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INFORMATION ニュース

1997.01.01

1997年(平成9年) 活動64年目

お知らせ

鹿島がライスボウル初出場で優勝。東・西の大学王座決定戦を新設

日 付 主な出来事
社  会 3月1日 大阪ドーム開場 3月12日:ナゴヤドーム開場
4月1日 消費税、3%から5%へ
7月1日 香港、英国から中国へ返還
8月31日 ダイアナ元英国皇太子妃、自動車事故で死去
11月17日 北海道拓殖銀行経営破綻 11月24日:山一證券廃業
12月1日 地球温暖化防止京都会議開幕、京都議定書採択
フットボール 3月29日 京大創立100年記念、京大-ハーバード大(西京極陸上競技場)
5月11日 関西学生選抜-カナダ・西オンタリオ大(長居球技場)
5月17日 第1回アメリカンフットボール医・科学研究会開催(リクルート会議室)
5月25日 第1回ナゴヤフェスタ in ナゴヤドーム、東海学生選抜-立命大
6月20日 パールボウル、実業団選手権からXリーグ東・中地区の選手権に
6月29日 仙台スタジアム開場記念、第1回仙台グリーンボウル、東北大-東大
7月6日 小松ドーム開場記念、北陸学生選抜-日大
9月6日 西宮球技場改修工事完了
12月 東日本学生王座決定戦(のちのシトロンボウル)、西日本学生王座決定戦(のちのウエスタンボウル)を創設
12月13日 第1回四日市ボウル、立命大-東海学生(四日市ドーム)
翌年1月3日 第51回ライスボウル、鹿島、法大を下し初優勝

練習や試合の安全性向上の知見を広く関係者に公開・周知する日本協会の医事委員会主催による「第1回アメリカンフットボール医・科学研究会」が開催された。全国各地で多くの競技施設が新たに開場した。特にドーム型の競技施設が多く開場し、フットボールもその記念試合に多く参加した。

[1]主な出来事

●1990年から、全国各地区の加盟校が大学日本一、さらにはライスボウルの学生代表となれるよう要望があり、その方式の検討がなされてきたが、日本学生協会内でその実現案が策定された。それによると、

①現在の甲子園ボウル優勝校

②関東代表校と北海道・東北代表校の勝者

③関西代表校と中四国・九州代表校の勝者

の3校を候補とし、関係者の投票でライスボウルの出場校を決定する方式とした。しかし、投票で決定する方式にはいろいろと課題があるため、この案は取りやめ、引き続き学生日本一の決定方法を検討することとなった。

ライスボウル出場校の決定方式の変更が延期された代案として、

・「東日本大学王座決定戦」としてパインボウル勝者(北海道代表-東北代表)-甲子園ボウル出場校を除く関東代表

・および「西日本大学王座決定戦」として平和台ボウル勝者(中四国代表-九州代表)-甲子園ボウル出場校を除く関西代表

の2試合を開催することとした。この両王座決定戦は翌年以降も開催されたことから、この年の開催が「第1回」となった。

●5月9日、東京・有楽町のマリオンホールで日米フットボールサミットが開催された。基調講演は後藤完夫氏(タッチダウン株式会社)が行い、第1部はポール・タグリアブー氏(NFL)、笹田英次氏(日本協会)、野田俊行氏(日本社会人協会)、デービッド・スタント氏(リクルートヘッドコーチ)、ジョン・ポント氏(学生援護会ヘッドコーチ)、鳥内秀晃氏(関学大監督)、金野容子氏(日本タッチフットボール協会)、宍戸博昭氏(東京運動記者クラブ・アメリカンフットボール分科会幹事)、加納みゆき氏(ファン代表・女優)が講演。第2部はパネルディスカッションが行われ、最後に「日米アメリカンフットボール宣言」が発出された。

これからの日本のフットボールについて熱い講演や議論がなされ、多くの参加者とともにこれからの日本フットボールを考える催しだった。

●フットボール活動で選手の安全性を保ち、向上させることはコンタクトスポーツのアメリカンフットボールにとって極めて重要である。そのため、練習や試合の安全性向上の知見を広く関係者に公開、周知することを目的に、日本協会医事委員会主催で「第1回アメリカンフットボール医・科学研究会」(中嶋寛之会長)が5月17日に東京・新橋のリクルート会議室で開催された。この研究会は公開で、以降も開催を続けて選手らの安全性向上に貢献した。

●「日本アメリカンフットボールの父 ポール・ラッシュ博士」の生誕100周年を迎えた。それを記念し、山梨・清里でポール・ラッシュ祭、記念コンサート、生誕100周年記念式典が開催された。また「第10回ラッシュボウル」が10月12日に山梨・小瀬スポーツ公園陸上競技場で開催され、すかいらーくと日産プリンスが対戦した。

●6月15日、大阪ドームで開催された全関学大-全京大の試合前セレモニーで、元米NFLのオットー・グラハム氏(75歳)がコイントスした。グラハム氏は1946年から10年間、クリーブランド・ブラウンズのQBとして活躍。ブラウンズをこの間、105勝12敗2分の好成績に導いた伝説的選手だった。

●1989年に創刊されたベースボール・マガジン社発行『アメリカンフットボール・マガジン』が97年5月号(vol.109)をもって休刊した。日米両国のフットボールのホットなニュースを届け、わが国のフットボールの発展に大いに貢献した。同誌は休刊したものの、同社は適宜、国内外のフットボール情報の雑誌を発行した。

●笹田英次氏が日本協会理事長(第13代)に就任し、1999年まで務めた。

 

[2]競技施設・装具・公式規則

◆競技施設

●全国各地で多くの競技施設が新たに開場した。特にドーム型の競技施設が多く開場し、フットボールもその記念試合を多く開催した。

この春、大阪シティドームとナゴヤドーム、コマツドームが開場した。オープンを記念して以下の試合が行われた。

日 付 会 場 表 面 対 戦 観 衆
5月25日 ナゴヤドーム 人工芝 東海学生選抜17-28立命大 15,837人
6月15日 大阪シティドーム 人工芝 全立命大-全関大

全関学大14-17全京大

25,000人
7月6日 コマツドーム 砂入り人工芝 北陸学生選抜3-54日大 北陸地区過去最多

日本のドーム型競技施設はこの3ドームと東京ドーム、エムウェーブ(長野)、札幌ドーム、出雲ドーム、長浜ドーム、福岡ドーム、四日市ドームの計10会場となった。

●春から改修を行ってきた西宮球技場の工事が終了し、9月から使用を始めた。スタンドを1,000席増席して4,000席とし、更衣室、シャワー室、本部席、記者席などが入る本部棟の新設、8基の照明などの新設がなされた。関西では1941年から使用しており、56年ぶりのリニューアルだった。また、関西フットボールの最初の公式戦開催地であることなどの事象を記した記念碑が設置された。

●6月29日、仙台スタジアムが開場。記念試合として「第1回仙台グリーンボウル」が行われ、東北大と東大が対戦した。

 

◆公式規則

【この年の日本の主な規則変更】

●ジャージ、パンツおよびヘルメットは、同一色、同一デザインであること。
●3回目の超過節から、タッチダウン後のトライは、2点のコンバージョンの得点のみを有効とした。
●ランナーがどこにいても、ニュートラル・ゾーンを越えた5ヤードまでの区域で、ボールの方向に対して腰より下のブロックをすることが禁止となった。
●守備側のプレーヤーがスナッパーに対してスナップ後1秒間、接触することが禁止となった。

 

[3]春季試合

◆春のボウルゲーム

●第43回西日本選手権

「第43回西日本社会人選手権」は5月25日、西宮球技場でマイカルと松下電工が対戦。開始早々、互いにターンオーバーと不安定な攻撃を展開したが、1Q8分、マイカルがQB夏目亙からWR竹田勉への24ヤードのTDパスが通って先制。その後もRB山口敏彦のこの試合20回のランプレーなど着実な展開で、10-7で勝利した。マイカルは松下電工との公式戦7試合目で初勝利となった。

●第43回西宮ボウル

「第43回西宮ボウル」は6月28日、台風接近の中で開催。第1試合の大阪高校選抜12-12兵庫高校選抜と第2試合の東海学生選抜10-9西日本学生選抜は曇天で行われたが、第3試合の東西学生選抜戦は開始直前から急に風雨が強くなり、会場全体が嵐に包まれてキックオフ。

1Q、関西がRB古谷拓也(関大三年)の8ヤードTDランで先制したが、関東は3Qに同点とすると、4QにCB佐野忠也(日大三年)のファンブルリカバーからの40ヤードTDランで逆転し、関東が14-7で勝利した。4Q終盤に風雨は急に弱まり、台風はこの第3試合を目指して襲来したようだった。

●第11回ヨコハマボウル

「第11回ヨコハマボウル」は6月9日、横浜スタジアムで20,000人の観客を集めて開催。

・第1試合は5回目の対戦となる日大-京大。日大は1Q4分、RB新川昇平(四年)の4ヤードTDランで先制。さらに2Q5分にも新川がエンドゾーンに飛び込んでTD。京大は10分、QB横山悠(四年)がTDを挙げ、前半を日大が14-10とリードして折り返した。後半は両チームの守備陣が奮闘し、互いに無得点で日大が勝利した。日大はLB藤井充(四年)の堅守が光った。

・第2試合の法大-関学大は、関学大が1Q4分、K太田雅宏(四年)の50ヤードFGで先制したが、法大はその後前半だけで5TDの猛攻。後半も勢いは止まらず、57-25で勝利した。法大はQB岡本勝之(四年)、UB石川崇(三年)、TB池場直久(四年)の縦3人のランナーを中心に、総獲得783ヤードと驚異的な数字を残した。

●第22回パールボウル

これまで実業団選手権として行っていた春の社会人のイベント、パールボウルを、この年からXリーグ全チームを対象とし、いくつかのミニリーグの勝者によるトーナメント戦とした。

ミニリーグ1位のチームによるトーナメントの決勝、「第22回パールボウル」は6月20日、東京ドームでリクルートと、初参戦で出場のアサヒビールが対戦。リクルートは1Q5分、QB新生剛士からSB亀山逸人への7ヤードTDパスで先制。アサヒビールもすぐさまQB金岡禧友の55ヤードのTDランで追うが、リクルートは2Qに新生からSB越後靖史、SE河本晃への2本のTDパスでリード。その後も優勢に進め、31-12で初優勝を遂げた。過去2年間のパールボウルトーナメントを負傷で出場できなかった新生はパスを29回投げて22回成功、4TDの活躍。守備陣もDLの並河研、池之上貴裕を中心にアサヒビールの攻撃を止めた。

 

[4]秋季試合

◆秋季試合(学生)

■関東(学生)

●関東大学1部リーグは8割が川崎球場で1日3試合で開催。ナイターの試合が可能な1日4試合の横浜スタジアムのほか、駒沢陸上競技場、大井第二球技場を使用した。

●Aブロックは法大が2位となった東海大に28-20と苦戦したものの、6戦全勝でプロックを制した。

法大はこれまでのラン主体から、パスプレーを強化したマルチプルオフェンスに切り替えた。開幕戦で筑波大を、続く上智大、明大を順調に下し、第4戦で東海大と対戦。1Q、2TDを挙げリードしたが、その後もたつき、28-20とやや苦戦しながらの勝利だった。その後、慶大と東大を破ってブロック1位で通過。攻撃方針の変更で、6試合のラン獲得距離が前年の1,920ヤードから1,657ヤードに減少した反面、パスは473ヤードから1,082ヤードへと大幅に増え、QB岡本勝之(四年)がリーグ新のレーティング233.5を記録した。レシーブ陣もWR福田奨(四年)、SE水口貴雄(四年)が実力を発揮し、充実したシーズンだった。

Bブロックは日大が専大に33-23、中大に23-14と接戦を演じたが、6戦全勝で1位。若手主体ながら伝統のショットガンからQB木之下祐士(三年)、桂雄史郎(二年)の2枚看板で安定した攻撃を展開した。帝京大は前評判が高くなかったものの、2年目となるショットガン攻撃で専大を22-14、日体大を34-23で破り、4勝2敗で2位に。中大は序盤から圧倒的なドライブ力と伝統の強力守備で優勝戦線に加わったが、終盤に連敗を喫し、4位となった。関東大学選手権には日大と帝京大が進出した。

●関東大学選手権

3年目を迎えた4校による関東大学選手権。準決勝は法大が初出場の帝京大を攻守に圧倒して56-5で勝利。日大-東海大は、前半をリードして折り返した日大に対し、東海大がオプションプレーをベースに要所でパスをことごとく決め、17-16で逆転勝利を収め、初めて決勝に進んだ。

「第28回関東大学選手権」決勝は、法大と東海大のAブロック同士の再戦となった。法大は前半終了間際にFGでリードを広げ、東海大に3Qに一時2点差に迫られたが、4Qに突き放して46-30で勝利した。

 

■関西(学生)

●関西学生リーグDiv.1は、前半は主として宝ヶ池球技場を、後半は西宮スタジアムを使用した。関学大が甲子園ボウルに出場できなければ、甲子園をまったく知らずに卒業する学生が出るという状況だった。

関学大は初戦で大体大を45-0で破ったが、続く甲南大には31-12、さらに3戦目の近大には1TDだけの7-6と薄氷を踏む勝利。しかし、守備陣が奮起し、第5戦で3年連続敗北していた立命大との全勝対決を16-7で競り勝つと、続く京大戦も守備陣の活躍で20-3と勝利。8年ぶりに京大のTDを0に抑えた。

関学大は最終の神戸大戦にも勝利し、7戦全勝で4年ぶりの優勝を飾った。1試合平均5失点の守備は梅田直樹(四年)、金井建男(四年)、久乗健次(四年)のLBトリオが出足鋭くブリッツし、菅田充浩(四年)、小田川雅(三年)のDL陣がラインを守った。2位は立命大で3位は京大、4位は近大と神戸大だった。

 

■各地区(学生)

【北海道】 リーグ最終戦の円山ボウルで北大と北海学園大が全勝対決。北大が2TDパスで先行し、30-7で3年連続11度目の優勝を果たした。
【東北】 10月19日のリーグ最終戦で、東北大と前年創部以来初優勝した仙台大が対戦。東北大が4Qに3TDを挙げて35-6で勝利し、東北王座を奪還した。
【東海】 11月3日、瑞穂ラグビー場で中京大と名城大が全勝対決。中京大のランプレーを名城大守備陣がわずか28ヤードに抑え、名城大が17-0で快勝。4年ぶり2度目の優勝を決めた。
【北陸】 9月23日、ともに2戦の金沢大と福井工大が対戦。ウィッシュボーン体型からトリプルオプションを繰り出す金沢大が46-12で勝ち、この時点で優勝を決めた。
【中四国】 前年覇者の山口大と広島大、愛媛大の争い。山口大が愛媛大の全勝対決を14-7で制して2連覇を遂げた。
【九州】 福岡大、九大、西南学院大の争い。西南学院大が福岡大を13-7で破り、全勝優勝を飾った。

 

●パインボウルは、これまでの「東日本王座決定戦」から「北日本王座決定戦」に名称を変更。11月3日に札幌市の厚別公園競技場で東北大と北大が対戦し、北大が45-13で勝利して「第1回東日本学生王座決定戦」に進んだ。

●関西学生リーグへの挑戦者を決めるため、従来の平和台ボウルの「西日本学生王座決定戦」の名称を「南日本学生王座決定戦」に変更。11月16日に山口大と西南学院大が対戦し、山口大が10-7で勝利し、「第1回西日本学生王座決定戦」に進んだ。

●「第1回東日本学生王座決定戦」は12月23日、仙台スタジアムで北大と関東準優勝の東海大が対戦。ウィッシュボーン攻撃の東海大が70-24で勝利した。

●「第1回西日本学生王座決定戦」は12月21日、広島広域公園陸上競技場(広島ビッグアーチ)で山口大と関西3位の京大が対戦し、京大が42-0で勝利した。

●12月13日、「第1回四日市ボウル」が四日市ドームで行われ、立命大と東海学生が対戦した。

 

◆秋季試合(社会人)

●Xリーグイースト、セントラルは東京ドームを平日に8日間使用し、ほかに川崎球場、横浜スタジアム、小瀬陸上競技場などを使用した。ウエストは西宮スタジアムと西宮球技場、長居第二陸上競技場を使用した。

 

■秋季試合 関東(社会人)

●イーストはともに4戦全勝のアサヒビールとオンワードが対戦し、アサヒビールが17-14で勝利し、1位となった。オンワードが圧倒的な得点力で有利との下馬評だったが、3QにアサヒビールのK泉周作が決めた22ヤードFGが決勝点となった。3位は東京三菱銀行、4位が富士通となった。

セントラルは、最終戦で鹿島が日産を31-10で破り、1位となった。日産は敗れたものの、リーグ戦喪失TDゼロを続けていた鹿島の強力守備からTDを奪う健闘で、鹿島とともにFINAL6に出場した。また得失点差で鹿島がイーストのアサヒビールを抑えてシード権を獲得し、FINAL6は準決勝からの出場となった。リクルートが三和銀行に76-7で勝利し、Xリーグ最多得点を記録した。

 

■秋季試合 関西(社会人)

●ウエストは松下電工が4戦終了時点で全勝で、FINAL6進出を決めた。2チーム目は最終節3試合の結果で決まる大接戦に。その結果、サンスターがイワタニを21-13で破り、出場権を得た。

 

■プレーオフ(社会人)

●FINAL6はアサヒビールと日産、サンスターとオンワードがそれぞれ対戦。日産は1Q、2つのTDで13-10と先行したが、アサヒビールは2QにQB金岡禧友からTE加藤智治への15ヤードTDパスで逆転すると、さらにTE吉岡崇と金岡のTDランで引き離し、31-13で勝利した。

サンスターとオンワードは2Q早々、オンワードがRB山口智則の1ヤードTDランで先制。後半も山口2TDを挙げ、サンスターの反撃をQB田原謙一郎からRB井場睦之への55ヤードTDパスだけに抑え、21-7で勝利した。

準決勝の鹿島とオンワードは10-10で延長節に突入した。1回目は互いにTDを挙げたが、2回表でオンワードはFGで終了。その裏の鹿島の攻撃で、オンワードは反則で後退し、鹿島がTDを挙げ勝利した。松下電工とアサヒビールは、松下電工の強力守備陣がアサヒビールの攻撃を止めて26-6で勝利。東京スーパーボウルへ進出した。

 

[5]秋季試合(ボウルゲーム)

◆第52回甲子園ボウル

●「第52回甲子園ボウル」は12月20日、甲子園球場に33,000人の観客を集め、法大と関学大が対戦。1Qからともに死力を尽くしての好ゲームだった。

前半は法大DE木下雅博(四年)、関学大LB梅田直樹(四年)を中心とする両チームの守備戦で互いに得点を許さず、0-0で後半に突入した。3Q7分、関学大はQB高橋公一(四年)からTE中川敬介(四年)への3ヤードTDパスで先制すると、法大も3Q終了間際、QB岡本勝之(四年)からTE升田伸一(四年)に7ヤードTDパスを成功させ、7-7で4Qに入った。

4Qはそれまでの守備戦から、両チーム互いに2TDを挙げる攻撃戦に。先に法大がUB堀田修平(二年)の8ヤードTDラン、次に関学大がRB猪狩真吾(二年)の1ヤードTDランとTFPの2点コンバージョンが成功して14-13に。今度は法大がTB池場直久(四年)の43ヤードランで21-15とリードを奪った。関学大は残り1分を切っての攻撃シリーズでQB高橋公一(四年)がパスを連続して成功させてエンドゾーンに迫り、最後はWR竹部鉄平(三年)にTDパスを決めて同点に。しかし、勝利を決めるはずのTFPのキックが失敗して試合終了。21-21で13年ぶり4回目の両校優勝となった。法大は25年ぶり2回目、関学大は4年ぶり20回目の優勝で、関学大は日大の最多優勝回数に並んだ。

コイントスによる抽選の結果、法大が翌年1月3日のライスボウルに出場することになった。関学大は1984年の第39回大会でも日大にコイントスで敗れてライスボウルの出場権を逃したが、この年も同様だった。ミルズ杯は法大のQB岡本勝之(四年)が受賞した。

 

◆第11回日本社会人選手権・東京スーパーボウル

●「第11回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月16日、東京ドームに38,000人の観客を集め、鹿島と松下電工が対戦。鹿島は1Q後半、QB川上隆からWR関智弘へのパスで敵陣に入ると、RB堀口靖の36ヤードのTDランで先制。さらに、松下電工のパスをLB有澤玄がはたき、浮いたボールをS佐山夏樹がインターセプト。続く攻撃でRB児玉峰彦が1ヤードのTDランを挙げて1Qを14-0で終了。鹿島は後半も松下電工の反撃をぶ厚い守備で止め、CB佐藤紀之、DB竹下辰郎がそれぞれインターセプトリターンTDを挙げるなどして48-12で圧勝した。鹿島は1989年の創部から9年目で初優勝を遂げ、MVPにはラン13回で136ヤード、3TDを挙げた鹿島の堀口が受賞した。

 

◆第51回ライスボウル

●「第51回ライスボウル」は翌1998年1月3日、東京ドームに47,000人の観客を集め、ともに初出場の鹿島と法大が対戦。1989年創部の鹿島は9季目のスピード出場だった。1Q5分、鹿島がこの日3つのFGを決めたK中筋圭吾の32ヤードFGで先制。以降も着実な攻撃で加点し、39-0で初の日本一となった。

鹿島は守備陣もDL谷嶋淳、DL木村敬の100キロの中央を中心に得点を許さず、日本選手権になったライスボウルで初の完封での勝利を収めた。総獲得距離は鹿島の551ヤードに対して法大は216ヤード。法大のパス獲得距離をわずか49ヤードに抑えた鹿島DB陣の活躍も光った。MVPのポール・ラッシュ杯は鹿島守備陣の中核を担うLB小川潤が受賞した。

 

[6]高校フットボールの活動

◆春季大会(高校)

●「第23回春季関東高校選手権」は準決勝で日大高(神奈川1位)を21-12で破った埼玉栄高(埼玉1位)と、三島高(静岡1位)を52-0で下した日大三高(東京1位)が決勝で対戦し、日大三高が決勝初進出の埼玉栄高を52-0で下して優勝した。

●「第27回春季関西高校選手権」は準決勝で県立八日市高(滋賀1位)を81-0で下した関学高(兵庫2位)と、府立豊中高(大阪3位)を14-7で破った関大一高(大阪1位)が決勝で対戦し、関学高が35-0で勝って優勝した。関学高は兵庫県大会決勝で六甲に12-13と敗れて兵庫2位としての出場だったが、関西大会では4試合すべて大勝した。

 

◆秋季大会(高校)

■関東地区(高校)

●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月15日、前日の雨が上がった大井第二球技場で日大三高と中大付高の間で行われ、両チームとも守備力を発揮して息詰まる展開となった。前半ともに1FGずつの3-3で後半に突入。3Q1分に中大付高がFGを決めてリードしたが、同10分に日大三高が11ヤードのTDパスを通して逆転。日大三高が10-6で2年連続3回目となる全国大会決勝進出を決めた。

 

■関西地区(高校)

●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月23日、小春日和の西宮スタジアムで関大一高と関西大倉高の間で行われた。関大一高は開始第1プレーで94ヤードの独走TDで先制し、2Qにも多彩な攻撃体型から1TDを挙げてリード。後半は一進一退の展開となったが、関大一高が関西大倉高の反撃をインターセプトなどで防ぎ、20-13で8年ぶりに関西地区優勝を飾った。

 

◆第28回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

●「第28回クリスマスボウル」は12月21日、川崎球場で9年ぶり出場の関大一高と2連覇を目指す日大三高が対戦。1Q序盤、日大三高が52ヤード独走TDで先制。関大一高はその後、着実にボールコントロールに徹してダウンを更新し、12プレーを掛けてTDで同点とすると、後半もインターセプトからつかんだ攻撃で15プレーを掛けてTDを挙げてリードを奪い、21-13で22年ぶり2回目の高校日本一となった。

 

[7]フットボール・ファミリーの活動

◆小・中学生フットボール

●10回目を迎えた少年フットボールの「チェスナットボウル」が12月23日、西宮球技場で行われ、小学3~6年生のジュニアクラスでリトルベアーズが二条城北レッドスターズを破って優勝した。MVPはリトルベアーズのRB屋上拓也が受賞した。

 

[8]海外・国際関連の活動

◆日本チームの活動(国内開催)

●日米単独校の対戦はしばらく途切れていたが、3月に京大が創部50周年記念試合としてハーバード大を招き、西京極陸上競技場で対戦した。ハーバード大は歴史のある米国でも近代フットボールの創成期に活動を開始し、124年目を迎えた米国最古の古豪。雨にもかかわらず多くの観客を集め、二転三転する接戦となったが、京大が35-42で惜敗した。

●関西4大学の合同チーム(大産大、甲南大、大体大、桃山学院大)が5月、長居球技場でカナダの強豪・西オンタリオ大と対戦した。カナダはルールが異なるカナディアンフットボールが盛んだが、この対戦はアメリカンフットボールのルールで行われ、西オンタリオ大が69-7で勝利した。日本の長い歴史の中でも珍しいカナダのチームとの対戦だった。

 

◆日本チームの活動(海外開催)

●前年初めて日本からプロ選手として3選手が参加したワールドリーグに、日本から4選手が参加した。LB池之上貴裕(リクルート、ライン・ファイヤー所属)は前年に続いて、SB安部奈知(リクルート、スコティッシュ・クレイモアーズ所属)、TE板井征人(鹿島、アムステルダム・アドミラルズ所属)、LB河口正史(立命大卒、同)は新たに参戦。前年、一時的なコーチとて参加した森清之氏(京大守備コーチ)が、アムステルダム・アドミラルズのフルタイムのコーチとなった。