2021年度コロナ禍におけるアメリカンフットボール活動について
2021年2月3日
公益社団法人日本アメリカンフットボール協会
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響でアメリカンフットボールの活動も制限を受けましたが、皆様のご尽力のおかげでシーズンを無事終えることができましたことに感謝申し上げます。
しかしながら、昨年12月に急速な感染拡大がみられ、今年1月には11都府県に緊急事態宣言が発出されました。緊急事態宣言の対象となる地域では、不要不急の外出・移動の自粛、飲食業の営業時間の短縮などが要請されています。
また、学校の運動部活動については、「地域の感染状況等に応じて、感染リスクの高い活動については、一時的に活動を制限することも含め検討するなど、感染症への警戒を強化すべきである」とされています。
これらの状況を踏まえ、アメリカンフットボールの活動については、選手の安全を守ること、地域社会の感染拡大につながらないようにすること、医療現場に大きな負担をかけないことを念頭に、以下のようにお願い致します。
- 「アメリカンフットボール活動の再開に向けたガイドライン(2020年6月12日付)」※に示されている日常生活や活動時の感染予防対策を徹底すること。
- 緊急事態宣言の対象地域においては、自治体や所属組織(学校・会社等)の方針に従い、活動する場合にはコンタクトの制限も検討すること。
- 緊急事態宣言が解除された後は、自治体や所属組織(学校・会社等)の方針に従いつつ、例年以上に外傷予防に留意して、徐々に活動を本格化すること。
※現時点でガイドライン内「段階的再開のプロトコール」に代わる指針が上記2項目と3項目となります。
(参考)
〇活動が制限された後の外傷予防のトレーニング
活動が制限された後の問題として、練習、試合での外傷(アキレス腱断裂、ハムストリングスの肉ばなれ等)の発生が多いことが確認されており、その予防のトレーニングが必要になる。
アメリカンフットボールで求められる体力の特徴として、爆発的な加速・減速をともなう無酸素運動(スプリント)とタックル時の最大パワーを繰り返すことがある。例えば、NFL選手の1試合におけるスプリント時の加速・減速回数は100~200回にも及ぶ。しかし、不活動時には、これらスプリントを繰り返す練習や筋パワーを高める専門的トレーニングが不足している。この状態で、活動再開時に急激にトレーニング負荷(頻度・強度・時間)を上げると外傷のリスクが高まってしまう。実際、アメリカンフットボールのプレシーズンにおけるハムストリングスの肉ばなれを代表とする筋腱損傷が多く報告されている。不活動から安全にトレーニング再開を行うには、段階的にトレーニング負荷を上げていくことが重要であり、筋腱損傷の予防には筋の伸張性収縮をともなうトレーニングが有効である。
不活動から再開時の安全なトレーニング負荷として、50%(自粛前の活動レベルを100とする)のトレーニング量から始めて再開2週目に70%、以後、1週間あたり10%ずつ段階的に増加させていき、5週間をかけて活動前の負荷にまで上げていく。また、毎日のトレーニングで選手の主観的運動強度(きつさ指数)とトレーニング時間を記録することで、選手のコンディションチェックを行える(関連資料2,3,4)。
【関連資料】
1.JAFA :アメリカンフットボール活動の再開に向けたガイドライン (2020年6月12日付)
2.COVID-19: アスリートのための安全なトレーニング再開に関するNSCAガイドライン
3.一般社団法人日本アスレティックトレーニング学会:中学校・高校の部活自粛解除後の練習でケガをしないために (2020年5月18日)
4.JFAサッカー活動の再開に向けたガイドライン(47都道府県サッカー協会/9地域サッカー協会向け) 第9版(2021年1月19日作成)
5.文部科学省:新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を踏まえた大学等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について (令和3年1月8日)
6.内閣官房:感染が高まる5つの場面