第3回世界選手権 川崎大会
〔日本代表チーム、惜しくも三連覇ならず〕

第3回世界選手権は、開催都市としていち早く名乗りを上げた川崎市の絶大なる支援を得て、第1回・第2回大会のチャンピオンである日本で開催された。

第3回大会での注目は、初参加となるアメリカチームがどのようなチーム編成で来日するのか、またディフェンディング・チャンピオンの日本代表チームがアメリカチームを相手に王座を守ることができるのか、という2点であった。
グループ編成は、Aグループは、日本、スウェーデン、フランス、Bグループは、アメリカ、ドイツ、韓国となった。

 

7月7日(土)に行われた開幕戦は、等々力競技場に1万2000人の観客を集めて、主催国日本と欧州3位のフランスの間で戦われた。試合は、序盤にセフティを奪って得点した日本が、終始試合を支配し、48対0の大差で勝利した。

 

Aグループの優勝決定戦となったスウェーデンとの第2戦。サイズとパワーで大きく上回る相手に対して日本代表チームはスピードで勝負。この試合も終始試合を支配して、48対0で勝利し、アメリカとの優勝決定戦に向けて弾みをつけた。

 

7月15日(日)、世界一を決める白熱の戦いは、等々力陸上競技場に詰め掛けた観衆10,231人が見守る中で幕を開けた。


 

試合開始直後、日本代表チームはいきなりの先制パンチを食らった。自陣20ヤードから始まった日本の攻撃第1プレーで、先発QB高田鉄男が投じたパスをSFケニー・チコインがインターセプト。敵陣15ヤードからの攻撃権を得たアメリカが、開始僅か2分57秒でRBカイル・カスパーバウアーのランで先制TDを奪った。

 

先行を許した日本は、モーションを多用しフィールドの左右にプレーを散らした攻撃を展開。3度目の攻撃シリーズでRB古谷拓也のランを軸に着実にドライブし、敵陣2ヤードに攻め入ると、第2Q1分9秒、IフォーメーションのTEの位置に入ったDL紀平充則へQB冨澤優一がTDパスをヒットさせて同点に追いついた。


更に日本は続くアメリカの攻撃シリーズでRBカスパーバウアーのファンブルをSF三宅剛司がリカバーして敵陣36ヤードの好機を作り出すと、3分58秒にK金親洋介が49ヤードのフィールドゴールを決め、前半は10対7と日本のリードで折り返した。

 

アメリカは第3Q7分42秒にKクレッグ・コフィンの35ヤードFGで試合を振り出し戻したが、日本は第4Q4分53秒、QB冨澤がTE黛拓郎へTDパスをヒットさせて再びリードを奪った。


しかし、ここからアメリカが本場の底力を見せた。「体格差や強いヒットが、徐々にボディブローの様に効いてきた」と主将DL脇坂康生は試合後に明かしたが、アメリカが力強いランプレーでじりじりと前進。自陣20ヤードから11プレーを費やしたドライブを、9分9秒、RBカスパーバウアーの5ヤードTDランで締めくくり、勝負はタイブレークシステムによるオーバータイムにもつれ込んだ。

 

1回目は両チーム共にFGを決め、2回目のオーバータイムで先行の日本は、K金親の34ヤードFGがDLクリス・ソナーにチップされて失敗。後攻のアメリカはRBカスパーバウアーのランで着実に前進し、Kコフィンが23ヤードのFGを決めて、2時間33分の熱戦に決着をつけた。

 

「これまでの日本の戦いを見て、厳しい試合になると思っていた。試合を通して全員が全力を尽くした結果」とアメリカ代表ジョン・マコヴィック・ヘッドコーチは、チーム一丸となって掴み取った勝利であることを強調し、笑顔を見せた。

 

「ラインが消耗していてブロックが持たず、FGの蹴りあいになると厳しかった。立ち上がりのターンオーバーと、最後の体力の消耗の差が勝敗を分けた」と森清之攻撃コーディネーター。これまで「一戦一勝」のコメントに終始していた日本代表・阿部敏彰監督だが、「3月からアメリカをターゲットに取り組んできた」と明かし、「世界と戦えることは分かったが、アメリカの伝統とプライドに後一歩及ばなかった」と語った。「凄い声援に支えられて好ゲームが出来た。それに応えたかった」と目を潤ませた主将DL脇坂は、「もっと強いジャパンを作って、次のW杯で優勝を狙いたい」と最後の言葉に力を込めた。

 

JAFAホームページより
▼大会結果
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