関西学生リーグは関学大と立命大がともに1敗で両校優勝。全日本学生選手権は関学大が勝ち進んで甲子園ボウルに出場し、早大に勝利して30回目の優勝を遂げた。社会人では富士通がライスボウルに出場して関学大を破り、4連覇。U18日本高校選抜がU17米国代表から初勝利を挙げた。
2019.01.01
お知らせ
富士通、ライスボウル4連覇。高校選手権が節目の50回大会
日 付 | 主な出来事 | |
社 会 | 4月1日 | 新元号「平成」発表、5月1日:「平成」に改元 |
4月15日 | ノートルダム大聖堂で大規模火災、10月31日:世界遺産・首里城火災 | |
4月30日 | JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE竣工 | |
7月18日 | 京都アニメーション放火殺人事件 | |
9月20日 | 第9回ラグビーW杯日本大会開幕 | |
10月1日 | 消費税、8%から10%へ | |
12月21日 | 新国立競技場開場式 | |
フットボール | 1~3月 | 日本協会特別講習会「安全なフットボールの最新指導について」(仙台、福岡、東京) |
7月22日 | 日本協会、日本社会人協会、事務所をJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREに移転 | |
秋 | Xリーグ改編、X1スーパー、8チーム総当たり制に移行 | |
翌年1月3日 | 第73回ライスボウル、富士通、関学大を下し5回目の優勝 | |
翌年1月15日 | 第11回インターナショナルボウル、U18日本高校選抜-U17米国選抜。日本が米に初勝利(米テキサス) |
関西学生リーグは関学大と立命大がともに1敗で両校優勝。全日本学生選手権は関学大が勝ち進んで甲子園ボウルに出場し、早大に勝利して30回目の優勝を遂げた。社会人では富士通がライスボウルに出場して関学大を破り、4連覇。U18日本高校選抜がU17米国代表から初勝利を挙げた。
[1]主な出来事
●国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)主催の第6回世界選手権は当初、豪州で開催する予定だったが、2023年に同地での開催に延期された。その後、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により延期から中止となった。
●日本協会は前年に続き、選手の試合や練習時の安全対策向上の一環として、特別講習会「安全なフットボールの最新指導について」を1月13日に仙台で、2月17日に福岡で、3月23日に東京でそれぞれ開催した。
●7月、日本協会と日本社会人協会は事務所を東京都新宿区のJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREに移転した。
[2]競技施設・装具・公式規則
◆公式規則
【この年の日本の主な規則変更】
●超過節では、5回目からは3ヤードラインからの2点のトライのみとなった。
●フリーキックにおいて、レシーブ側が2人でウェッジを形成した場合も反則となった。
[3]春季試合
◆春のボウルゲーム
●第65回西日本社会人選手権
第65回西日本社会人選手権決勝・グリーンボウルは5月26日、エキスポフラッシュフィールドでアサヒ飲料とエレコム神戸が対戦。アサヒ飲料は新加入のQBギャレット・サフロンからWRロバート・ジョンソンへの2TDパスでリード。その後も得点を重ね、50-19で6年ぶり6回目の優勝を果たした。
●第41回パールボウル
第41回パールボウルは6月17日、東京ドームでオービックとIBMが3年連続で対戦。オービックが31-15で勝利し、3年連続8回目の優勝を遂げた。オービックのWR木下典明は6捕球で170ヤードを獲得し、チームの全4TD中3TDを挙げてMVPを受賞した。
[4]秋季試合
◆秋季試合(学生)
■関東(学生)
●関東大学リーグ1部はアミノバイタルフィールドがラグビー・ワールドカップの味の素スタジアム開催の影響で9月上旬から11月中旬まで使用できず、AGFフィールド、横浜スタジアム、駒沢第二球技場、早大東伏見、法大武蔵小杉を使用した。
●早大が初戦でTOP8に昇格した東大にシリーズ更新数で下回るなど苦しんだが、23-10で勝利。第6節では法大に前半で14-28とリードされたが、4Qに35-28と逆転し、6連勝(慶大戦不戦勝を含む)で2年連続6回目の優勝を決めた。早大は前年から攻撃の中心を担うQB柴崎哲平(四年)とWRブレナン翼(四年)のホットラインが健在。守備陣も一年生から試合に出場しているLB池田直人(四年、主将)を中心に堅い守りで勝利につなげた。リーグ最優秀選手には柴崎が選ばれた。
法大は2位。3位には明大と中大が並んだ。慶大は不祥事を理由に後半の4試合を棄権し、BIG8に降格となった。
●前年春の危険タックル問題で出場停止となった日大は、降格したBIG8で全勝優勝し、自動降格の慶大に代わってTOP8への復帰が決まった。
■関西(学生)
●立命大が第5節で関大に14-17で敗戦。最終節の関学大-立命大で関学大が勝てば関学大の全勝優勝に、立命大が勝てば両者優勝となる試合となった。
両校は11月10日、万博記念競技場で対戦。前半は立命大のK花岡輝(四年)が3つのFGを決めて、立命大が9-0でリード。関学大は3Q、RB前田公昭(二年)の1ヤードTDランで7点を返したが、立命大は4QにRB立川玄明(三年)の3ヤードTDランと花岡のFGで加点し、18-7で勝利し、6勝1敗で両校優勝となった。立命大は2年ぶり12回目、関学大は2年連続57回目の優勝。
この年から全日本大学選手権に関西から3校が出場するため、立命大と関学大のプレーオフは行わず、立命大が関西1位で、関学大は2位で出場した。神戸大は関大と京大に勝利して11年ぶりの3位となり、初めて全日本大学選手権に進んだ。リーグ最優秀選手には立命大のQB荒木優也(四年)が選ばれた。
■各地区の活動/代表決定戦(学生)
【北海道】 北大が5試合計328得点の安定した力を発揮し、2年ぶり26回目の優勝を飾った。
【東北】 東北大が全勝で8連覇。1976年のリーグ発足以来、44回のうち33回目の栄冠だった。
【東海】 名城大と中京大が1敗で並び同率優勝。全日本大学選手権へは、直接対決を制した中京大が進出した。
【北陸】 最終節で福井県立大が金沢大との全勝対決を制し、3年ぶりの優勝を果たした。
【中四国】 前年3位の広島大が、第2ラウンドのトーナメント決勝で島根大と引き分けたが、第1ラウンドでの対戦に勝利していたため優勝となった。
【九州】 西南学院大が4戦目まで全勝。残り1試合を待たずに優勝を決めた。
●全日本大学選手権の東日本代表校決定戦準決勝は第32回パインボウルとして行われ、東北大が北大を34-9で破った。
●東日本代表校決定戦は早大が東北大を41-10で破った。
●西日本代表校決定トーナメントは2回戦で福井県立大を破った西南学院大を3回戦で関学大が47-26で破り、2回戦で広島大を破った中京大を3回戦で神戸大が24-17で破った。準決勝は関学大が神戸大を26-7で破った。
●西日本代表校決定戦は立命大と関学大が対戦。関学大は1QにRB三宅昂輝(三年)が2つのTDランを挙げて14点を先行。その後も守備陣が3つのインターセプトを奪う活躍などで21-10で勝利し、4年連続53回目の甲子園ボウル出場を決めた。
◆秋季試合(社会人)
■Xリーグ・第1、2ステージ(社会人)
●Xリーグは富士通スタジアム川崎、東京ドーム、相模原ギオンスタジアム、MKタクシーフィールドエキスポ、王子スタジアムなどを使用した。
●Xリーグは発足した1996年以来続いていたイースト、セントラル、ウエストの3ディビジョンでのリーグ戦から、1リーグに再編した。Xリーグの20チームを上位のX1スーパーに所属する8チームと、残りの12チームが所属するX1エリアに分けて開催した。X1スーパーは総当たりのリーグ戦を行い、上位4チームが準決勝に進むこととした。
●X1スーパーは東地区から富士通、オービック、IBM、東京ガス、オール三菱、ノジマ相模原が、西地区からパナソニック、エレコム神戸が所属。アサヒ飲料、アサヒビール、LIXIL、明治安田は他の8チームとともにX1エリアに所属した。
●X1スーパーは富士通とオービックが最終戦で全勝対決。富士通が16-14とリードして迎えた4Q、オービックは最終プレーで逆転のFGを狙ったが、富士通がブロックして試合終了。富士通が1位となった。富士通は1試合平均46.4得点、11.9失点。準決勝は富士通-エレコム神戸、オービック-パナソニックの対戦となった。
■プレーオフ(社会人)
●準決勝の富士通-エレコム神戸は、富士通のRBサマジー・グラントが変幻自在のランで9回171ヤードを走り、QB高木翼がパスを20回投げて12回成功、4TDを挙げる活躍で31-13と勝利した。パナソニック-オービックは、パナソニックの守備陣がDB土井康史のリターンTDを含む計4回のインターセプトをもぎ取り、24-14で勝利した。
[5]秋季試合(ボウルゲーム)
◆第74回甲子園ボウル
●全日本大学選手権決勝、第74回甲子園ボウルは12月15日、甲子園球場で行われ、関学大が早大を38-28で破り、2年連続30回目の優勝を果たした。関学大を28年間率いてこの年を最後に退任する鳥内秀晃監督は、指導者として12回目の学生日本一となった。
1Q、関学大がK安藤亘祐(四年)の46ヤードFGで先制したが、早大は2QにQB吉村優(三年)の2ヤードTDランで逆転。その後、点の取り合いとなり、早大のWRブレナン翼は3TDパス捕球の活躍。3Qを終えて早大が28-27とリードした。
しかし、関学大は4Q、RB前田公昭(二年)の1ヤードTDランで逆転。さらにK安藤亘祐のFGで突き放した。ミルズ杯は立命大のQB荒木優也(四年)が受賞し、甲子園ボウル出場校以外の選手で初めて受賞した。甲子園ボウルで優勝した地区のリーグ戦最優秀選手が、ミルズ杯に選出されることになっていたため。
◆第33回日本社会人選手権・ジャパンXボウル
●第33回日本社会人選手権・ジャパンXボウルは12月16日、東京ドームに20,284人の観客を集め、富士通(山本洋ヘッドコーチ)とパナソニック(荒木延祥監督)が対戦。レギュラーシーズンは富士通が45-27で勝利していたが、この試合は接戦となった。
富士通は1Q終盤、第4ダウンのギャンブルでQB高木翼からWR中村輝晃クラークへの38ヤードTDパスで先制し、前半を14-10でリードした。3Q、パナソニックのDB小池直崇のインターセプトリターンTDで逆転を許したが、3Q最後のプレーでRBサマジー・グラントの75ヤード独走TDで再逆転し、28-26で勝利した。パナソニックは獲得距離、ボール保有時間ともに富士通を上回ったが、及ばなかった。MVPは161ヤードを走った富士通のグラントが受賞した。
◆第73回ライスボウル
●「第73回ライスボウル」は翌2020年1月3日、東京ドームに31,752人の観客を集め。富士通と関学大のここ6年間で4回目の顔合わせとなった。
1Q、富士通はQB高木翼がWR強盛と中村輝晃クラークへ2つのTDパスを決めると、2Qにも2TDを追加して前半を28-7と大きくリード。関学大は後半、富士通の得点を10点に抑えるとともに、終了間際にQB奥野耕世(三年)からWR鈴木海斗(三年)へのTDパスで反撃したが、富士通が38-14で勝利した。富士通はオービックに並ぶ2チーム目の4連覇を達成。MVPのポール・ラッシュ杯は高木が受賞した。
関学大を28年間率いてきた鳥内秀晃監督にとって最後の試合。同監督は甲子園ボウルで12回優勝し、公式戦通算197勝38敗3分の成績を残した。
[6]高校フットボールの活動
◆秋季大会(高校)
■関東地区(高校)
●全国高校選手権関東大会決勝は11月23日、駒沢第二球技場で佼成学園高(東京)と法政二高(神奈川)が対戦。前半を14-14で折り返したが、後半は佼成学園高がTDを重ねて35-21で勝利し、4年連続のクリスマスボウル出場を決めた。佼成学園高のRB北原健作がランで220ヤード、3TDと活躍した。
■関西地区(高校)
●全国高校選手権関西大会決勝は11月24日、万博記念競技場で立命館宇治高(京都)と関学高(兵庫)が対戦。3Q、関学高はQB前島仁(三年)の24ヤードTDランで20-19と逆転したが、立命館宇治高はRB村上太地(三年)の3ヤードTDランとTFPの2点トライ成功で27-20と再逆転。関学高は4Q、前島のこの試合3つ目のTDで26-27と1点差に迫ったが、同点を狙ったTFPのキックを失敗し、立命館宇治高が勝利した。
◆第50回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル
●「第50回クリスマスボウル」は12月22日、横浜スタジアムで前年と同じく立命館宇治高と佼成学園高の対戦となった。
2Q、佼成学園高がTDパスで先制。立命館宇治高は直後に関口温暉(三年)が92ヤードのキックオフリターンTDを挙げると、さらにRB南田億(三年)のTDランで12-7と逆転した。立命館宇治高は後半も2FGを決めて18-7で勝利し、初優勝を果たした。
[7]フットボール・ファミリーの活動
◆小・中学生フットボール
●第7回日本中学生選手権は翌2020年1月13日に行われ、2度目出場の関学中学部ジュニアファイターズが佼成学園中学校ロータスを14-13の接戦で破り、2回目の優勝を果たした。
[8]海外・国際関連の活動
◆日本チームの活動(海外開催)
●「インターナショナルボウル」が翌2020年1月に米テキサス州アーリントンで行われ、日本高校選抜は1月15日にU17米国選抜と対戦した。
日本はQB庭山大空(立命館宇治高三年)からのパスをキャッチしたWR鈴木崇与(箕面自由学園高三年)が70ヤードを独走するTDで先制。その後、日本はミスから米国選抜に2TDを許して逆転されるが、2Qに庭山からWR滝澤叡(法政二高三年)へのTDパスで再逆転。そのままリードを保ち、28-20で勝利した。日本は4回目の挑戦で初めて米国選抜に勝利した。
また、この大会に併せてフラッグフットボール大会も行われ、4か国6チームが参加した。日本は各チームから選抜して全日本チーム(岩井歩監督)を編成。1次リーグで強豪・米国の2チームと同一グループになったこともあり、6位だった。