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INFORMATION ニュース

1987.01.01

1987年(昭和62年) 活動54年目

お知らせ

日本社会人選手権や多くのボウルゲームが開始。全体で過去最多の観客数に

日 付 主な出来事
社  会 4月1日 国鉄分割民営化、JR7社に事業継承
10月19日 ニューヨーク株式市場大暴落(ブラックマンデー)
11月8日 東京ドーム建設のため後楽園球場閉場
日本の貿易黒字827億ドルに、円高加速、1年半で100円上昇も
フットボール 3月10日 日本協会、社会人クラブチームにライスボウルへの道を開くことを決定
3月21日 平塚競技場(神奈川県平塚市)、使用開始
4月 日本協会、関東大学連盟の事務所、新宿区大久保に移転
6月4日 ヨコハマボウル創設、第1回は日大-京大、関学大-明大(横浜スタジアム)
6月12日 ジュニア・パールボウル創設、第1回は富士通-朝日生命(後楽園球場)
6月 第1回瀬戸大橋ドリームボウル、岡山大-京大(香川・坂出競技場)
12月6日 第1回日本社会人選手権開催、レナウン、シルバースター下し初優勝(横浜スタジアム)
翌年1月3日 第41回ライスボウル、京大がレナウンを下し2年連続3回目の優勝

社会人フットボールにとって、1987年は画期的な年となった。84年に日本選手権・ライスボウルが発足し、85年に日本社会人協会が設立されてから初めてクラブチームにライスボウルの出場資格が認められたため、日本社会人選手権を創設した。この第1回日本社会人選手権の開催で、国内フットボールの片翼を担ってきた社会人フットボールが大きな前進を果たした。

[1]主な出来事

●4月、日本協会と日本社会人協会の事務所が、東京都新宿区百人町の田代ビルに移転した。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆競技施設

●5月1日、京都市左京区に「宝ヶ池公園球技場」が完成、全面九州産天然芝で6,000席の収容能力を持ち、フットボールでも活用できる競技場だった。フットボールの最初の試合は5月4日に行われた立大-同大の第41回定期戦だった。

関東では、新たに平塚競技場を利用することになった。同競技場は天然芝、屋根付き観客席で、フィールドクロック、ゴールポストなども整備された会場で、地元の東海大と日大の交流戦がフットボールの最初の試合となった。

●関西フットボールのメッカ、西宮球技場の観客席増設工事が完了し、収容人員が5割増となった。

 

◆公式規則

●1984年6月のNCAAルール・コミッティのDavid M.Nelson氏の来日に続き、この年6月、やはりNCAAルール・コミッティの編集委員会委員のDotson Lewis氏が日本協会の招きで来日。関東と関西で公式規則や審判関連の説明と講習を行った。同氏は長く審判活動を行うとともにNCAAのフットボール規則の編集委員を務めていることもあり、公式規則や審判員のメカニックなどの説明会と講習会を行った。同氏はそれ以降、ほぼ2年ごとに2001年まで6回来日。毎年変わる公式規則とそれに基づくオフィシエイティング(審判方法)に関して講習会を開催し、日本の審判技術の向上と国際化に寄与した。

【この年の日本の主な規則変更】

●日本独自の変更として、ボールの空気圧を10.0~13.5ポンドへ減らした。NCAA規則では12.5~13.5ポンドだった。公式規則で定められた空気圧は変更がなかったが、手の小さい日本人はパスを投げるときに負担が大きかった。そのため、国内の試合でのパスプレーの活性化の観点から、国内の試合に限って10.0~13.5ポンドに変更した。

しかし、国際試合、特に親善試合ではない公式な大会の試合は、当然のことながら12.5~13.5ポンドで行われる。したがって、「ボールの空気圧」、そして「スパイクのクリーツの高さ」は、試合前に検査されることも多く、国際試合ではNCAAの規定に則った装具などの着用が必須である。

 

[3]春季試合

◆春のボウルゲーム

●第1回グリーンボウル

大阪で初夏のビッグイベントとして、人工芝も鮮やかな長居球技場で開催される社会人チームの対戦、「グリーンボウル」が新設され、地元関西の松下電工と関東の三和銀行が対戦。松下電工が33-0で第1回大会を制した。

●第33回西日本選手権

「西日本学生選手権」が整備され、この年から参加資格は関西学生リーグと近畿学生リーグ各ブロック上位3校とし、これとは別に、新たに西日本学生選手権の参加資格がない近畿学生リーグ校を対象にしたトーナメント戦の「近畿学生選手権」が設立され、第1回を開催した。「近畿学生選手権」は大学グラウンドではなく、全試合スタンド付きの公共会場で開催され、参加チームの励みになった。その第1回大会は13大学が参加し、決勝は佛教大が追手門学院大を18-12で破り、最初のチャンピオンとなった。

「第33回西日本学生選手権決勝」は5月24日、万博記念競技場で関学大-京大が対戦し、好ゲームとなった。

4Q8分、7点差に追い上げた京大がオンサイドキックを成功させ、その後の攻撃でRB駒田純一(三年)がこの日3つ目となる1ヤードのTDランで20-19と1点差に詰め寄った。しかし、逆転を狙う2点コンバージョンのTFPは、駒田がボールを持ったが、関学大が3人がかりで止め、そのまま試合終了となった。

2年目となる「西日本社会人選手権」は14チームが参加。決勝は5月31日、新装なった万博記念競技場で松下電工とNACLが対戦した。松下電工はQB西村英男の好指揮で前半に5TDを奪い圧倒。大型新人を大量に獲得し、チームの若返りに成功した松下電工が50-14で完勝し、学生を含めた大会を通じて5年ぶり4回目の優勝を遂げた。3位は広島AKライナーズ、4位は名古屋となり、関西以外のチームの台頭で、まさしく「西日本」大会となった。

●第33回西宮ボウル

「第33回西宮ボウル」は6月29日、西宮球場で開催。全関西は序盤、QB東海辰弥(京大四年)からWR堀古英司(関学大四年)へのパスで関東守備陣を脅かし、2Q3分に東海の3ヤードTDランで先制。全関西は以降も終始ゲームの主導権を握り、20-14で11年ぶりに勝利した。TDを挙げてはいないものの全関西の総獲得ヤードの7割を走ったRB田附喜水宏(近大四年)、守備ではNG小川和守(立命大四年)の活躍が光った。関西は東西間のオールスター戦21戦ぶりの勝利だった。

●第1回ヨコハマボウル

春の新しいボウルゲームとして、横浜スタジアムを使用した「ヨコハマボウル」が誕生した。主催は月刊の専門誌「TOUCHDOWN」を発行するタッチダウン株式会社。6月14日に12,000人の観客の下で、東西の4強の日大、明大、京大、関学大が出場して話題を集めた。

・第1試合の日大-京大は1Q1分、京大がQB東海辰弥(四年)からWR伊藤公一(四年)への10ヤードTDパスで先制。日大はQB山田喜弘(三年)からWR渡辺正樹(四年)への7ヤードTDパスで追い付き、4Qには山田の3つのTDランで34-14と勝利した。

・第2試合の関学大-明大は、3Q終了時に関学大が16-22とリードされていたが、4Q2分、真弓英彦(四年)の1ヤードTDランで逆転し、さらに2つのTDを加えて37-30で勝利した。

このヨコハマボウルは、主に東西間のチームの対戦を中心に2004年5月の第18回大会まで開催され、秋のシーズンを占う貴重な対戦が多数行われた。

●第12回パールボウル

「第12回パールボウル」は6月12日、後楽園球場でレナウンと銀行業界から初出場の三和銀行が対戦し、レナウンが勝利した。

前半は両チーム守備陣の健闘で無得点。3Q、レナウンQB松岡秀樹が敵陣でファンブルしたボールを、エンドゾーンでTE山田勝則がリカバーして先制。その6分後には、松岡が61ヤードのTDランで追加点を挙げた。結局、谷口輝雄監督率いるレナウンが三和銀行を24-8で破り、3連勝を遂げた。

後楽園球場は翌年から東京ドームとなるため、12回続いた初夏の夜空の下での後楽園球場での最後の開催となった。また、この年から日本社会人2部リーグ所属の12チームによるトーナメント戦、「ジュニアパールポール」が開催され、その決勝がパールボウルの第1試合として開催された。第1回大会は富士通が朝日生命を14-6で破った。

 

[4]秋季試合

■関東(学生)

●関東大学リーグ1部は例年通り、駒沢第二球技場、駒沢補助球技場、大井陸上競技場、大井球技場を主会場として開催し、新たに平塚競技場、西が丘競技場も使用した。

リーグ戦は9月12日に東西同時に開幕。無難に戦いを進めたのは関東Aブロック全勝優勝を果たした日大のみだった。Aブロックの2~6位、Bブロックは全順位が最終節まで確定しないという大混戦となった。

Aブロック優勝の日大は、1試合平均54得点、8失点とまったく危なげない試合運びで、最少得点差が立大戦の21点と、他を寄せつけなかった。2位には立大が躍進。主軸のラン攻撃が中盤戦から調子を上げた。日体大は序盤は順調に勝利を挙げたが、中盤戦から攻守のラインに負傷者が相次ぎ、3位に終わった。4位に早大、法大、横国大が並び、上智大は1勝を挙げたものの2部降格となった。

Bブロックはこの年昇格した筑波大が前年ブロック優勝の専大を破る波乱で幕を開けた。中盤まで全勝を守ったのは明大、慶大、東海大の3校。ます慶大を破った明大が一歩リードしたかと思われたが、東海大が明大から初勝利を挙げ、3校に優勝の可能性が残されたまま最終節へ。慶大と東海大の一戦は、慶大が一年生QB岩田聰の見事なリードで快勝。明大は専大を1TD差で辛くも下し、その結果、3校が5勝1敗で並んだが、前年度順位優先の協会規定で、明大が関東大学選手権決勝の出場権を得た。2勝の筑波大が4位に入り、専大は5位、桜美林大が6位。7位の東経大は3年ぶりに降格となった。

●第18回関東大学選手権

「第18回関東大学選手権・パルサーボウル」は日大と2年ぶり出場の明大が対戦。ともに左腕の四年生QB、明大・渡辺弘幸、日大・佐藤知浩の好リードで試合が展開。明大が1Qに西岡浩介(三年)のTDランで先制すると、日大も佐藤のオプションとパスで逆転。さらに明大も渡辺の51ヤード独走TDで反撃したが、日大が着実に得点を重ねて45-14で勝利した。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグは西宮球技場の使用は少なく、長居球技場と万博記念競技場、それに新たに宝ヶ池球技場(京都市)を使用した。京大が初戦から圧倒的な強さを発揮して独走。それを関学大が追走するという形で進んだ。

関学大は、開幕戦で今季昇格の関大に3-0と大苦戦し、不安を残した。しかし、その後はそつのない試合運び。パスを攻撃の主軸にするチームが多くなった関西リーグで、パス守備が安定し、1試合平均失点をわずか8点に抑え、伝統の強さを見せつけた。

リーグ優勝の行方は前年に続いて最終戦の全勝対決、関京戦に持ち越され、予想通り「京大攻撃」対「関学大守備」の構図となった。

京大は夏に主力選手が米国に短期留学し、関学大は名将・武田建学長が総監督として11年ぶりに大学フットボール界にカムバックし、例年に増す盛り上がりで試合を迎えた。万博記念競技場に24,000人の観客を集めて行われ、開始43秒で京大がQB東海辰弥(四年)からSE福島伸一郎(三年)への53ヤードのTDパスでいきなり先制した。

その後は両チーム一進一退の好試合を展開。3Qには関学大がWR堀古英司(四年)、甲木秀朋(三年)にミドルパスを決め、3点差まで肉薄した。京大は4Q1分、QB東海辰弥(四年)が25ヤードの中央突破のTDでとどめを刺して24-14で勝利し、連覇を遂げた。

2位は関学大。3位に同大と近大が並んだ。台風の目と期待された立命大は、試合運びがいまひとつで5位。攻撃力低下の大体大と甲南大が6位。甲南大は全敗で8位の関大とともに入れ替え戦に出場し、甲南大は残留したが、関大は降格した。関大を破った神戸大が昇格した。

 

■各地区(学生)

【北海道】 1部は、昇格した北星学園大が札幌大に破れたものの、旭川大と北海学園大に勝利し、北大と小樽商大に引き分け、2勝1敗2分で3位に入る健闘を見せた。北大が4勝1分で2年連続優勝。2位は札幌大だった。
【東北】 1部は、東北大が圧倒的な勝利を重ねて全勝優勝。2位が東北学院大と日大工学部で、4位から仙台大、北里大水産学部、山形大となった。
【東海】 1部は各校の実力が接近。最終週で名古屋大と中京大が全勝対決し、前半で中京大が20-7でリード。後半、名古屋大に逆転されたが4Qに中京大が逆転のFGを決め、29-27で勝利し、優勝した。
【北陸】 1部は最終週で金沢大と福井大が全勝対決。福井大が21-6で4年ぶりに金沢大を破り、優勝した。
【中四国】 最終戦で広島大と山口大が全勝対決。山口大がFGで先制し、その後も逆転を許さず9-0で勝って2年連続2回目の優勝とした。
【九州】 1部は、九大が西南学院大との接戦を7-6で制して全勝優勝。以下は西南学院大、熊本大、福岡大、長崎大、九産大となった。

 

●「東日本学生王座決定戦」は11月15日、東京・よみうりランドで行われ、北大が東北大との接戦を14-7で制した。

●「西日本学生王座決定戦」は11月8日に行われ、九大が山口大を35-8で破った。

●「第2回地区対抗学生王座決定戦」は11月23日、横浜スタジアムで関東大学選手権・パルサーボウルの第1試合として、北大と九大の対戦で行われた。1Q、九大があっさり先制したが、北大はWR小野寺正典(四年)へのパスなどで追い掛け、さらに2Q、TE家中和浩(三年)、WR渡辺隆(三年)へのパスを織り交ぜながら九大陣に攻め入った。その後、2回の第4ダウンのギャンブル成功含めて13プレーで73ヤードをドライブし、最後はQB萩野克彦(四年)から小野寺へのTDパスで北大が逆転に成功した。その後、北大守備陣が守り切り、18-7で勝利。就任10年目の広川英人監督率いる北大が地区代表学生王座に就いた。

 

◆秋季試合(社会人)

●社会人のライスボウル出場決定方式は、この年度に限り、次の方式とした。

・まず第1段階として、松下電工が関西のクラブチームのリーグ・西日本カンファレンスに所属し、その優勝チームが、関東のクラブチームのリーグ・東日本カンファレンスの優勝チームと、11月23日に神戸市の王子陸上競技場で「第37回神戸ボウル」として対戦

・次の段階として、その勝者が実業団カンファレンスの優勝チームと「日本社会人選手権」として、12月6日に横浜スタジアムで対戦(当時、試合名称公募中)し、その勝者がライスボウルに出場する。

●「日本社会人リーグ」は、関東地区の実業団カンファレンスが平塚競技場と駒沢競技場を主会場に、東日本カンファレンスが企業グラウンドで、西日本カンファレンスが西宮球技場、長居球技場などで開催した。

 

■秋季試合 関東・関西(社会人)

●実業団、東日本、西日本の3カンファレンスに再編成された日本社会人リーグの秋季リーグ戦は、9月6日に開幕。

実業団1部では、レナウンが順調に勝利を重ねた。レナウンは主QBに松岡秀樹を起用し、ラン・パス自在のショットガン攻撃で他を寄せ付けず、全勝で日本社会人選手権の出場権を獲得。三和銀行はエースQB横瀬輝男を負傷で欠き、2勝3敗で5位に転落。代わって大量に新人を補強し、今季から1部の日本電気がレナウン以外の4チームに快勝していきなり2位に大躍進。日産とオンワードは中位脱出ならず、それぞれ2勝3敗で3位と4位に入り、古参の警視庁は全敗で2年連続の最下位となった。

東日本カンファレンスではシルバースターが変貌を遂げ、見違える強さを発揮。1985、86年とリーグ優勝したシルバーオックスをも大差で下して、無失点のまま全勝でカンファレンス優勝を飾った。

西日本カンファレンスでは最終戦で松下電工とサンスターが無敗同士で対戦し、松下電工が21-13で逃げ切り、リーグ戦を制した。

 

■プレーオフ(社会人)

●日本社会人選手権の出場権を懸けた東日本カンファレンスと西日本カンファレンスの対戦は11月23日、王子陸上競技場で「第37回神戸ボウル」として開催され、シルバースターと松下電工が対戦した。シルバースターはエースRB東松宏昌の快走やWR秋山克未の活躍で、前半を33-7とリード。しかし、松下電工は大ベテランのQB西村英男のこん身のパス攻撃で追い上げ、ついには28-31と3点差に迫ったが最後はシルバースターが逃げ切った。両チームのライスボウル出場に懸ける意気込みを充分に感じさせる好試合だった。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第42回甲子園ボウル

●「第42回甲子園ボウル」は12月13日、甲子園球場に史上最多となる37,000人の観客を集め、京大と日大が2年連続で対戦した。京大が終始主導権を握り、連覇を達成した。

1Q10分、京大はQB東海辰弥(四年)の26ヤードTDランで先制。前半終了間際にも東海からSE福島伸一郎(三年)への16ヤードTDパスで14-3とリードした。

後半に入ると、日大はQB佐藤知浩(四年)がこの日初めてパス攻撃をリード。3Q2分にFL山田喜弘(三年)への32ヤードTDパスで10-14と迫る。その後もDE楢崎五郎(四年、主将)を中心とするラインが踏ん張ったが、3Q9分過ぎから4Q3分までの10分足らずで試合は決まった。京大は、まずRB駒田純一(二年)のランをSE福島へのパスで締めくくって21-10とし、さらにDB植木努(四年)のインターセプトをK若林正敏(四年)の44ヤードFGにつなげて24-10。続いてQB東海辰弥(四年)、駒田のランを若林の30ヤードFGにつなげて27-10とし、日大の息の根を止めた。

最終スコアは41-17で、京大は2年連続3回目の甲子園ボウル優勝となった。京大はC屋敷利紀(四年、主将)、MG大西学(四年)、DT辻俊昭(四年)、DT中村明彦(二年)らの強力ライン、DB植木努(四年)らのバックスが勝利の原動力となった。ミルズ杯は2年連続で京大QB東海が受賞した。

 

◆第1回日本社会人選手権

●ライスボウルに出場する社会人チームを決める12月6日の「第1回日本社会人選手権」は、シルバースター(阿部敏彰監督)とレナウン(谷口輝雄監督)の、社会人フットボールの歴史を作り上げてきた2強が雪の残る横浜スタジアムで初めて対決した。

シルバースターは神戸ボウルを経てチームに疲労の色が濃かったが、実業団王者を相手に3Q5分過ぎまで完全に主導権を握った。QB大高秀二からWR秋山克未への2本のTDパスなどで28-0と大きくリード。

しかし、3Q5分過ぎ、レナウンがQB鈴木隆之からTE平野雅義へのTDパスで反撃ののろしを上げると、4QにQB松岡秀樹が縦横無尽にフィールドを駆け、そして10分過ぎにRB相沢健一のTDでついに同点とした。そして終了49秒前、K船越徹のFGが成功し、レナウンが奇跡的な逆転劇を演じてみせた。31-28の結果は、社会人フットボール史に残る試合となり、レナウンは5年連続でライスボウル出場を決めた。そして、社会人フットボールはレナウン、シルバースター、松下電工の3強時代に突入した。

 

◆第41回ライスボウル

●「第41回ライスボウル」は翌1988年1月3日、国立競技場で前年に続き3度目の出場となる京大と5年連続出場のレナウンの対戦となった。観客は史上最多の48,000人だった。

前半から京大が一方的に攻め、レナウンに付け入る隙を与えず、42-8で大勝した。京大は1Q3分、QB東海辰弥(四年)の1ヤードのTDランで先制すると、東海とRB駒田純一(二年)のラン、東海のパスなどで攻め、計5TD、2FGを挙げた。

レナウンはQB松岡秀樹のランとパスなどで対抗したが、得点は4Qの松岡の3ヤードTDランとその後のTFPの2点コンバージョンのみ。5回目のライスボウル出場となったレナウンだが、松岡のランとパスがともに完全に封じられ、京大の3インターセプトを奪った守備陣と爆発的な力を持つ攻撃陣に終始リードされ、逆転のチャンスはなかった。

京大は秋季公式戦計9試合で総得点465、総失点96、9戦全勝の輝かしい戦績。そして2年連続3回目の日本一の座に就いた。水野彌一監督の人間教育を柱に、素人集団が黄金時代を築き上げた勝利だった。MVPのポール・ラッシュ杯は京大QB東海辰弥が前年に続き受賞した。

ハーフタイムは前年に続き、東京ディズニーランドの人気キャラクターとダンサー、総勢1,500人のショーと30万個の風船で会場を盛り上げた。

 

◆その他のボウルゲーム

●この年から「東ソー」の冠を加えた「カレッジ・東ソーボウル」は快晴の横浜スタジアムに29,000人の大観衆を集めて行われ、関東学生選抜が鮮やかな逆転劇で24-17で勝利した。

 

[6]高校フットボールの活動

◆春季大会(高校)

●「春季第13回関東高校選手権大会」は8校でトーナメントを開催。準決勝で法政二高(神奈川2位)を14-0で破った早大学院(東京1位)と、日大櫻丘高(東京3位)を34-6で破った日大三高(東京2位)が決勝で対戦し、日大三高が42-0で勝利し、優勝した。

●「春季第17回関西高校選手権大会」は各府県代表の8チームが参加。準決勝で府立豊中高(大阪2位)を49-13で破った関学高(兵庫1位)と、府立箕面高(大阪1位)を8-0で破った県立虎姫高(滋賀1位)が決勝で対戦し、関学高が69-0で14連覇を遂げた。

 

◆秋季大会(高校)

「全国高校選手権」は13都府県の計100校が参加して開催。高校フットボール界でも新風が吹き荒れた。

 

■関東地区(高校)

「高校選手権関東地区」決勝は11月15日、駒沢第二球技場で慶応高と日大鶴ヶ丘高が対戦。慶応高が1Q、9ヤードTDランで先制したが、日大鶴ヶ丘高は2Q4分にランで、同10分にパスでTDを挙げて逆転。3Qに慶応高が7ヤードTDランで再逆転したが、日大鶴ヶ丘高は4Qに2つのTDで再々逆転し、25-14で勝利した。

 

■関西地区(高校)

「高校選手権関西地区」決勝は11月15日、万博記念競技場で大産大付高と関学高が対戦し、大接戦となった。1Qに両チーム2TDを挙げる点の取り合いで。2Qは大産大付高が2TDに対し関学高は1TD。後半も両チームともに1TDを挙げるが、結局2Qの差が試合結果となり、大産大付高が31-28で全国大会決勝に進んだ。

 

◆第18回全国高校選手権

●「第18回全国高校選手権」決勝は12月27日、初めての開催となる長居球技場で、初出場同士の日大鶴ヶ丘高と大産大付高が対戦し、点の取り合いの大接戦となった。前半だけで日大鶴ヶ丘高が5TD、大産大付高は3TDを挙げた。その後、4Q残り4分で大産大付高が42-42の同点に。しかし日大鶴ヶ丘高は試合終了36秒前にQB松本義幸(三年)がRB小林宗博(二年)に8ヤードのTDパスを決め、吉江祐治監督率いる日大鶴ヶ丘高が全国大会初優勝に輝いた。両チーム合計91得点は大会最多得点となった。

 

[7]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(国内開催)

●関学大が1985年から対戦していた南オレゴン大との3回目の対戦を88年1月10日に長居陸上競技場で行い、関学大が27-9で勝利した。単独米国大学からの初勝利だった。

 

◆外国チーム間の試合(日本国内開催)

●第11回コカコーラボウルは11月29日、国立競技場で前年に続いてPAC10カンファレンス所属のカリフォルニア大バークレー校とワシントン州立大が対戦。最後まで両チーム譲らず、17-17で大会史上初の引き分けとなった。

●「第13回ジャパンボウル」は翌1988年1月10日、好天の横浜スタジアムで開催された。東軍ヘッドコーチには3度目のルー・ホルツ氏(ノートルダム大)が就任。ハーフタイムは4年ぶりに日体大のエッサッサが復活した。ハイズマン賞のWRティム・ブラウン(ノートルダム大)をはじめオールアメリカン15人。QBダン・マクファーソン(シラキュース大)の活躍などで西軍が17-3で勝利した。

 

★★★★★★★★★★★

観客数記録を大幅に塗り変えたライスボウルをはじめ、甲子園、カレッジ東ソー、パールなど主だったボウルゲームが軒並み入場者数を増やした。フットボール人気の高まりに、各チームが充実した試合で応えた形となった。その意味で、画期的なシーズンと言えた。