常に日本フットボール界の先頭を走り続け、数々の栄光を築き上げてきた関学は、すべてのフットボール選手の憧れの存在だ。1941年関西で3番目のチームとして誕生し、リーグ初優勝は49年。初出場した甲子園ボウルで慶應大に快勝し、関西学生リーグでの関学の独走が始まった。甲子園ボウルの代名詞にもなっていたのが、関学と日大—青と赤の対戦だ。甲子園での初顔合わせは55年。試合終了直前に劇的なTDパスで同点に追いつき、大会史上初の引き分け。これが長いライバルリーの始まりだった。関西では無敵ながら、80年代までの関学の歴史は日大ショットガン攻略の歴史でもあった。

関西で独走してきた関学だったが、70年代始めに台頭してきた京大に76年リーグ戦でついに敗れ、連勝記録は145でストップ。翌77年には歴史に残る名勝負「涙の日生球場」—京大との全勝対決を、戦前の予想を覆して勝利した。しかし、82年には京大に完敗してリーグ連覇は33でストップ。「関京」の時代が続いた。さらに立命館が94年に初優勝して関西三強時代を迎えると、京大、立命に敗退を強いられ3位に甘んじるという苦いシーズンが続いた。 変革の成果が現れ始めたのは、90年代後半になってから。97年に4年ぶり甲子園出場。徹底したリクルート活動が実り、屈指の大型ラインを揃えた99〜01年には81年以来のリーグ3連覇を果たし、01年には悲願のライスボウル制覇を達成した。

新たなライバルリーを形成する立命には、02年以降接戦続き。04年には同率優勝ながら、甲子園ボウル出場決定戦で延長の末敗退。05年にはチーム史上初めて4年連続で甲子園出場を逃す屈辱を味わったが、人工芝フィールドが完成した06年に5年ぶり出場。07年には18年ぶりに日大と甲子園で対戦し、逆転の末に6年ぶり23度目の優勝を果たした。

しかし、09年に関大が優勝して以降、新三強体制が強まり、10年は同率優勝ながらプレーオフ1回戦で敗退。昨年は3年間遠ざかった甲子園ボウル奪還に燃え、4年ぶりに全勝でリーグ制覇。4年ぶりに出場した甲子園ボウル決勝では日本大学に勝利して4年ぶり24回目の優勝。

しかし、ライスボウルでは社会人王者・オービックシーガルズに逆転負けしたことで、今年は「ライスで勝って日本一」を目標に掲げて、春からじっくりとチーム作りに取り組み、2年連続全勝でリーグ優勝。甲子園ボウルで6年ぶりに顔を合わせた法政大学には、試合終了プレーで逆転FGを決める劇的勝利で、2年連続25回目の学生王者に就いた。
ライスボウル出場8回は学生最多。01年以来11年ぶりの日本一を目指す。

鳥内秀晃（とりうち・ひであき）

1958年11月26日生まれ、54歳。元監督の父・昭人氏（故人）の影響で、関学でフットボールをすると決意。摂津高校（サッカー）を経て、関西学院大学に入学し、現役時はDB/Kで活躍した。82年卒業後は米国へコーチ留学。南オレゴン州立大（82〜84年）、UCLA（85年）で学び、86年に帰国して母校コーチに。92年監督就任（リーグ戦128勝19敗）し、今季で就任21年目。甲子園ボウル優勝7回（引き分け1回含む）、ライスボウル優勝1回。

社会学部4年
1990年6月20日生172cm 78kg 血液型A型
関西学院高等部アメリカンフットボール

関学中学部でフットボールを始め、一貫してQB。高校2年春に関西大会優勝経験を持つ。2年秋リーグ中盤から控え QBとして随時出場するようになり、3年春からスターターで出場、秋にはエースに定着した。関学高等部時代から短中 距離のパスの正確さと自らの走力を武器とし、スムーズかつ機動力にあふれるプレーで関学攻撃を牽引。

今季は、昨季よりもスピードアップしたスクランブルと、磨きのかかった多彩なパスでリーグ全勝優勝に貢献。甲子園ボウルでは 第4Qに登場し、逆転勝利を演出した。

ラッシング42回走213ヤード平均5.1ヤード3TD（関西12位）、パスレイティング168.42（関西1位）。 年間最優秀選手チャック・ミルズ杯、関西学生リーグMVP（松葉杯）、関西学生リーグベスト11（QB）受賞。
40ヤード走4秒68、ベンチプレス110キロ、スクワット210キロ。10年19歳以下日本代表。

人間福祉学部4年
1991年3月20日生174cm 97kg 血液型O型
足立学園高校アメリカンフットボール

足立学園中学でフラッグフットボールを始め、3年時には関東大会優勝、全国大会5位。高校では1、2年時TE、3年時 RB。高校3年秋にチーム史上最高位の全国ベスト8。関西学院大学入学と同時にLB。2年時には交代で試合出場。

3年時にRBに転向して頭角を現し、タックルを吹っ飛ばす頑強なパワフルバックとして活躍。
ラッシング71回走389ヤード 平均5.5ヤード9TD獲得（関西4位）。甲子園ボウルでは66ヤードの独走を含むラン16回133ヤードを稼ぎ、大会最優秀 選手賞受賞。
40ヤード走5秒2、ベンチプレス120キロ、スクワット220キロ、クリーン130キロ。。

商学部4年
1990年9月27日生186cm 111kg 血液型A型
箕面自由学園高校アメリカンフットボール

小学4年時に少年タッチフットボールチーム「千里ファイティングビー」でフットボールを始め、攻守ラインとして同チーム で中学までプレー。箕面自由学園高校ではサイズを利してOL、DLを兼任。超高校級の大型ラインとして鳴らし、MLBで も活躍。関西学院大学では1年時からDEでスターター。 3年時からはDT、DEともこなす最前列の中心選手として存在感を発揮している。
QBサック4回25ヤード（関西2位）。関西学生リーグベスト11（DL）受賞。
40ヤード走5秒1、ベンチプレス135キロ、スクワット220キロ。

社会学部3年
1991年11月25日生180cm 87kg 血液型B型
関西学院高等部アメリカンフットボール

関西学院中学部でフットボールを始め、TEとDLをプレー。高等部に進学してLBになったが、1年夏にはSFに転向。3年 時にはDBのほか、インサイドレシーバー、TEもプレーした。関西学院大学では1年時からSFで出場し、1年秋のリーグ 戦中盤からパス、ラン守備ともにキーマンとなるOLB（ナスティ）を務める。チーム屈指のアスリートであり、正確かつ ハードなタックル、抜群の嗅覚を活かしたプレーリード、駆け引きを武器とする万能型選手。関西学生リーグベスト11 （LB）受賞。
40ヤード走4秒7、ベンチプレス120キロ、スクワット200キロ。