この頃、話題となっていたアメリカンフットボールのワールドカップ(世界選手権)が翌1999年にイタリア・パレルモで開催されることが正式に決定した。そのため、全日本選抜候補を編成し、試金石として欧州王者・フィンランドを招いて国際試合を開催するなど忙しい年となった。日本選手権となって16回目のライスボウルはリクルートが立命大を破り、学生と社会人は8勝8敗の五分となった。
1998.01.01
お知らせ
国際アメリカンフットボール連盟が発足。ライスボウル、学生-社会人の対戦成績が五分に
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 2月7日 | 第18回冬季オリンピック開幕(長野)。3月5日:第7回パラリンピック開幕(長野) |
3月1日 | 横浜国際総合競技場開場 | |
4月5日 | 明石海峡大橋開通 | |
10月23日 | 日本長期信用銀行経営破綻、12月13日:日本債券信用銀行経営破綻 | |
フットボール | 4月12日 | NFLフラッグ、全国8か所で説明会開催 |
4、5月 | 関東、関西で一般少年少女対象のフットボールスクール開催 | |
6月 | Xリーグ米国人コーチ3人によるクリニック、北海道、関東、九州で開催 | |
8月3日 | ジャパンユーロボウル、全日本-フィンランド。日本勝利(東京ドーム) | |
9月 | 国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)設立。初代会長に笹田英次氏 | |
9月 | IFAF、第1回ワールドカップを1999年6月に開催することを決定 | |
翌年1月3日 | 第52回ライスボウル、リクルート、立命大を下し2回目の優勝 | |
翌年1月4日 | IFAFアジア連盟設立、初代会長に鈴木卓治氏就任 |
この頃、話題となっていたアメリカンフットボールのワールドカップ(世界選手権)が翌1999年にイタリア・パレルモで開催されることが正式に決定した。そのため、全日本選抜候補を編成し、試金石として欧州王者・フィンランドを招いて国際試合を開催するなど忙しい年となった。日本選手権となって16回目のライスボウルはリクルートが立命大を破り、学生と社会人は8勝8敗の五分となった。
[1]主な出来事
●9月4、5日にイタリア・シチリア島のパレルモで開催されたフットボール国際会議で、国際アメリカンフットボール連盟(IFAF=International Federation of American Football)が加盟25か国での設立が決定されて発足。初代会長に日本協会の笹田英次理事長、事務局長に日本協会国際委員の宮下明久氏が選出された。また、この会議の後の9月21日、翌1999年6月にパレルモで「第1回ワールドカップ」(のちに「世界選手権」と名称変更)を開催することが発表された。99年以降は4年ごとにオリンピックと重ならない年に開催することを決めた。これまで、日本チームの単発的な海外遠征は行われてきたが、この年以降は世界的な制度の下での海外試合や国際大会が開催されることになった。翌99年1月4日にはIFAFの下でIFAFアジア連盟が設立され、初代会長に鈴木卓治氏が就任した。
●フットボールの国際化が進展する一方、国内では経済状態の悪化を受け、社会人チームの活動に影響が出始めていた。数年前からボウルゲームなどへの協賛企業が減少してきたが、チーム活動そのものに対する支援の減少が始まり、社会人チームの苦難の時代の始まりと言えた。
●日本協会が秋に公式サイトを開設し、情報発信を始めた。
●関東大学リーグは秋の公式戦で、両チームの合意かあれば2、4Qの残り6分前後に水分補給のためのウォータータイムアウトを取ることにした。選手の健康管理と暑さ対策の一環として設けた。
●関東大学連盟は1992年に第1回を開催した「安全対策セミナー」の第7回を7月4日、東京・日比谷公会堂で開催した。また、それとは別に6月13日に大井第二球技場で新たな「第1回安全対策クリニック」を指導者を対象に開催した。午前は中澤一成・東海大監督の安全な動きと運動原理の講演。午後はフィールドで選手、トレーナーからの実技指導が行われた。
●ケーブルテレビが普及して米国フットボール、特にNFLの放映が多くなった。1980年代後半から90年代前半にかけてNFL、NCAAの試合の地上波での放映がピークを迎えたが、この時期は従来からのNHK・BS、ケーブル・CS局のGAORAに加えて、CSのスカイパーフェクTVが加わり、NFL全252試合(プレーオフ含む)の約6割が日本で視聴することができた。
●日本協会と日本社会人協会は6月、北海道、関東、九州の3地区で社会人チームの米国人コーチによるクリニックを開催した。クリニックは選手対象のプレーヤーズ・クリニック(2日間)と指導者対象のコーチズ・クリニック(1日)で構成された。講師はデービッド・スタント氏(リクルート)、マイケル・レオナルド氏(リクルート)、ジョン・ポント氏(学生援護会)、クレイトン・ムース氏(富士銀行)、タイロン・パーカー氏(富士通)、カート・ローズ氏(富士通)、ジョン・ホスビー氏(オンワード)、ダニエル・リンズ氏(オンワード)が担当した。
●関東大学リーグでは、秋の公式戦で成績上位かつ少ない反則、退場者なしなどの選考基準で選考委員会が選出したチームをフェアプレー賞として表彰することとし、1部は日体大が、2部では山梨学院大が受賞した。
●少年少女にフットボールに親しんでもらおうと、東西でフットボールスクールを開催した。関西協会は西宮球技場で4、5月の3日間、10歳から中学生までの男女を対象に20年ぶりのスクールを開催し、49人が参加。川崎市協会は4月26日、川崎球場で男子中学生を対象に法大、専大のOBが指導者として開催し、定員を上回る25人が参加した。
●日本協会がフラッグフットボールの普及に取り組み始めた。これまで「タッグフットボール」と呼ばれてきたものも「フラッグフットボール」に統一し、NFLの世界拡大方針に併せて活動を開始。その一環として「NFLフラッグ」を開催した。主催はフットボールの世界的普及を目指すNFLのNFLジャパンリンク、日本協会、日本タッチ&フラッグフットボール協会で、日本プライベートフットボール協会、江戸川区連盟が協力団体として参加した。
日本各地でフラッグフットボールを普及させることが目的で、4、5月の休日に各地区で開催された。開催地は北海道(札幌大グラウンド)、東北(仙台泉グラウンド)、関東(川崎球場)、信越(三条うるおい広場)、東海(鶴舞陸上競技場)、北陸(北陸大グラウンド)、関西(長居球技場)、中国(広島広域公園)、九州(西南学院グラウンド)。4月4日の川崎球場での開催にはNFLグリーンベイ・パッカーズのQBブレッド・ファーブ氏が来日し、参加者は560人を数えた。その他の地区も100~250人の参加者が集まり、大盛況だった。
また、早大学院、お茶の水女子大附属高、江戸川学園取手高、滋賀県の草津第二小学校などが体育の授業でフラッグフットボールを教えた。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆競技施設
●横浜市港北区に国内最大規模の7万人収容、天然芝の横浜国際総合競技場が完成。フットボールの最初の試合は6月21日で、アサヒビールと京大が対戦した。
●長らく使用してきた神戸市立中央球技場が12月に閉場した。サッカーの国際試合にも対応できる御崎公園スタジアム(2002年開場予定)に改装するためのもので、12月23日に地元の神戸大と甲南大で閉場の記念試合を開催した。
◆公式規則
●5月、NCAAルール委員会Editorial Committeeの委員でPAC10フットボール・コーディネーターのベール・ソーガン氏が来日。関東、関西の審判組織に審判やルールの講習会を開催した。同氏は隔年で2008年まで6回来日し、NCAAの公式規則の詳細な説明や適用基準、審判員メカニックの説明を行った。
●東北連盟では1部リーグの試合を1Q15分で開催した。
【この年の日本の主な規則変更】
●ソックスを必須とし、同一のチームのプレーヤーはすべて「色、デザイン、長さ」が同一であることとした。
●バックワードパスの失敗のボールを守備側がリカバーすれば持って前進できるようになった。
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第44回西日本選手権
「第44回西日本社会人選手権決勝・グリーンボウル」は5月23日、西宮スタジアムでサンスターと決勝初進出のアサヒ飲料が対戦。アサヒ飲料はK田中重光の2FGであっさりリードを奪い、その後も田中の絶妙なパントなどで押し気味に進めた。しかし、サンスターは2Q1分、QB柴田泰弘からのパスをTE桜庭理浩がキャッチしてゴール前に迫り、続く主将RB山崎武文が逆転のTD。サンスターは2Q6分にパントスナップのミスでセーフティーを与えて逆転されたが、4QにLB石川仁がインターセプト。そこからの攻撃で柴田からWR前田拓郎へのロングパスでTDし、13-8で2年ぶり5回目の優勝を遂げた。
●第44回西宮ボウル
「第44回西宮ボウル」6月27日、西宮スタジアムで行われ、関西がQB高橋幸史(近大四年)のパス、RB宮崎竜夫(京大四年)のスピードとパワーのラン、K田中智裕(神戸大三年)の確実なキックと攻撃陣が活躍。加えてDE西村大介(京大四年)、DT玉本潤一(関学大四年)、LB小西剛(立命大三年)の強力な守備陣が関東を圧倒した。関東はQB木之下祐士(日大四年)のパスとスクランブルで追いすがるが、関西は4Qに24点を挙げ、41-12で快勝。通算成績を18勝25敗1分とした。
●第12回ヨコハマボウル
「第12回ヨコハマボウル」は6月7日、梅雨の谷間のどんよりとした雨雲が覆った横浜スタジアムで開催。このような天候にもかかわらず、17,000人が観戦した。
・第1試合の法大-立命大は前半、立命大が13-12とリードするが、法大は後半、TB堀田修平(三年)の43ヤードTDランとTB井出元(三年)の2ヤードTDランで逆転し、27-13で勝利した。
・第2試合の関学大と東海大は2Q、関学大がQB岡村幸太郎(二年)の1ヤードTDラン、TB花房政寿(四年)の45ヤードTDランで東海大を引き離し、34-11で勝利した。
●第23回パールボウル
「第23回パールボウル」は6月1日、東京ドームで鹿島とオンワードが対戦。両チーム守備陣の奮闘で緊迫した試合となった。鹿島は1Q終了間際、K中筋圭吾が41ヤードのFGを決めて先制。2Q6分にオンワードがQB須永恭通からWR神英幹へ39ヤードTDパスを決めて逆転すると、その3分後には鹿島がRB堀口靖の1ヤードのTDランで再逆転。鹿島が10-7で前半を折り返した。
後半は互いに無得点で試合終了となり、鹿島が3年ぶり2回目の春季王者となった。MVPには鹿島のRB堀口靖が選ばれた。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学1部リーグは、ほとんどの試合を川崎球場で開催(ほぼ1日3試合)し、ほかに駒沢陸上競技場、江戸川区陸上競技場などを使用した。
●フットボール専門誌『TOUCHDOWN』の調査による各大学コーチのシーズン前の予想投票では、Aブロックは1位法大、2位帝京大、以下中大、日体大、早大、慶大、立大の順だった。
Aブロックは最終節までプレーオフ出場2校が決まらない大混戦となった。関東をリードしてきた法大は主力が卒業し、初戦で1部に復帰した早大に敗戦。法大、帝京大、早大、日体大の激しい星のつぶし合いとなった。結局、法大がその後を接戦で制して1位となり、2位の日体大とともに関東大学選手権に出場した。
なお、10月18日20時46分、川崎球場での早大-立大の4Q残り7分で早大が31-7でリードしていた時点で、川崎球場を含む富士見町一帯が停電。22時1分に復旧したが、両チームの合意で中断した時点のスコアで試合終了とした。停電による試合中止とその時点での試合完了は公式戦初の珍事だった。
Aブロックは1位法大、2位が3校で日体大と早大、帝京大、5位が中大と慶大、7位が立大となった。
Bブロックは同じくシーズン前のコーチの予想では、1位日大、2位専大、以下東海大、筑波大、明大、東大、関東学院大の順だった。
日大はQB木之下祐士(四年)のランとTE八百板大(四年)へのパスで毎試合大量得点を挙げたが、専大戦では苦手のオプション攻撃に翻ろうされ、21-30で敗れた。しかし、日大はブロック1位で、東大に敗れた専大とともにプレーオフに進出した。
1位日大、2位専大、3位東大、4位は明大と東海大、6位は関東学院大、7位が筑波大となった。
●第29回関東大学選手権
準決勝は2試合とも最後まで分からない大接戦となり、専大を28-21で破った法大と、日体大を21-20で辛くも破った日大が決勝へ進んだ。
第29回関東大学選手権決勝は12月6日、川崎球場で法大と日大が2年ぶりに対戦。「攻撃の日大」対「守備の法大」と予想され、接戦になると言われた試合だった。
法大は1Q、20ヤードからの攻撃の第1プレーでQB木目田康太(三年)が80ヤードの独走TDで先制。さらに11分、日大のパントをTB小高敦之(二年)が72ヤードのリターンTDとしてリード。2Qには11分にTB川畑賢(三年)の2ヤードTDランと、14分にこの日3FGを決めたK井川宅朗(二年)の27ヤードFGで、24-0で前半を折り返した。法大はその後も得点を重ね、4Qに日大の左手負傷を抱えながら出場したQB木之下祐士(四年)がTE八百板大(四年)へ15ヤードの、SB高橋睦巳(四年)へ5ヤードのTDパスをそれぞれ決めたが、法大が44-14の大差で勝利し、5年連続の甲子園ボウル出場を決めた。
■関西(学生)
●フットボール専門誌『TOUCHDOWN』の調査による各大学コーチの関西学生リーグのシーズン前の予想投票では1位京大、2位関学大、以下立命大、近大、神戸大、同大、関大、大産大の順だった。
前半戦の戦いぶりは、京大が攻守とも安定した力を発揮して大勝を続け、立命大は攻撃力に不安があって逆転で勝利するなど、京大が一歩先んじている展開だった。しかし、立命大は3戦目の神戸大戦で、同点の後半からQB川嵜滋央(三年)を投入すると3TDを挙げて勝利し、以降の試合も攻撃に核ができた。関学大は近大戦でやや手こずったものの34-20で勝利し、後半戦で3校の直接対決を迎えた。
まず、京大と立命大が10月25日、12,000人の観客の下で対戦。立命大が劣勢との予想だったが、立命大は徹底したランプレーでボールをコントロールし、守備陣も5つのターンオーバーを奪って35-8で快勝した。
続いて11月8日、京大と関学大が25,000人の観客を集めて対戦した。関学大のパスが早々と2回、京大にインターセプトされたのに対し、京大は立命大戦で不振だったQB竹下究(二年)がパスを決め、京大が10-0とリードして前半を折り返した。京大は後半、関学大の反撃を1TDで抑え、21-7で勝利。関学大は計4インターセプトを喫した。
3強対決の最終戦となった立命大-関学大は11月23日、33,000人の観客が詰め掛けて行われた。立命大は、プレーオフに持ち込もうと必死の関学大に10点のリードを許したが、後半の最初のキックオフで里見恒平(四年)が92ヤードのリターンTDを挙げると、その後も3つのTDランで逆転し、27-13で勝利して5年ぶり2度目の優勝を全勝で飾った。
1位立命大、2位京大、以下関学大、近大、関大、神戸大、7位が同率で大産大と同大となった。
■各地区(学生)
【北海道】 11月1日、全勝の北大と1敗の北海学園大の対戦は接戦となったが、北大が28-19で勝利し、4年連続11回目の優勝を飾った。北海学園大は17年ぶりの優勝には届かなかった。
【東北】 10月31日、東北大と仙台大の4戦全勝同士の対決は東北大が終始攻勢で42-7と勝利。東北大は最終戦で東北工大を49-28で破り、優勝を飾った。
【東海】 11月7日、瑞穂ラグビー場で開催された名城大と中京大の対戦は、名城大が42-0で大勝し、2年連続3回目の優勝を飾った。信州大が4勝1敗で2位と健闘した。
【北陸】 10月24日、ここまで全勝の金沢大と1敗の福井工大が対戦。金沢大が28-0で勝利し、5連覇を果たした。
【中四国】 10月31日、ここまで2勝1分の愛媛大と2勝1敗の山口大が対戦し、愛媛大が21-7で勝利して8年ぶりに優勝した。
【九州】 10月25日、福岡ドームで久留米大が福岡大を35-19で破り、4勝1敗でシーズンを終え、この日の次の試合の結果次第で優勝の可能性を残した。しかし、九大が西南学院大と7-7で引き分け、九大が5勝1分で優勝した。
●「第2回北日本学生王座決定戦・第13回パインボウル」は11月29日、仙台スタジアムでともにオプション攻撃が柱の東北大と北大が対戦。大接戦となり、東北大が4Q残り23秒でQB三浦純(四年)からRB深沢俊男(四年)への10ヤードTDパスで28-31と逆転。しかし、北大は次のキックオフで敵陣20ヤードまでの好リターンを見せ、K加藤有人(三年)のFGに結び付けて31-30で逆転し、3年連続の勝利を挙げた。
●「第2回南日本王座決定戦・第14回平和台ボウル」は11月15日、博多の森陸上競技場で九大と愛媛大が対戦。序盤から九大のペースで進み、RB坂下基(二年)のブラストで先制すると、以降も得点を重ね43-3で勝利した。
●「第2回東日本学生王座決定戦」は12月20日、前年に続き仙台スタジアムで開催され、関東準優勝の日大が北大に77-16で勝利した。
●「第2回西日本学生王座決定戦」は12月20日、博多の森競技場で開催され、関西2位の京大が九大を83-0で下した。
◆秋季試合(社会人)
●Xリーグイースト、セントラルのは東京ドームを平日で7日間、川崎球場を8日間使用した。ウエストは西宮スタジアムと西宮球技場、長居球技場を使用した。
■秋季試合 関東(社会人)
●イーストはアサヒビールと日産が有力視されていたが、すかいらーくが予想以上の善戦を見せた。すかいらーくは日産を13-9で破り、アサヒビールには敗れはしたが、4Qまでリードを奪った。日産はアサヒビールを破り、3者による三つ巴となったが、FINAL6規定により日産とアサヒビールがFINAL6に進出した。
●セントラルも混戦となり、鹿島がリクルートに28-20で勝利し、リクルートはオンワードに50-10で勝利。オンワードは鹿島に21-14で勝利と、こちらも三つ巴となった。規定により、鹿島とリクルートがFINAL6に進んだ。
■秋季試合 関西(社会人)
●ウエストも混戦となった。長い間、関西社会人をリードしてきた松下電工が、開幕戦でアサヒ飲料に0-23の敗戦。アサヒ飲料は新たに就任した藤田智ヘッドコーチ下で、前年の最下位から、5戦全勝で1位となった。松下電工は2位でFINAL6に進んだ。
■プレーオフ(社会人)
●FINAL6準決勝は、1回戦で松下電工を破ったアサヒビールと鹿島が対戦し、アサヒビールが速いランプレーで強力守備陣の鹿島を圧倒し、38-13で前年日本一の鹿島を破った。
もう1試合は1回戦で日産を破ったリクルートがアサヒ飲料と対戦。日産は3Q終了までに2TDを挙げてアサヒ飲料をリードし、4Qに5点差まで追い上げられたが、21-16で勝利した。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第53回甲子園ボウル
●「第53回甲子園ボウル」は12月19日、甲子園球場に23,000人の観客を集め、立命大と法大が4年ぶりに対戦。法大が1Q5分、スピードのあるオプションプレーからRB井出元(三年)が60ヤードのTDランで先制。その後もQB木目田康太(三年)の20ヤードTDランとFGで得点し、立命大の攻撃をFG3つに抑え、法大が17-9とリードして折り返した。
しかし、立命大は3Q5分にK松本晃(三年)がこの日4本目となる40ヤードのFGで5点差に迫ると、4Q1分にRB杉山将人(四年)の1ヤードTDランで逆転。さらに9分に杉山をブロッカーにQB川嵜滋央(三年)が5ヤードのTDランで追加点を挙げ、25-17で勝利した。
法大は試合残り16秒でゴール前1ヤードに迫ったが、反則で痛い罰退もあり、ゴールラインを越えることができなかった。
立命大はランとパスのバランス、キックの精度、守備陣の適用能力が実り、2回目の出場でともに優勝。関西勢は対戦成績を25勝24敗4分として勝ち越した。ミルズ杯は立命大のRB杉山将人が受賞した。
◆第12回日本社会人選手権・東京スーパーボウル
●「第12回日本社会人選手権・東京スーパーボウル」は12月16日、東京ドームに32,000人の観客を集め、リクルートとアサヒビールが対戦。アサヒビールは1QにFGで先制すると、2QにもQB金岡禧友の68ヤードスクランブルから最後はRB中村友が3ヤードTDランを挙げて加点。しかし、リクルートもRB中野康隆のTDラン、QB松本義幸からSB堀江信貴へのTDパスで反撃し、前半を14-17と3点差で折り返すと、後半は3TDパス、1TDランの爆発的な攻撃を見せ、45-24で2度目の優勝を飾った。MVPは5捕球で151ヤード、2TDを挙げたリクルートの堀江が受賞した。
◆第52回ライスボウル
●「第52回ライスボウル」は翌1999年1月3日、東京ドームに36,000人の観客を集め、リクルートと立命大が対戦した。
試合開始のキックオフで、リクルートのリターナー堀江信貴が敵陣38ヤードまでリターンすると、この日3本のFGを決めたK岩田光晴が3分に32ヤードのFGを決めて先制。さらにSB安部奈知へのTDパスなどで1Qで24-7と大きくリードした。
立命大も2Qからは守備陣がCBを中心に素早い動きで対応し、3Qには後半両チームで唯一となるTD挙げるなど善戦。しかし、リクルートが1Qの大量リードを守って30-16で勝利し、2年ぶり2度目の優勝を果たした。これで社会人と学生ともに8勝と五分の戦績となった。MVPのポール・ラッシュ杯はリクルートのWR堀江信貴が受賞した。
[6]高校フットボールの活動
◆春季大会(高校)
●「第24回春季関東高校選手権」は準決勝で中大付高(東京2位)を14-0で破った法政二高(神奈川1位)と、三島高(静岡1位)を20-6で破った日大三高(東京1位)が決勝で対戦し、法政二高が33-7で勝って7年ぶり3度目の優勝を飾った。
●「第28回春季関西高校選手権」は準決勝で東邦高(東海代表)を48-0で下した大産大付高(大阪1位)と、関学高(兵庫1位)を5-0で破った府立豊中高(大阪3位)が決勝で対戦し、大産大付高が14-7で勝って優勝した。
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●「全国高校選手権関東大会」決勝は11月7日、駒沢第二球技場で中大付高と法政二高の間で行われた。1Q、法政二高はFGとTDで9点を挙げ先行するが、中大付高はバリエーション豊富な守備体型で相手の攻撃を止めると、2Qに2TD、1FGを挙げて逆転。20-9で4年ぶり3回目の関東制覇を遂げた。
■関西地区(高校)
●「全国高校選手権関西大会」決勝は11月22日、西宮スタジアムで関大一高と大産大付高の間で行われた。大産大付高が前半3TDを挙げて優位に立ったが、関大一高が反撃し、4Qには20-21と1点差まで追い上げた。関大一高は残り41秒で11ヤードTDランを決め逆転に成功。28-21で前年に続いて関西地区で優勝を遂げた。
◆第29回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第29回クリスマスボウル」は12月23日、長居球技場で関大一高と中大付高が初めて対戦。関大一高が開始直後のキックオフリターンTDで勢い付き、前半を21-0とリード。後半、中大付高も3TDを挙げるが、関大一高が振り切って34-20で勝利した。関学高、法政二高に続く史上3校目の2連覇。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆フラッグフットボール
●日本タッチ&フラッグフットボール協会主催の5人制の「第1回フラッグフットボール日本選手権」が開催された。1月に各地区で行った予選には50チーム、約500人が参加。決勝は2月21日に川崎球場で行われ、東日本代表の「東京ユナイテッド・ブルー」が優勝した。中村多聞(アサヒ飲料)、河口正史(立命大OB)、板井征人(鹿島)、堀口靖(鹿島)、安部奈知(リクルート)らアメリカンフットボールの名選手も参加して大会を盛り上げた。
●8月3日の「ジャパンユーロボウル」の開催時、東京ドームで「フラッグフットボール全国大会第1回NFLフラッグ」を開催。一般の部は関西代表が九州代表を接戦で破り、中学生以下の部は関西代表が北海道代表を破って優勝した。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(国内開催)
●8月3日、東京ドームで観客25,000人を集めて国際親善試合のジャパンユーロボウルを開催。日本代表が前年の欧州選手権覇者のフィンランドと対戦した。欧州でのフットボールの歴史は20年ほどで、16か国が欧州フットボール連盟(EFAF)に加盟しており、ドイツでは230のチームが活動するなど盛ん。1983年から隔年でナショナルチームによる欧州選手権を開催しており、フィンランドはここ3大会優勝の強豪チームだった。
欧州で展開するNFLヨーロッパのチームに日本人選手が参加していたため、欧州の競技活動の状況はある程度分かっていたが、各国の代表チームの実力は未知数で、日本代表が欧州の代表と対戦するのも初めてのことだった。
日本は1Q、K中筋圭吾(鹿島)のFGで先制すると、13分にQB須永恭通(オンワード)のパスをWR堀江信貴(リクルート)が好捕し、34ヤードのTDとしてリードを広げた。主将DE佐々木康元(アサヒビール)、OT畠山智彦(オンワード)、河田剛(リクルート)、C鴨志田正樹(オンワード)、RG鈴木大剛(松士電工)、RT高橋太(松下電工)、DE脇坂康生(松下電工)、DL藤井洋(日産)、伊藤重将(東京三菱銀行)らのラインの奮闘もあり、39-7で勝利した。
1999年のワールドカップ(W杯)参加のための準備として位置付けた一戦。体のサイズが一回り大きい欧州王者に勝利したことで、W杯の手掛かりが得られた試合となった。MVPはチームをまとめたDE佐々木康元が受賞した。
◆外国チーム間の試合(日本国内開催)
●2年ぶり9回目となる「アメリカンボウル」は8月2日、東京ドームでグリーンベイ・パッカーズと2度目出場のカンザスシティー・チーフスが対戦し、パッカーズが27-24で勝利した。安部奈知、板井征人、河口正史、中村多聞の4選手が両チームに加わって出場。NFLの日本チーム関係者向けクリニックは、川崎球場で開催された。
●NFLがFOX-TVとの合弁事業として取り組んでいたワールドリーグが「NFLヨーロッパ」と改称した。