競技開始60年を記念して建設が進められてきた「日本アメリカンフットボールの殿堂」が完成し、公開された。同時に、名誉の殿堂入りとして「日本アメリカンフットボールの父 ポール・ラッシュ博士」が顕彰され、殿堂入りした。また、地域のスポーツとしての競技活動の継続を目的に、その地域に貢献する活動を目指すチームが増えてきた。前年に活動を開始したワールドリーグに初めて日本から伊藤重将、池之上貴裕、阿部拓朗の3選手が参加した。個人として海外チームへの参加は、以降10数年続き、その第1期生だった。
1996.01.01
お知らせ
「日本アメリカンフットボールの殿堂」がオープン。リクルート、初の日本一
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 2月14日 | 羽生善治氏、史上初の将棋タイトル七冠独占を達成 |
6月 | 長居陸上競技場開場(大阪市) | |
9月10日 | 国連総会で包括的核実験禁止条約(CTBT)採択 | |
12月17日 | 在ペルー日本大使公邸占拠事件 | |
フットボール | 3月17日 | 府立豊中高-府立池田高、創部50周年記念試合(西宮球技場) |
3月28日 | ポール・ラッシュ記念センター(現ポール・ラッシュ記念館)、「日本アメリカンフットボールの殿堂」竣工式。ポール・ラッシュ博士、名誉の殿堂入り | |
4月16日 | 社会人協会、日本リーグ「Xリーグ」発足発表。3ディビジョン制に移行 | |
7月26日 | タッチフット50年記念試合、池田・豊中高-レイクワシントン高(長居球技場) | |
9月 | 日本学生協会・毎日新聞社『毎日甲子園ボウル50年史』発行 | |
12月1日 | 第11回地区対抗学生王座決定戦、北大-福岡大。最後の大会となる(川崎球場) | |
12月11日 | 第10回日本社会人選手権、リクルート、オンワードを下し初優勝 | |
関西中学校アメリカンフットボール連盟設立 | ||
翌年1月3日 | 第50回ライスボウル、リクルート、京大を下し初優勝 |
競技開始60年を記念して建設が進められてきた「日本アメリカンフットボールの殿堂」が完成し、公開された。同時に、名誉の殿堂入りとして「日本アメリカンフットボールの父 ポール・ラッシュ博士」が顕彰され、殿堂入りした。また、地域のスポーツとしての競技活動の継続を目的に、その地域に貢献する活動を目指すチームが増えてきた。前年に活動を開始したワールドリーグに初めて日本から伊藤重将、池之上貴裕、阿部拓朗の3選手が参加した。個人として海外チームへの参加は、以降10数年続き、その第1期生だった。
[1]主な出来事
●日本協会の各加盟組織が寄付などして設立に協力した「ポール・ラッシュ記念センター(現ポール・ラッシュ記念館)、日本アメリカンフットボールの殿堂」が、ポール・ラッシュ博士ゆかりの地、山梨県清里の清泉寮内に開設された。3月28日に竣工式を開催し、4月1日から一般公開された。
記念センター総面積671平米のうち97平米が「日本アメリカンフットボールの殿堂」となり、ポール・ラッシュ博士の顕彰盾や60年余の活動における貴重な資料、防具、ユニフォームが展示された。同時に、わが国のアメリカンフットボール競技活動開始やその後の運営などに多大な功績を残した「日本アメリカンフットボールの父」ポール・ラッシュ博士が「名誉の殿堂入り」として顕彰された。
●この頃、主として大学チームで地域に貢献する普及活動が始まった。当初、高校生選手を集めてのフットボール技術の普及や練習の公開、個別指導から始まり、2000年代になると地域の子供達を対象にしたフラッグフットボールの普及などを行った。この地域活動はその後も継続して行われた。
それと併せて社会のネットワーク、IT環境の整備とともに協会の各組織もその対応や取り組みを始めた。日本協会、各地区協会、関東学生、関西学生、社会人協会などが公式サイトを開設し、試合の開催案内や結果などを手始めに情報発信を行った。
●日本高校フットボールの草分けの府立池田高と府立豊中高にタッチフットボールが誕生して50年。当時は両校とも旧制中学で、最初の試合は1946年12月28日に西宮球技場で開催された。それから50年を記念して、3月17日に「50年記念試合」が同じ西宮球技場で行われた。当時の選手をはじめとして多くの関係者が観戦に集まり、伝統校らしい好ゲームで府立豊中高が7-0で勝利した。
また、この記念式典に続く行事として、7月26日に長居球技場で池田・豊中高-レイクワシントン高の試合が開催された。レイクワシントン高は1946年、防具を持って両校を訪問し、わが国の高校でフットボール競技が始まるきっかけとなった米軍政官ピーター・オカダ氏の地元の高校。試合はレイクワシントン高が21-7で勝利した。
●社会人はこの年、「Xリーグ」となった。関東地区にイースト、セントラルの2ディビジョン、関西地区にウエストの1ディビジョンとし、各ディビジョン6チームでリーグ戦を開催した。各ディビジョン上位2チームの計6チームがFINAL6のトーナメントに進み、決勝を「日本社会人選手権・東京スーパーボウル」とした。また3ディビジョンに続くリーグとして2部などを設け、シーズンの結果による入れ替え戦を行うこととした。
●日本協会加盟チーム数は454チーム。内訳は社会人91、大学238、高校118、中学タッチ5、女子準加盟2で、競技人口は16,682人、前年比10.8%減となった。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●大阪の長居陸上競技場が旧競技場を大幅に改装して完成し、6月2日にオープンした。50,000席の大部分を屋根が覆い、天然芝、フィールドクロック、ナイター設備も完備。フットボールの初使用は10月27日の関西学生リーグ戦、関学大-立命大だった。
●12月1日、東京湾の埋め立て地、大井ふ頭中央海浜公園に大井第二球技場が完成した。砂入り人工芝で椅子席536、芝生席約1,500人の収容で、フットボール競技の表示が可能な電光掲示板も設置された。フットボールでは翌1997年に使用を開始した。
◆公式規則
●北海道学生リーグは1部リーグの試合を1Q15分で開催した。
【この年の日本の主な規則変更】
●ジャージはパンツの最上部まで長さが必要となった。
●ランナーのヘルメットが脱げた場合は、安全性の観点から、直ちにボールデッドとなった。
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第42回西日本選手権
「第42回西日本社会人選手権」は5月25日、前年と同じサンスターと松下電工の対戦。開始早々、松下電工はQB渋谷正からミドルパスを受けた新人WR古本実照の71ヤードのロングゲインをきっかけに、4プレーでTDを挙げて先制。
サンスターは3Q、CB永井達也がアウトパターンのパスを絶好のタイミングでインターセプトし、そのままエンドゾーンまで駆け抜けTD。永井は自らその後のTFPのキックを決め、7-7の同点とした。4Q9分、松下電工はRB澤卓志の2ヤードランでTDして勝ち越すが、サンスターは残り23秒で永井が37ヤードFGを決め、15-13で劇的な逆転勝利を飾った。サンスターはこの5年間の松下電工戦を4勝2敗と勝ち越した。
●第42回西宮ボウル
「第42回西宮ボウル」は6月29日、西宮スタジアムで25,000人の観客を集めて開催。息詰まる守備戦の末、関西が関東を破り、4連勝で対戦成績を17勝24敗1分とした。
関東はQB岩崎武士(明大三年)からWR志田竜也(日大三年)へのTDパスで先制。関西もすぐにRB波武名生則(関大三年)の19ヤードTDランで同点とした。そのまま3Qに入り、関西はQB東野稔(立命大四年)からWR下川真司(立命大四年)への55ヤードTDパスでリードし、17-7の接戦を制した。関東のFS鷹野淳一(法大四年)はこの試合3回のインターセプトの活躍。MVPには少ないチャンスを得点に結びつけた関西の東野が受賞した。
●第10回ヨコハマボウル
春の東西対決の風物詩となった「ヨコハマボウル」が第10回大会を迎え、例年通り横浜スタジアムで開催された。
・第1試合の法大-立命大は、法大がDT和田岳(四年)を中心とした守備陣が、立命大QB東野稔(四年)の動きを抑えて27-10で快勝した。
・第2試合の専大-京大は、専大が終了1秒前にQB笹野直紀(四年)の劇的なスクランブルTDで23-20と勝利した。
●第21回パールボウル
「第21回パールボウル」は梅雨の谷間に晴れ上がった6月23日、初めて横浜スタジアムで開催。決勝に初進出の松下電工は最初の攻撃シリーズでQB渋谷正が自陣29ヤードからショートパスとドロープレーを軸に前進し、9プレー目でK村井利充の38ヤードFGで先制。以降、主将DE脇坂康生が率いる看板の強力守備陣が爆発的な得点力を誇るオンワードに襲い掛かり、5インターセプトを奪取し、4回のQBサックを決めたLB鈴江貴之をはじめ計8QBサック。松下電工が18-13で初優勝した。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学連盟は3年間の準備期間を経て、リーグの再編を行った。1部、2部で30校。そして前年度の3部、4部相当の52校を前年度成績でエリアリーグ1部、2部に分け、さらに地域性を考慮して1都8県を放射状に4つのブロックに分けた編成にした。1部リーグは川崎球場と駒沢第二球技場を主会場として開催。
Aブロックは前年覇者の専大が堅守で着実に白星を重ね、第5戦まで失点わずか10。日大は毎試合相手にTDを奪われながらもショットガンで快進撃を続け、最終戦の専大戦では相手のオプションを止めて勝利し、ブロック1位となった。専大は2位。
Bブロックは核となるQBが定まらずやや苦戦した法大が、第2戦で筑波大に先行を許したものの、その後3TDを挙げて完勝。第5戦の東大との全勝対決は接戦となり、10-3のリードで迎えた4Q終盤、東大のTD狙いのパスを法大がインターセプトし、ピンチを逃れて勝利。法大がその後も東海大を破って1位となり、法大に善戦した東大が2位。東大は悲願のプレーオフ初進出となった。
ルーツ校3校のうちの2校、早大と立大がともに2部との入れ替え戦に回り、立大は城西大を33-0で下したが、早大は上智大に28-35で敗れ、2部に降格した。
●第27回関東大学選手権
「第27回関東大学選手権」準決勝は川崎球場に14,000人の観客を集めて行われた。第1試合の東大-日大は、ともに最初のシリーズでTDを挙げ、観客を沸かせた。その後、東大が一時リードしたが、結局は日大が35-13で勝利。第2試合の法大-専大は法大が28-7で勝ち、決勝に進んだ。
決勝の日大-法大は12月1日、川崎球場で開催。開始早々、法大は井出元(一年)の93ヤードのキックオフリターンTDで先制、さらに2Q10分、TB池場直久(三年)の18ヤードTDランでリードを広げる。その後、ともに1TDを挙げ、前半を法大が19-7とリードして折り返した。法大は3Q、池場が66ヤード独走のTDを挙げ引き離すと、日大が猛追を振り切って26-21で勝利した。
■関西(学生)
●関西学生リーグDiv.1は西宮スタジアムを主会場に宝ヶ池球技場、長居陸上競技場、長居球技場で開催した。京大、立命大、関学大の3強による争いと見られていた通り、史上まれに見る大接戦となった。
関学大は第1戦で関大に9-3で辛勝。第3戦の甲南大にも前半リードを許すなど、なかなかリズムに乗れなかった。立命大は第1戦の同大戦では21-14と苦戦したものの、第2戦以降は快進撃を続けた。
京大は第3戦の関大に86-21で大勝するなど、危なげなく勝利を重ねた。3強対決の最初は立命大-関学大。後半、立命大がパスで2TDを挙げて関学大に勝利し、一歩リード。続く関学大-京大は関学大がパスを主体に攻め、先行逃げ切りで勝利した。リーグ戦最終日の京大-立命大は、前半から京大がパワー全開で48-27で勝利。ついにこの3者が6勝1敗でリーグ戦優勝となり、史上初の3校プレーオフへ突入した。
3校プレーオフはトーナメントで、1回戦は立命大と関学大が対戦。関学大がFGで先制し、立命大は後半にFGで同点にした後、大黒柱のQBの東野稔(四年)が負傷で交代。代わったQB大橋正宣(四年)が2つのTDパスを決め、17-3で勝利した。関学大は再試合扱いとなった1948年を除き、甲子園ボウル出場を決めるプレーオフ6戦目で初めての敗北となった。決勝の京大-立命大は前半に京大がQB杉本篤(四年)の2TDで17-0と大きくリード。立命大も反撃するが、京大の強力な守備陣を破れず、京大が24-6で2年連続の甲子園ボウル出場を決めた。
■各地区(学生)
【北海道】 1部、2部が各6チーム、3部5チームで開催。1部は北大が最終戦を待たずに2年連続9回目のリーグ優勝を決めた。2位は北海学園大で、以下北海道工業大、東農大、小樽商大、札幌学院大となった。
【東北】 1部6チーム、2部2チーム(互いの対戦を4試合)で開催。1部は最終日に東北大と仙台大が全勝対決し、仙台大が45-0で圧勝して優勝した。
【東海】 1部6チーム、2部は1ブロック6チームの2ブロックで開催。1部は最終戦で中京大がライバル名城大を破り、3年連続12度目の優勝を飾った。
【北陸】 1部5チーム、2部4チームで開催。1部は3戦全勝の金沢大と2勝1分の富山大が対戦。富山大がセーフティーで先行したが、金沢大が逆転して23-2で勝利し3連覇を遂げた。
【中四国】 1部5チーム、2部4チームで開催。1部は広島大と山口大の3年ぶりの全勝対決となり、山口大がオプション対決を21-10で制し、平和台ボウル出場を決めた。
【九州】 1部、2部各6チーム、3部は1ブロック3チームの2ブロックで開催。1部は福岡大が優勝候補に挙げられていた九大に35-21で勝ち、最終戦を待たずに3年ぶりの平和台ボウル出場を決めた。
●「東日本学生王座決定戦第・11回パインボウル」は11月10日、宮城陸上競技場で仙台大と北大が対戦。北大は1Q、パスで敵陣まで攻め込み、最後はTB山口亮(三年)の左オープンで先制。さらにQB松田孝(三年)からTE藤森信一(三年)への67ヤードロングパスで追加のTDを挙げるなどし、45-10で勝利した。仙台大は東北のリーグ戦で平均53得点を誇ったが、この日はエースランナーの徳重優(四年)が1Qで負傷交代するなどけが人が多く発生し、持てる力を十分に発揮することができなかった。
●「西日本学生王座決定戦・第12回平和台ボウル」は11月4日、平和台陸上競技場で開催。1Q、福岡大はFB山西得公(四年)の3ヤードTDランで先制。その後逆転を許したが、DB上原賢治(三年)がインターセプトから30ヤードを走ってTDして再逆転。42-25で10年ぶり2回目の優勝を果たした。
●「第11回地区対抗学生王座決定戦」は12月1日、川崎球場で行われ、北大が10年ぶり出場の福岡大を51-14で破り、2度目の優勝を果たした。北大はOL緒方邦康(四年、主将)、QB松田孝(三年)、TB山口亮(三年)、FB小森英之(三年)の活躍で9年ぶりの栄冠を手にした。試合前日にフェリーで東京に着き、川崎球場の近くで野宿した弊衣破帽の北大応援団が奏でる寮歌『都ぞ弥生』の歓喜の歌声が球場に響いた。
11年続いた「地区対抗学生王座決定戦」は翌1997年から各地区が参加する東・西の大学王座決定戦が開催されることから、この年が最後となった。
◆秋季試合(社会人)
●社会人はリーグ再編を行い、1部3ディビジョン(東日本はイーストとセントラル、西日本はウエスト)からなるXリーグを発足させた。各ディビジョン上位から6チームがトーナメントを行い、その決勝を「東京スーパーボウル」とした。
●Xリーグイーストとセントラルは東京ドームを平日に7日間使用し、ほかに川崎球場、駒沢陸上競技場、小瀬陸上競技場などを使用した。Xリーグウエストは西宮スタジアムと長居球技場を使用した。
■秋季試合 関東(社会人)
●イーストはリクルート、オンワード、鹿島が4勝1敗で並んだが、得失点差でリクルートとオンワードがFINAL6へ出場することになった。
セントラルは最終戦を残してアサヒビールがFINAL6に出場することが決定。アサヒビールが6チームによるトーナメントのシード(準決勝から出場)となった。
■秋季試合 関西(社会人)
●ウエストは松下電工が全勝で1位となり、2位はマイカルとなった。FINAL6のトーナメントのシードは松下電工となった。
●女子フットボールの「第6回クイーンボウル」は長居球技場で第一生命と大阪興銀が対戦。互いに譲らず、14-14で引き分けた。対戦成績は大阪興銀の3勝2敗1分。
■プレーオフ(社会人)
●FINAL6は1回戦でオンワードがマイカルに28-21で逆転勝ちし、リクルートが三和銀行に27-0で快勝。準決勝のオンワード-アサヒビールは終了間際の逆転でオンワードが31-27と勝利。もう1試合はリクルートが松下電工を22-13で破り、前年の雪辱を果たした。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第51回甲子園ボウル
●「第51回甲子園ボウル」は12月15日、甲子園球場に30,000人の観客を集め、前年に続いて京大と法大が対戦した。前年と同様、最後まで勝敗が分からない接戦となった。
1Qは京大LB根来拓也(四年)、DE佐々木貴史(二年)、法大LB幡野大(四年、主将)の両チーム守備陣の健闘で互いに無得点。2Qに入ると法大は4分、水沢俊昭(四年)の4ヤードラン、9分にQB岡本勝之(三年)からSE水口貴雄(三年)への56ヤードパスの2TDで先行した。
京大は前半終了間際、RG前川崇(四年)らが相手を押し、HB堀口聡(二年)が4ヤードのTDラン。3QにはQB杉本篤(四年、主将)がパス、ランをほどよく織り交ぜ、堀口が9ヤードと5ヤードの2つのTDランを挙げて21-14と逆転した。さらにTE橋詰泰裕(四年)が8ヤードのTDパスキャッチで3Qだけで3TD、21点を挙げた。
4Q、法大はUB藤戸太郎(四年)の4ヤードTDランで7点差に迫り、その後の攻撃でさらに京大陣に攻め入った。しかし、京大は自陣ゴールライン際の守備で、法大の鋭い攻撃を4回連続で止めてTDを許さず、28-21で2年連続6回目の優勝を遂げた。これで関西代表は初の6連勝で、対戦成績を24勝24敗3分のタイとした。法大は3年連続で7点差以内での敗戦。ミルズ杯は京大主将QB杉本篤(四年)が受賞した。
◆第10回日本社会人選手権・東京スーパーボウル
●「第10回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月11日、東京ドームに33,000人の観客を集め、リクルートとオンワードのイースト同士の対戦となった。1Q、リクルートはS鈴木仁のインターセプトでチャンスをつかみ、K岩田光晴の20ヤードFGで先制。オンワードもFGで追い付くが、リクルートはランとパスで2TDを挙げて前半を17-3で折り返す。3Q、オンワードはTDランで追いすがるが、リクルートは4QにSB安部奈知の19ヤードTDランで突き放し、30-10で勝利してXリーグ初代王者となった。MVPはリクルートのラン55回のうち31回ボールを持ったRB中野康隆が受賞した。
◆第50回ライスボウル
●「第50回ライスボウル」は翌1997年1月3日、東京ドームに52,000人の観客を集めてリクルート(並河研監督)と京大(水野彌一監督)が対戦した。初出場のリクルートは、前半にQB松本義幸からの2つのパスで先行し、19-10で折り返した。
史上最多となる5回目の優勝を狙う京大は4Q8分、自陣3ヤードから着々と前進し、残り5分で31ヤードのFGを試みたが、惜しくも50センチ外れ、反撃のチャンスを逃した。また、京大は残り5秒でTDを挙げたが、あと一歩及ばず、リクルートが19-16で勝利した。
リクルートは創部14年目。並河研監督、デービッド・スタント・ヘッドコーチの指導が実った。MVPのポール・ラッシュ杯は32回のランで159ヤードを獲得したリクルートのRB中野康隆が受賞した。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「第22回春季関東高校選手権大会」は6月30日、川崎球場で花咲徳栄高(埼玉)と三島高(静岡)が対戦し、好試合を展開した。前半を0-0で折り返し、3Qに三島高がエースRB片岡利夫(三年)の11ヤードTDランで先制。さらにQB君川太一(三年)からWR吉田俊介(三年)へのロングパスで差を広げた。その後両チーム得点を重ね、花咲徳栄高が6点差まで迫ったが、三島高が27-21で3年ぶり2度目の王者となった。
「第26回春季関西高校選手権大会」は6月23日、西宮球技場で関学高(兵庫)と関西大倉高(大阪)が対戦。6-6と同点で迎えた試合終了3分前に、関学高のDB小林正和(三年)がインターセプト。続く攻撃でRB三井進矢(二年)のスイープで相手ゴールラインに迫り、最後はQB坂本勉(三年)からWR川上豪(三年)へのTDパスで13-6の勝利と、劇的な幕切れとなった。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月10日、駒沢第二球技場で日大三高と中大付高の間で行われ、都大会2位の日大三高が同優勝の中大付高を44-6の大差で破った。日大三高は2Q4分、ロングパスをキャッチした選手が相手エンドゾーン前でファンブルしたが、それをエンドゾーンで味方が抑えて先制。4Qには4TDを挙げ勝利した。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月23日、西宮球技場で関西大倉高と関学高の間で行われ、大接戦を展開した。前半は両チーム無得点。関学高は4Q4分、パスでこの日2つめとなるTDを決めたが、TFPのキックを失敗。関西大倉高は残り7分からの攻撃で着実に前進し、残り6秒で相手ゴール前1ヤードからパスを決めてTD。その後のTFPのキックも成功し、14-13と劇的な逆転勝利を収めた。
◆第27回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第27回クリスマスボウル」は12月23日、晴天の長居球技場で日大三高と関西大倉高が対戦。1Q7分、関西大倉高が2ヤードのTDランで先制。2Qに関西大倉高が1TD、日大三高が2TDを挙げるが、関西大倉高はTFPのキックを2つとも外し、日大三高が14-12でリード。後半、日大三高はこの日199ヤードを走ったRB迫田崇(三年)を中心に着実に試合をコントロールし、27-12で勝利した。日大三高は1973年の創部から24年目で念願の初優勝を果たした。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●「関西中学校連盟」が11校の参加で設立された。
●10月6日、山梨・小瀬スポーツ公園陸上競技場で開催された「第9回ラッシュボウル」(Xリーグの日本電気-すかいらーく)の試合前に、7月に山梨県協会の下でスタートした「山梨県キディリーグ」(小学1~5年生主体の21人)の公開練習が行われ、観客の声援を受けた。
◆タッチフットボール
●「第50回ライスボウル」の日、同会場の東京ドームで「第2回さくらボウル」が開催され、社会人優勝の「ミセス・ユニコーンズ」が学生優勝の「聖和大カプリシャス・エンジェルス」を25-20で破り、初の日本一となった。試合残り40秒で聖和大はQB吉本みさ子(四年)からC長原朱里(四年)へのTDパスで逆転したが、ユニコーンズはQB笹崎幸江がWR国保香へこの日4つ目となるTDパスを通し、再逆転した。最優秀選手には笹崎が選ばれた。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(海外開催)
●NFLのヨーロッパ戦略の一環として1991年に2年間の準備期間を経て公式戦を始め、一時公式戦が中止されていたものの、前年95年に活動を再開したWLAF(World League of American Football)に日本から3人の選手が初めて参加した。DLの伊藤重将(京大OB)と池之上貴裕(リクルート)がデュッセルドルフのライン・ファイヤー(ドイツ)に、LB阿部拓朗(京大OB)がアムステルダム・アドミラルズ(オランダ)に入団。試合期間は毎年4~6月で、米国のNFLとはシーズンをずらしていた。両選手のチームが対戦する6月26日の試合は、NHK・BSで中継された。
WLAFは1998年に「NFLヨーロッパ」に名称を変え、2007年6月に中止を発表するまで活動を続けた。この間、日本からも毎年数人が参加し、国内でも話題となった。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●「第8回アメリカンボウル」は7月28日、東京ドームでサンディエゴ・チャージャーズとピッツバーグ・スティーラーズが対戦し、チャージャーズが20-10で勝利した。阿部拓朗、池之上貴裕、伊藤重将の3人が両チームに招待選手として加わり、日本人選手として初めてNFLの試合に出場した。