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INFORMATION ニュース

1995.01.01

1995年(平成7年) 活動62年目

お知らせ

甲子園ボウル50回記念。京大4度目の日本一。第1回さくらボウル開催

日 付 主な出来事
社  会 1月1日 世界貿易機関(WTO)発足
1月17日 阪神・淡路大震災(M7.3)
3月20日 地下鉄サリン事件発生
6月 バブル崩壊に伴い、住専問題顕在化
8月5日 ベトナム、米国と国交正常化
フットボール 3月6日 ポール・ラッシュ博士を偲ぶ会。殿堂建設計画発表
3月 日本協会60周年史『堂々たる前進』発行
4月1日 初の6人制タッチフットボール公式規則書発行
6月11日 第1回ジャパンシーボウル、北陸社会人-アサヒ飲料。のちの百万石ボウル
日本協会機関紙『American Football Report 第1号』発行(2001年26号まで)
8月29日 日本社会人協会、1996年から「日本リーグ」発足を発表
9月2日 関東大学リーグ開幕、関東大学選手権を両ブロック1、2位の4校出場に
9月12日 米国大使館主催アメリカン・スポーツ・フェア開幕(USトレードセンター)
翌年1月3日 第1回さくらボウル、関学大、東京ミセス・ユニコーンズを下す(東京ドーム)
翌年1月3日 第49回ライスボウル、京大、松下電工を下し4回目の優勝
翌年1月7日 第8回アイビーボウル、全アイビー-学生日本代表。最後の大会となる

1月17日に発生した阪神・淡路大震災の影響で、西日本地区のチームの活動は大きな影響を受けた。特に関西地区は部員の安否確認や被災状況の把握の後、自身の自宅や被災家族の対応などに追われた。動くことのできる部員は自らボランティア活動に参加し、大学体育館や各地域の避難所での被災者への支援など力仕事に従事した者も多かった。そして関係者の努力により、他の地区では春季から、また関西地区も秋季からほぼ例年通り試合を行った。

[1]主な出来事

●1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災(M7.3)は甲南大、神戸大、関学大など関西地区のチームに大きな被害をもたらした。フットボール専属のチアリーダーが亡くなったチームがあり、また神戸ポートアイランドにある甲南大のグラウンドは液状化現象で地下から噴き出した土で覆われて使用できなくなった。使用できる状態のグラウンドも、被災者のための避難施設や自衛隊の駐屯宿舎、支援車両の駐車場などで使用され、またグラウンドへの交通手段が長期間ストップして練習ができないチームもあった。被害がなかった選手は近隣の学校などに出向き、救援物資の積み下ろしや配布、がれきの撤去、屋根へのビニールシート張りなど体力と注意力が必要な作業に参加した。

大きな被害を受けた関西地区だったが、例年近畿学生リーグ所属チームを対象とした「西日本学生選手権」は、関西学生連盟が関係者の意見をまとめ、開催することとなり、力強い復興が始まった。「第42回西日本学生選手権大会」は前年より3校減ったが、27校ものチームが参加して開催された。

●関東大学リーグで前年ブロック最下位から3位に躍進した東大がこの年もブロックで4勝を挙げ、同率2位となった。ライスボウルを制して日本一となった京大はもとより、北大が北海道学生リーグで5年ぶりに優勝し、東北大が東北学生リーグで10年連続優勝、北陸は金沢大が2年連続優勝、中四国は広島大が2年ぶり優勝、九州は九大が3年ぶり優勝と、「国立大旋風」と呼ばれたシーズンだった。

●3月6日、東京・八重洲の富士屋ホテルで、山梨・清泉寮の小林宏治キープ協会会長、古川明日本アメリカンフットボール協会会長、福田赳夫日米協会会長らが発起人となり、「日本アメリカンフットボールの父 ポール・ラッシュを偲ぶ会」が開催された。三笠宮殿下ご夫妻が臨席され、多くの関係者が参加した。

席上、山梨・清里の清泉寮に建設が計画されている「ポール・ラッシュ記念センター」内に「日本アメリカンフットボールの殿堂」を設置することが発表された。日本協会では建設費用の一部として、全国の加盟組織から寄付金を募った。この寄付の協力者の氏名は殿堂開設後、殿堂内にパネルとして彫られ、現在でも展示されている。

●日本協会は夏に協会機関誌の『American Football Report 第1号』を発行した。創刊号は挨拶や公式規則変更内容、競技団体の動向・予定、普及団体の動向(各地区協会、県協会)、春季試合結果などでA4版16頁、一部カラー印刷で30,000部が発行された。この機関誌は当初年3回、その後年4回の発行となり、2001年の第26号まで続いた。

●日本協会加盟チームは中学5、高校120、大学236、社会人94の合計455チームで、秋季公式試合は982試合だった。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆公式規則

●4月1日、日本協会は6人制タッチフットボール公式規則書を初めて発行した。

【この年の日本の主な規則変更】
●ビジィティングチームが着用するジャージは白となった。
●守備側のプレーヤーがニュートラル・ゾーンに侵入した影響で、攻撃側のラインマンが動いた場合は、守備側のオフサイドとなった。
●試合の最後のプレーがタッチダウンの場合、負けているチームがグラウンドを去れば、トライを行わないことになった。
●フィールド内にいる間にヘルメットを取ってはならないこととなった。

 

[3]春季試合

◆春のボウルゲーム

●第41回西日本選手権

「第41回西日本社会人選手権決勝」は5月28日、西宮スタジアムで松下電工とサンスターが対戦。1Q、松下電工はFGとセーフティーで5点をリードするが、サンスターは2Q11分、RB山崎武文の11ヤードTDランで逆転。さらに3Q7分にはDT春日真吾が53ヤードのファンブルリターンTDで突き放し、守ってはLB地阪徳生や相手ファンブルのきっかけを作ったDE小室浩之の活躍で松下電工を抑え、20-11で勝利した。松下電工の公式戦連勝は13で止まった。

●第41回西宮ボウル

「第41回西宮ボウル」は東西98人の学生選抜選手によって6月24日、西宮スタジアムで30,000人の観客を集めて開催。関西が2TDランのRB佐藤大記(四年)、パス7回成功のQB中澤大輔(四年)、3FGとTFPのキックをすべて成功させたK阪本大輔(三年)の近大トリオの活躍でボールを支配し、関東を30-14で破り、史上初の関西3連覇で対戦成績を関西の16勝24敗1分とした。MVPは中澤が受賞した。

●第9回ヨコハマボウル

「第9回ヨコハマボウル」は6月4日、横浜スタジアムで開催された。

・第1試合の法大-京大は、京大が1QにFGで先制したが、法大は2Q7分までにQB高橋忠大(四年)の2つの75ヤードTDラン、RB稲垣好則(四年)の31ヤード、10ヤードの2つのTDランで27-3と大きくリードした。京大もDT伊藤重将(四年、主将)の36ヤードファンブルリターンTDなど3TD、1FGで同点としたが、4Q残り30秒で法大K升田伸一(二年)が29ヤードのFGを決め、法大が30-27で接戦を制した。
・第2試合の日大-立命大は、1Qに立命大がQB大橋正宜(三年)からSE下川真司(三年)への2つのTDパスで先行したが、日大はTE藤縄大樹(三年)への5ヤード、SE椎野修自(四年)への72ヤードのTDパスで追い掛け、3QにK山口優隆(四年)の42ヤードFGで逆転。さらに、FS小宮章敬(四年、主将)のインターセプトから得たチャンスにQB富澤優一(四年)から椎野への20ヤードTDパスで差を広げ、30-21で勝利した。

●第20回パールボウル

「第20回パールボウル」は6月15日、東京ドームで初出場の鹿島と6年ぶり出場のレナウンが対戦。2Q6分、鹿島がこの日2つ目のTDで17-0と先行するが、レナウンも3Q8分までに2TDを挙げて3点差に。その直後の9分、鹿島はRB児玉峰彦の7ヤードTDランで24-14と突き放すが、レナウンは4Q、DB小畑俊一のインターセプトからの攻撃をTDに結び付けて再び3点差に。さらにその後の攻撃で6分のドライブを続けるが、最後に同点を狙ったFGが外れ、鹿島が27-24で初優勝を飾った。

 

[4]秋季試合

◆秋季試合(学生)

■関東(学生)

●関東大学連盟には東京工科大が加盟し、合計100チームとなった。1部リーグの半分強は川崎球場で開催し、駒沢陸上競技場、駒沢第二球技場、横浜スタジアム、江戸川区陸上競技場も使用した。

●関東大学リーグは、関東大学選手権を従来のA、Bブロック1位校同士の対戦から、両ブロックの1、2位の4校が出場し、互いのブロックでたすき掛けの準決勝と決勝を行う方式とした。各ブロックのチーム数は7校で変更なし。この方式は2005年まで続いた。

Aブロックは激しい星のつぶし合いとなった。専大が開幕戦で明大に7-17で敗れたが、第2戦から勝ち続け、山場の日大戦にも49-21で圧勝し、5勝1敗で4年ぶりのブロック制覇を遂げた。パワーIからの強力なランアタックと、リーグ1の守備が力を発揮した。日大は専大に敗れたものの、筑波大に49-36で勝利。他の4試合にも勝ち、専大と同じ5勝1敗の2位で関東大学選手権の出場権を得た。専大を破った明大は日大と日体大に敗れて3位となった。

Bブロックは法大が下馬評通りの力を見せ、最終戦を待たずにブロック1位を決めた。第1戦の東経大に55-0で完封勝ちすると、早大、中大、東海大にも完勝し、第5戦の東大戦では東大が善戦したものの55-20で5連勝。ブロック1位が決定した。主力を温存した最終の慶大戦には13-28で敗れたが、4勝2敗で同率2位となった東大、慶大、東海大のうち得失点差で出場権を得た東海大とともに関東大学選手権に出場した。

入れ替え戦では前年2部に落ちた立大が防衛大を61-13で破り、1部復帰を決めた。

●第26回関東大学選手権

「関東大学選手権準決勝」は専大が東海大を14-0で東海大を破り、法大は開始早々日大にFGで先制を許したが、直後の攻撃の第1プレーでRB池場直久(二年)の80ヤードのTDランですぐに逆転。4Qに4TDを加えるなど、63-27で完勝して決勝に進んだ。

決勝は12月1日、東京ドームで開催。爆発的な攻撃力でここまで勝ち抜いてきた法大が、1QにQB高橋忠大(四年)が自ら走って2TDを挙げると、2Qには得意のオプション攻撃を軸に得点を重ねて前半で45-0と大きくリードした。法大は後半も得点を重ねて58-0で勝利し、2年連続の甲子園ボウル出場を決めた。前年の主力がほぼ残った法大が圧倒的に関東を制覇したシーズンだった。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグDiv.1は前年同様、西宮スタジアムを中心に長居球技場、宝ヶ池球技場などで開催した。

●立命大、京大、関学大の3強が激しく争った。新たにダブルスロット体型からオプションを核としたフレックスボーン攻撃を展開した京大が、全試合でわずか13失点と強力な守備に支えられ、優勝を飾った。

伝統の関京戦は、京大が主将DT伊藤重将(四年)の2回のQBサックなどで関学大の攻撃を完全に抑え、18-0と関学大戦で初めてとなる2年連続完封勝ちを収めた。

京大はともに全勝で迎えた立命大との最終戦で、意表を突く第3ダウンでのクイックパントを2度も見せて相手を自陣奥深くにくぎ付けするなど、準備した作戦が功を奏した。京大は2Q、QB杉本篤(三年)がTDを挙げて先制。3Qに立命大にFGを決められたものの、DT伊藤重将(四年、主将)、DT鈴木道夫(四年)、DE久原祥(四年)、LB阿部拓朗(四年)の鉄壁ラインがTDを許さず、7-3で勝利した。リーグ戦で京大守備陣が許した失点は2FGの6点のみ(あとはパントリターンでの失点)。QBサック数もDT伊藤重将がリーグトップの7回でDL鈴木道夫(四年)が2位の6回、LB根来拓也(三年)が4位の4回を記録した。関学大は2年連続で3位となった。

 

■各地区(学生)

【北海道】 1部6チームで開催。最終日の10月10日、優勝決定戦となる札幌学院大と北大の対戦は北大が43-13で快勝。リーグ最多タイとなる5年ぶり8回目の優勝を飾った。
【東北】 1部5チームで開催。全勝対決の東北大と仙台大は東北大が35-6で勝利し、10連覇で通算13回目の優勝とした。
【東海】 1部6チームで開催。中京大、名城大、名古屋大の争いと見られていたが、名古屋大が脱落し、中京大と名城大の争いに。両者の対決は中京大が勝利し、2年連続11度目の優勝となった。
【北陸】 5チームで1部を編成。金沢大が順調に勝利を挙げ、2年連続優勝を遂げた。関西学生リーグに所属する北陸リーグは、優勝した金沢大が近畿ブロックのBブロック勝者の大産大と対戦したが敗戦した。
【中四国】 1部5チームで開催。前半で愛媛大、山口大、広島大が並んだが、愛媛大が松山大に敗れ、山口大との直接対決を制した広島大が平和台ボウル出場を決めた。
【九州】 1部6チームで開催。10月21日、西南学院大と九大の全勝対決は九大が10-7で勝利した。

 

●「東日本学生王座決定戦・第10回パインボウル」は11月3日、札幌市の厚別公園競技場で10年連続出場の東北大と、6回目出場の北大が対戦。東北大が4Q、LB松永光暘(四年)がインターセプトして得た攻撃からQB吉岡大雅(四年)がWR杉浦伸(四年)に60ヤードのTDパスを決め、これが決勝点となり、東北大が34-27で勝利した。東北大は2年連続8回目の優勝。

●「西日本学生王座決定戦・第11回平和台ボウル」は11月5日、博多の森球技場で3年ぶり4回目出場の九大と、2年ぶり5回目の出場の広島大が対戦。前半はともに得点なく、3Qに九大がTB山本直史(四年)の3ヤードTDランで先制し、4Qにも山本が7ヤードのTDランを挙げて13-0で勝利した。

●「第10回地区王座決定戦」は12月1日、東京ドームで東北大と九大が対戦。1Q2分、東北大はQB吉岡大雅(四年)からRB地崎剛史(二年)への31ヤードTDパスで先制。九大も9分に山本直史(四年)の5ヤードTDランで追い掛けるが、東北大はその直後にWR西野正恭(三年)の92ヤードのキックオフリターンTDで突き放し、その後もTDを重ねて35-7で2年連続7回目の優勝を遂げた。

 

◆秋季試合(社会人)

●東日本2ブロックと西日本ブロックとして活動してきたが、翌年からディビジョン制に移行するため最後の年となった。

●東日本は東京ドームを平日6日間使用し、ほかに川崎球場、小瀬陸上競技場、福岡ドームなどを使用した。西日本は西宮スタジアムと長居球技場を使用した。

 

■秋季試合 関東(社会人)

●東日本はAブロックで優勢と見られていた鹿島が、新進気鋭の東京海上に7-12で敗れ、最終戦で全勝のリクルートと対戦。接戦となったが、鹿島がファンブルや反則などでミスが多く、リクルートが31-29で勝利し、チーム創設7年目で悲願のブロック1位となった。

Bブロックは3戦目でアサヒビールが前年の関東覇者オンワードと対戦し、41-13で圧勝。最終戦の東海銀行戦ではエースQB金岡禧友を温存し、RB野村貴をQBに起用。野村は自身のランに加えてパスも17回投10成功、134ヤードと大活躍で59-45と勝利し、ブロック1位となった。

●女子フットボールチームの公式戦、「第5回クイーンボウル」は12月2日、川崎球場で行われた。関西興銀は強力なラインを武器に主将QB西原明恵が巧みにRB星元喜現、豊山優子、岩村貞美を使うオプションプレーを展開。2Q、俊足の岩村の43ヤードロングランから、最後は豊山が1ヤードを飛び込んでTD。これが決勝点となって関西興銀が第一生命を6-0で破り、対戦成績を3勝2敗とした。

 

■秋季試合 関西(社会人)

●西日本1部は5戦目でサンスターが2敗していたため、松下電工とマイカルの対戦がリーグ優勝決定戦となった。松下電工が最初の攻撃シリーズで挙げた1FGを守り切り、3-0と薄氷の勝利で2年連続7回目の西日本制覇。惜敗したマイカルは1部昇格後、松下電工戦は春秋通して5戦全敗となった。

 

■プレーオフ(社会人)

●東日本社会人ファイナルイーストは、アサヒビールとリクルートが対戦。アサヒビールの第1プレーでリクルートCB水野聡がインターセプトから25ヤード走って先制のTD。その後は逆転に次ぐ逆転の展開となり、最後はリクルートがRB中野康隆の15ヤードTDランで33-27とし勝利した。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第50回甲子園ボウル

●甲子園ボウルは50回目の記念大会となり、12月17日に甲子園球場に31,000人の観客を集め、3年ぶり7回目出場の京大(水野彌一監督、選手115人)と2年連続4回目出場の法大(金井明彦監督、選手97人)が対戦。終始リードを奪った京大が法大を24-17で破り、3年ぶり5回目の大学王座に輝いた。

京大は1Q5分、C石飛節(三年)、LT佐々木貴史(一年)ら攻撃ラインの健闘で、最後はRB堀口聡(一年)が7ヤードTDランで先制。法大は2Q開始早々、TB池場直久(二年)の11ヤードTDでランで同点とした。京大は、関西学生リーグで相手チームに与えたTDはパントリターンからの1つのみで、DT伊藤重将(四年、主将)を中心にまとまる守備陣が相手攻撃に与えたTDは0。この池場のTDがシーズン初めて相手攻撃陣に許したTDだった。

しかし、京大は相手のミスを見逃さず、2Qの法大の2つのファンブルをLB根来拓也(三年)とDE久原祥(四年)がそれぞれリカバー。QB杉本篤(三年)からHB馬場倫行(二年)への24ヤードTDパス、RB田原雅晴(三年)への5ヤードTDパスにつながり、前半でリードを広げた。

後半、法大は3QにTB池場直久が27ヤードTDランを挙げたが、及ばなかった。ミルズ杯は京大のDT伊藤が受賞した。

 

◆第9回日本社会人選手権・東京スーパーボウル

●「第9回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月9日、東京ドームで28,000人の観客を集め、松下電工とリクルートが対戦した。

松下電工は開始早々のドライブで、RB粳田盛のランにQB藤原章智のパスを効果的に織り交ぜて前進し、最後は藤原からWR太田渉への34ヤードTDパスで先制。その後もRB須黒浩のTDランとTDパスで、1Qだけで20-0と大きくリード。リクルートも反撃するが、松下電工はDT白岩弘司を中心とする堅い守りで54-20で勝利し、2年連続優勝を遂げた。MVPは守備陣の中核として活躍した白岩が受賞。翌年からのリーグ再編で、東日本代表と西日本代表が対戦する東京スーパーボウルは、この回が最後となった。

 

◆第49回ライスボウル

●「第49回ライスボウル」は翌1996年1月3日、東京ドームに51,000人の観客を集め、京大と松下電工が対戦。京大は学生代表最多の6回目の出場で、関西勢同士の対戦は前年に続いて2回目だった。

京大は1Q13分、RB中西光(四年)の51ヤードTDランで先制すると、2Qには松下電工のファンブルをLB根来拓也(三年)が40ヤードのリターンTDとするなど前半を21-14とリード。さらに後半に2TDを追加し、35-21で勝利した。京大は伊藤重将(四年、主将)の3回をはじめQBサック7回、松下電工の6回のファンブルを4回リカバーと守備陣が活躍した。

京大は社会人のライスボウル5連勝を阻むとともに、8年ぶりの4勝目で日大に並んだ。MVPのポール・ラッシュ杯は京大の阿部拓朗(四年)がLBとして初めて受賞した。

 

[6]高校フットボールの活動

●高校の部員数の減少が目立ってきたが、特にこの年は多く、春季東京都大会では8校が部員不足で棄権した。特に都立高校の棄権が多かった。関西地区は関東に比べて影響は少なかったが、出場校でも部員数の減少が見られた。

 

◆春季大会(高校)

●関東地区で春の公式試合からゲームドクター制度を採用した。

「第21回春季関東高校選手権大会」は6月25日、川崎球場で三島高-中大付高が対戦し、前半は息詰まる接戦となった。しかし3Q、中大付高がRB高橋智行(三年、主将)の42ヤードTDランを皮切りにQB小川真弘(三年)のキープやWR須藤聡(二年)へのパスなどでリードを広げ、47-21で2年連続の春の王者となった。

「第25回春季関西高校選手権大会」は6月1日、西宮球技場で激しい雨の中で関学高と県立虎姫高が対戦。守備戦となったが、関学高は2QにRB井岡淳(三年)が挙げた2ヤードTDランを守り切り、7-0で勝利した。県立虎姫高は果敢に攻めたが、関学高のDE榎原俊樹(三年)、芳村公寛(三年)ら守備陣を破ることはできなかった。

 

◆秋季大会(高校)

■関東地区(高校)

●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月12日、駒沢第二球技場で法政二高と中大付高が21年ぶりに対戦。法政二高は1Q、インターセプトからの攻撃を先制の3ヤードTDランに結び付けると、さらにFGも決めて10-0とリード。その後は守備戦となり、互いに1FGずつを挙げ、法政二高が13-3で勝利した。

 

■関西地区(高校)

●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月23日、西宮球技場で関学高と1963年の創部以来、関西地区決勝初出場の府立箕面高が対戦した。府立箕面高が最初のキックオフのリターンでリバースプレーからロングゲインし、その後の17ヤードパスで先制TD。府立箕面高が1点リードで4Qに入ったが、残り2分で関学高がTDを挙げ、関学高が14-7で勝利した。

 

◆第26回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

●「第26回クリスマスボウル」は12月24日、東京ドームで関学高と法政二高が21年ぶりに対戦した。3Q終了時に法政二高が19-14でリード。4Q4分、関学高はQB広瀬大三(三年)が7ヤードのTDランを決めて逆転。DT榎原俊樹(三年)や二年生を主体とする守備陣がピンチを守り切り、22-19で勝利した。

 

[7]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(国内開催)

●11月11日、米軍横須賀基地で神奈川高校選抜が横須賀、座間、横田のハイスクール選抜と対戦。神奈川高校選抜が先制したが、その後、米軍高校選抜の猛攻に遭い、6-57で敗戦した。

●「第8回アイビーボウル」は翌1996年1月7日、前年に続いて西宮スタジアムで開催。日本チームは年末と年始の2回、計12日間の合宿を行い、この試合に備えた。合宿では善戦ではなく、勝利を目指したメニューをこなした。対するアイビーチームは、NFLを目指す選手も多くなり、また体格的にも例年以上に大きなチームで、日本チームの研究も十分行って来日した。試合前日は西宮スタジアムで両チームの合同練習が行われた。

前年同様1Q開始早々、アイビーチームがランで先制のTD。その後も2つのTDを加えたが、日本は前半終了間際にTDを挙げ、アイビーチームが21-6とリードして折り返した。後半は両チームほぼ互角の展開となり、アイビーチームが35-16で勝利。8回の大会を全勝で終えた。

この第8回大会で、1989年から8年間、9試合を行ったアイビーボウルは幕を閉じた。開催当初は大きな実力差があったが、この間、日本学生チームの戦力も向上し、実力差も縮まったような試合を展開するようになった。また、64年に日大と関学大を主体とする全日本学生のハワイ遠征以来20数年ぶりの関東・関西を含めた全日本学生チームを編成し、練習と試合を通して多くのコーチやプレーヤーが交流することができたのは大きな収穫であり、アイビーボウルの果たした功績は大きかった。

なお、この最後のアイビーボウルから27年後の2013年、アイビーリーグのオールスターと、日本でプレーする社会人と学生の選抜チームによる「Dream Bowl」が開催された。日本のチーム編成はこの時代のアイビーボウルとは異なるが、日本とアイビーリーグの対戦が復活した。

 

◆日本チームの活動(海外開催)

●ほぼ隔年で開催されている「パシフィック・リムボウル」。第4回のこの年は阪神・淡路大震災を乗り越えた関西高校生チームが訪米し、アシュランド高スタジアムで同高と対戦した。4Q1分、アシュランド高が7ヤードTDを挙げて21-9と大きくリード。しかし、関西高校選抜はそこから猛反撃。8分に長尾将亨(関西大倉高三年)の3ヤードランのTD、続いて10分に古庄直樹(関西大倉高三年)の10ヤードTDランで逆転し、24-21で勝利した。広瀬慶次郎ヘッドコーチ率いる関西高校選抜は8年目で初勝利。

●7月1日、前年創部30周年を迎えた明治学院大が、韓国・ソウルの木洞スタジアムで韓国7大学選抜チームのソウル・ロイヤルズと対戦し、54-0で勝利した。

●翌1996年1月13日、米スタンフォード大スタジアムで開催された「第71回イースト・ウエスト・シュライン・クラシック」に、日本からLB阿部拓朗(京大四年)が招待されて出場。米オールスター戦への日本人初出場となった。守備チームのキャプテンに選ばれ、試合の約半分の機会に出場し、活躍した。

 

◆外国チーム間の試合(日本国内開催)

●「第7回アメリカンボウル」は8月6日、東京ドームでデンバー・ブロンコスと2度目の出場となるサンフランシスコ・フォーティナイナーズが対戦。ブロンコスが24-10で勝利した。この年もNFLによる日本のチーム関係者へのクリニックが開催された。