2008.12.26
立命館大学パンサーズの注目選手
お知らせ
QB#11松田大司(まつだ ひろし)
立命館大のエースQBとして、1年間を死ぬ気でやってきた成果を宿敵・関学大戦で発揮することが出来た。さらに甲子園ボウルでも悲願を果たし、次はいよいよ日本一への挑戦。「相手はとにかくメチャクチャ強いが、ライスボウルで主将の浅尾を胴上げするのが今季の目標」と、エースらしい決意をみなぎらせる。
高校時代より大型パッサーとして注目を集めてきた存在だったが、新エースとなった今春は、その重責からか調子の波に左右される不安定なプレーが数多く見受けられた。「どんな試合でも常に70点以上の力が出せるのがエースQB」との古橋監督の期待に応え、技術面だけでなく精神面でも、春から比較すると目覚しい成長を見せた。
パナソニック電工相手に、厳しい展開が予想されるライスボウル。しかし「十分勝負できると思う」と、甲子園ボウル勝利後の取材でキッパリ。エースQBとして、大舞台でさらに成長を続けている松田。3年生QBながらチームを日本一まで引っ張っていく覚悟は出来ている。
RB#26松森俊介(まつもり しゅんすけ)
「まだ実感がなくて、夢のよう」。甲子園ボウルで年間最優秀選手・ミルズ杯を受賞。関西学生リーグ最優秀選手にも選ばれた立命のエースRB松森。1年生の時に、甲子園ボウルで法政大に負けた屈辱を、学生最後の年に晴らすことが出来た。この1年で「人間的にも技術的にも成長した」と、古橋監督やコーチ陣は口を揃えて松森を高く評価する。
怪我のため今季の試合出場が不可能になった主将の浅尾に代わり、松森はそのプレーでチームを引っ張ってきた。「(浅尾と)一緒にプレーがしたいとずっと思っていた。彼がプレーできないというのが、判ってからは自分が引っ張っていかなあかん、というのがあった」と松森は話す。
天性のセンスと抜群の快足で観客を魅了してきた今季の松森。「ライスボウルでもしっかり走って、いままでやってきたことの全てをぶつけたい」。松森が起爆剤となってオフェンスが進む時、チームの日本一は現実のものとなるだろう。
RB#44浅尾将大(主将)(あさお まさひろ)
アキレス腱再断裂のため、試合には出ることが出来ない主将の浅尾将大。もともと今季のセットバックからのランオフェンスは、浅尾の強力なブロック力を活かすために採用されたシステムだった。「現在の戦力で彼が戻ってきてもベストFB」(米倉オフェンスコーディネイター)というだけに、戦線離脱はチームにとって大きな損失だ。しかし今季の立命館大を、キャプテンとしてまとめあげるという重要な役割を担ってきた。
練習に参加できなくても、オフェンスチームのリーダーとして、シーズン中からパッシングユニット、ランニングユニットを浅尾が主体となって招集し、勉強会を開いた。古橋監督は「練習には参加出来ないが、雨の日でも、かんかん照りの日でも彼はフィールドに居た。その存在が(チームの)精神的支柱となった」と、その存在感の高さを認める。
「浅尾を日本一の主将に」。チーム全員の想いがこもった横断幕を、ライスボウルの会場でもきっと目にすることが出来るだろう。
関学大戦前に練習を見に来てくれたパナソニック電工のWR長谷川昌泳(立命館大OB)と「ライスボウルで逢いましょう」と約束した浅尾。いま一度「Dead or Alive」、立命館大は日本一を目指す。
DL#90久司大貴(くし だいき)
今季の立命館大DLは、学生界最高のDL陣との呼び声高い豊富な人材が揃う。特にDLの中央に位置する久司大貴は、古橋監督から「今まで育ててきたDLのなかでも、最高のタイプ」と絶賛されるほどのタレントだ。
タックルが強いだけではなく、スピードとテクニックを併せ持ち、相手のランとパスに瞬時に対応できるプレーが持ち味。激しいラッシュで、QBサックを連発する対戦相手にとっては脅威の存在。関西学生リーグ優秀守備選手にも選出された。また関学大戦では、肩の怪我の痛みに耐えて出場を続け、最後まで戦い抜いたという忍耐力も持った選手だ。
しかしフィールドから一歩出ると、誰からも好かれる優しい性格の持ち主で、チームメイトやコーチから「クシくん」と呼ばれている。普段のアグレッシブなプレーぶりからは、想像しがたい意外な一面だ。
立命館大は「久司、武知、前田」という最終学年を迎える最強DL陣で、社会人ナンバーワンのパナソニック電工OL陣に勝負を挑む。甲子園ボウルでも関東学生リーグを席巻した法政大オフェンスには、最後まで得点を許さなかった立命館大ディフェンス陣。その最前線で担うDL久司は、立命館大が日本一になるための重要な担い手となる。
LB#52海島裕希(副将)(うみしま ゆうき)
OL西川、DB町とともに副将としてチームを牽引するLB海島裕希。この春は怪我に泣いたが、復帰後はランディフェンスの中核として活躍、ディフェンスチームのプレーコーラーとして、LB岸本や相馬などを支える司令塔の役割を果たしてきた。下級生からも信頼が厚く、池上ディフェンスコーディネーターも「いいLBになった。ディフェンスチームを盛りあげる存在感のあるプレーヤー」と全幅の信頼を寄せる。
立命館大のディフェンスチームはLBがアジャストコールを出す。ベンチからのサインをフィールド上の海島が確認し、「インストールの時に話し合ったコーディネーターの狙い」が海島に伝わる。海島はコンマ何秒かの間に相手オフェンスの気配とコーチの思いを総合的に判断して、シグナルコールを出すわけだ。
ライスボウルでは「なんとかディフェンスチームでゲームメイクして、いい試合にしたい」と、闘志を燃やしている。今季の学生界最強ディフェンスチームのプライドを賭けて、オールジャパンメンバーがずらりと揃うパナソニック電工の強力バックス陣との真っ向勝負を受けてたつ。
DB#4町健太郎(副将)(まち けんたろう)
立命館大の守護神として、ディフェンスの最終ラインで存在感を発揮する副将・町健太郎。身長181cm、体重91kgの大型DBで、40ヤードを4.6秒で走るスピードも持ちあわせている。瞬時の判断力も卓越し、今季のリーグ戦では、試合を経るごとにその本領を発揮していった。
しかし池上ディフェンスコーディネーターは、「まだ自分の力を全部発揮できていないもどかしさがある」と、潜在能力はさらに高いレベルであることを示唆する。高校時代(報徳学園)は、硬式野球部で2度の甲子園を経験。大学からアメフットを始め、わずか半年でアンダー19に選出されるなど、入学当初から注目度は高かった。
だが、周囲の期待が大きすぎたことがプレッシャーとなり、選手として伸び悩んだ時期もあった。それでも苦難を乗り越え、この1年で劇的な成長を遂げた。
甲子園ボウルでは、同じDBチームメイトの今西が、試合を流れをもぎ取る2本のインターセプトを決めて、甲子園ボウルMVP、NFL特別賞をダブル受賞した。「アサイメント(役割分担)の関係であっちにいきましたが、次(ライスボウル)は僕の番です」と、屈託なく笑った。
記事: 大喜多理沙、内藤悠子、濱田直毅(UNN関西学生報道連盟)、畠中隆好
編集: 畠中隆好(office NEAR)
写真提供: P-TALK/SHIMIZU PHOTO OFFICE