者はチーム活動に参加させない。

5)備品の準備、防具用具の管理。
・消毒に必要なアルコールを準備する。
・人数分のドリンク容器を準備する(回し飲みは禁止)。
・分別回収できるゴミ箱を設置する。鼻水、唾液が付着したゴミはビニール袋に入れて密封して縛り処分する。
・防具、用具は、各自が消毒および管理をする。ヘルメット、アイシールド、フェイスガード、チンストラップ、グローブ、シューズ等は、特に手で触れる部分を入念に消毒する。マウスピースはケースで保管し、コンタクトレンズの管理にも十分留意する。

6)施設利用に関して
・部室、更衣室、シャワールームの利用に当たっては、密にならないようにする。共用部分で手が触れる部分の消毒を行う。
・更衣室、シャワールーム等を使用した際は、毎回清掃と消毒を徹底する。清掃は、市販の洗浄剤(界面活性剤を含有)や漂白剤も使用する。
・トレーニングジム(公共、民間)を利用する場合は、密にならないように注意し、自治体や施設管理者の指示に従う。
・ミーティング室の利用に関しては「3密」にならないように、人との身体的距離(2m)を遵守する。マスクを着用する、大声をあげない、十分な換気をする等の対策をする。

7)感染が疑われる者が発生した場合
・[本人] チーム責任者に迅速に連絡する。
・[本人] 自宅安静とするが、症状が続けば、かかりつけ医、あるいは保健所へ電話で問い合わせを行う。詳細は「厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルスに関するQ&A」等で確認する。
・[チーム] 感染が疑われてPCR検査を受けた場合には所属する競技団体へ迅速に報告する。

8)感染陽性者が発生した場合
・[本人] PCR検査等で陽性が確認されたら、迅速にチーム責任者へ連絡を行う。
・[チーム] 所属する競技団体、学校、企業等に迅速に報告する。
・[チーム] 地域の保健所の指示に従い、濃厚接触者の確認などに協力する。

4.日本協会加盟団体が実施すべきこと

1)連盟(協会)内に、感染対策担当者を置き、チームとの連絡窓口を設置する。(個人情報の取り扱いに十分注意する)
2)ガイドラインを連盟(協会)傘下の全てのチームに周知徹底する。
3)ガイドラインを公式HP等に掲示し、ダウンロード等も可能にする。
4)ガイドラインを必要に応じて関連企業・学校・保護者等にも周知する。
5)大会、試合開催時の感染症対策については、「JSPOスポーツイベント再開ガイドライン」等を参照して、今後策定する。
6)日本協会加盟団体傘下のチームから感染陽性者が発生した場合は、本人、チームは地域の保健所、学校、会社の指示に従う。チームの活動、試合参加については、各日本協会加盟団体で方針を決めておく。

5.更新項目

1)新型コロナウイルス感染症に対する飛沫防止のための自作フェイスシールド使用について(改訂) (2020/06/26)
2)新型コロナウイルス感染症に対する飛沫防止のためのシールド使用効果について(2020/07/06)
3)フェイスシールド使用効果について (2020/7/17)
4)新型コロナウイルス感染症の収束状況に見る、活動の進め方について(2020/07/23)

6.印刷用資料

JAFAアメリカンフットボール活動再開に向けたガイドライン
新しい生活様式
新型コロナウイルス感染症に対する飛沫防止のための自作フェイスシールド使用について
新型コロナウィルス感染症に対する飛沫防止のためのシールド使用効果について
新型コロナウイルス感染症の収束状況に見る、活動の進め方について

【参考資料】

●厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
●厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A
●文部科学省「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~
●スポーツ庁「社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン
●日本スポーツ協会「JSPOスポーツイベント再開ガイドライン
●日本ラグビー協会「ラグビートレーニング再開のガイドライン
●日本サッカー協会「JFAサッカー活動の再開に向けたガイドライン
●日本スポーツ理学療法学会「スポーツ活動の段階的回復への対応
●World Rugby 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴うラグビー活動の安全な展開について
The Australian Institute of Sport Framework for Rebooting Sport in a COVID-19 Environment
●Myer GD, et al.: Did the NFL lockout expose the Achilles heel of competitive sports ?
●Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 41(10), 703-705, 2011.